スティーグ・ラーソン最後の事件
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スティーグ・ラーソン最後の事件の総合評価:
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スティーグ・ラーソンの書きかけのモノかと思いきや、まるっきり違いました。 | ||||
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登場人物が多く、それも様々な国に住む人達で、政治や国際情勢の裏で動いている、という、興味深いけど、決して読みやすい本ではなかったです。ただ、それに一生懸命について行きながら読み進めると、世界情勢の本当の裏の世界を垣間見せてくれるノンフィクションです。やっぱり、どんなスパイ映画より、現実の事件は面白い! 北欧のドラマで、どうしても理解出来なかった、警察や政治への不信感、それに、スティーグ・ラーソンが闘っていた極右についても、理解出来て、今後は、より一層、北欧のミステリーを楽しめそうです。 大統領の暗殺は、「JFK」を彷彿とさせますが、夜の街の映画館の帰りを狙った暗殺って、まるで、ゴッサム・シティの出来事のようです。 | ||||
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「ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女」ラーソンが生前ジャーナリストとして追ったスウェーデン首相暗殺事件。作者は、あるきっかけでラーソンが遺した資料を"発見"し、それを解読したりダシにしつつ真犯人をあぶり出そうとする、というノンフィクション。 ノンフィクションといいつつ、前半はラーソンの伝記小説風。後半は筆者が主人公のスパイ小説風、という二章仕立て。めちゃくちゃ面白いんだけど、けっこうな陰謀論に突入したり、ちょっとにわかには信じ難い実践編が始まるので、どこまでマジなの?とヒヤヒヤする。 第一次・二次世界大戦で中立を選んだことで、結果的に独特の極右文化が残ったというスウェーデン。暗殺者の動機は?右派勢力はどんな役割を担ったのか?利益を得たのは誰なのか?示唆された"首謀者"が真実なら、その罪は誰がどう裁くのか…? キプロス、ベイルート、ローデシア、コンゴ等、冷戦下のスパイ/冒険小説で必ず出てくる地名やCIA、KGB、モサド、MI6などの元工作員たちが登場するんだけど、面白いのは、1986年当時ならどんな尋問でも口を割らなかっただろうスパイたちが2010年代には老いて寂しさの余りベラベラしゃべる! 本筋ではないけど小説「ミレニアム」シリーズが、どれだけ現実を反映し、何を訴えようとした作品だったのか。ラーソンの信念、右翼・ファシズム・女性への暴力との戦いがどんなものだったのかを垣間見ることができるので、好きな人は必読かと。 人名索引が便利で読みやすかったです。 | ||||
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スティーグ・ラーソンはいうまでもなくベストセラー小説『ミレニアム』三部作(ラーソン死後の第4部以降は別著者)の作者であるが、本業はジャーナリストであり、スウェーデンの極右勢力の追及をライフワークとしていた。『ミレニアム』三部作でもネオナチ等の極右勢力とスウェーデン財界の関係が物語のライトモティーフとして使われており、ラーソンの取材活動の一部が小説に反映されていることがわかる。 本書はラーソンがその突然の死の直前まで調査し続けていたパルメ首相暗殺事件について、ラーソンの膨大な資料を受け継いだ著者が、さらに独自の調査を続けて最終段階にほぼ近い仮説を提示したノンフィクションである。 前半はラーソンの資料の解読と再構成に充てられているが、ラーソンのジャーナリストとしての活動はまさに『ミレニアム』の主人公ミカエル・ブルムクヴィストを彷彿させるものである。埋もれていた資料を紹介し、ラーソンのジャーナリストとしての本来の姿を生き生きと示してくれたことに対し、『ミレニアム』のファンとして感謝したい。 