スパイはいまも謀略の地に
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あらすじ
イギリス秘密情報部(SIS)のベテラン情報部員ナットは、ロシア関連の作戦遂行で成果をあげてきたが、引退の時期が迫っていた。折しもイギリス国内はEU離脱で混乱し、ロシア情報部の脅威も増していた。彼は対ロシア活動を行なう部署の再建を打診され、やむなく承諾する。そこは、スパイの吹きだまりのようなところだった。 ナットは、新興財閥(オリガルヒ)の怪しい資金の流れを探る作戦を進めるかたわら、趣味のバドミントンで、一人の若者と親しくなっていく。 ほどなく、あるロシア人亡命者から緊急の連絡が入った。その人物の情報によると、ロシアの大物スパイがイギリスで活動を始めるようだ。やがて情報部は大がかりな作戦を決行する。そして、ナットは重大な決断を下すことに……。 ブレグジットに揺れるイギリスを舞台に、練達のスパイの信念と誇りを描く傑作。(「BOOK」データベースより)
評判
スパイはいまも謀略の地にの評価:
8.00/10点 レビュー 1件。 B ランク
スパイはいまも謀略の地にの総合評価:
8.20/10点 レビュー 20件。
感想一覧
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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88歳にして現役作家として活躍するジョン・ル・カレの25作目の長編小説。得意分野であるスパイの世界が題材だが、単純な諜報戦に終わらせず、個人の忠誠心と組織の論理、祖国への愛憎、自律と信頼関係など、人間が誇り高く生きるとはどういうことかを追及した、味わい深いスパイ・ミステリーである。
ロシア対策で実績を残して来たイギリス秘密情報部員・ナットは、そろそろ引退を考えていたのだが、帰国したロンドンでロシア対策を担当する弱小部署の再建を依頼される。赴任してみるとそこは、使えないスパイを集めた吹き溜まりのような部署だった。それでもナットは自分で仕事の意義を見つけ出し、ロシアの新興財閥がらみの怪しい資金移動を調べ始めるのだった。プライベートでは趣味のバドミントンを続けており、所属クラブのチャンピオンとして、ある若者・エドの挑戦を受け、定期的にプレーする仲になる。そんなとき、あるロシア人亡命者から「ロシアの大物スパイがロンドンで活動を始めそうだ」という情報がもたらされ、秘密情報部全体で取り組む大きな案件として動き始めた・・・。
ロンドンを舞台にしたロシアとイギリスの諜報戦、と見せかけて、最後にはあっと言わせる構成が見事。読者は決して騙される訳ではなく、論理的に説得されて、どんでん返しを楽しめる。全体的に、昔の作品に比べてストーリー展開が分かりやすく、エピソードやキャラクターを十分に楽しむことが出来る。いつまでも殻を破り続けるル・カレの凄さに感嘆する傑作である。
古くからのル・カレのファンにはもちろん、若い読者にも自信を持ってオススメする。