後半の著者の独自の取材活動は、まるでラーソンが乗り移った、あるいは『ミレニアム』を地で行くようなスリリングなものであり、元スパイやテロリストとの面会、さらにはリスベット・サランデルのような相棒による潜入捜査やハッキングまである。 ちなみに、『ミレニアム』だけでなくヘニング・マンケルの『刑事ヴァランダーシリーズ』などのスウェーデンの社会派ミステリーには極右勢力と政財界の関係や、遠く離れた南アフリカと事件の結びつきがしばしば取り上げられるが、本書はそうした北欧ミステリーの背景をよりよく理解する上でも有益である。 本書の解説によると、スウェーデンの伝統的な武装中立政策が国内でネオナチ勢力の温存を許したということだが、ラーソンと著者はパルメ首相の反アパルトヘイト活動と平和運動が南アの武器輸出勢力との対立を招いたことを暗殺事件の背景と見立てている。本書にはCIAの「暗殺マニュアル」が引用され、パルメ首相暗殺事件前後の反アパルトヘイト活動家や政治家の多数の暗殺事件が列挙されているが、いずれも背筋の凍るようなものばかりである。まさに、事実は小説よりも冷徹かつ残酷なのである。 | ||||
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「スティーグ・ラーソン最後の事件 "STIEG LARSSONS ARKIV"」(ヤン・ストックラーサ ハーパーBOOKS)を読み終えました。 そもそも1986/2月にスウェーデン首相・オーロフ・パルメがストックホルムで射殺され、30数年を経て未だに犯人が捕まっていないことなど知らなかった。或る意味ケネディ暗殺にも匹敵する事実にも関わらず、スウェーデン・ミステリを読む機会が多いとは言え、私の北欧に対する<意識>などはその程度のものでした。 その興味は、あの「ミレニアム三部作」を書いたスティーグ・ラーソンがこの事件を克明に追跡しており、彼が亡くなることによりその調査は一旦終了するわけですが、思いもかけずスティーグの「アーカイヴ」と出会った作者・ヤン・ストックラーサがそれを引き継ぎ、或る意味命懸けでその真相に迫り、ある仮説を紡ぎ出したノンフィクションという点にありました。 しかしながら、第一部は多難でした。夥しい情報量、多彩な登場人物、目まぐるしく変わる視点、その中にはスウェーデンという国に対する自分の「知識」のなさも含め多くの混乱があり、一旦、5冊ほど他の本を読んで、このノンフィクションに戻ることになりました(笑) その経過は、映画のトレーラー風に言うと、ニューヨーカーを含むメディア、ジャーナリスト、ストックホルム警察、国家警察、公安、極右活動家、軍情報部の登場、飛び交うSNSの交信があって、舞台はキプロス、南アフリカ、そしてイスラエルへと世界規模で推移します。繰り返される「暗殺」当夜の行動、あったかもしれない陰謀、東西両陣営、崩壊するベルリンの壁。生き残り続けるナチズムと極右勢力。 それでもスティーグ・ラーソン・ファンには応えられないエピソードも多く描かれています。特筆すべきは、彼がジャーナリストとして極右勢力の調査とその告発にこれほどの情熱を傾けていたこと、また、「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」を含む3部作は、その情熱の発露であり、そのことは「極右との闘いはスティーグの人生の一部分をなしていた」という一文に良く表れていると思います。エヴァ・ガブリエルソンが書いた「ミレニアムと私」とは視点の異なるスティーグ・ラーソンが垣間見れて、とても興味深かった。 第二部は、快調でした。南アフリカが仲介人を使い、オーロフ・パルメの処刑を支援するスウェーデン人を調達したという絵図に始まり、「掩体壕の中のロケットは二度と打ち上がらない 」という謎の解釈があり、スウェーデン警察の無能さと調査報道の限界、その無念へと至る終盤まで、その登場人物のスウェーデン名に翻弄されながらも(笑)一気に読むことができるでしょう。特に、サイバー・スペースを操る作者の相棒リダの存在は、その能力といい、心持ちといい、作者ヤン・ストックラーサの「リスベット・サランデル」を見ているようでした。 事件は、その真実は未だに不明です。しかし、もう一人の<オズワルド>を炙り出そうとしたスティーグ・ラーソンが憑依したかのごときヤン・ストックラーサの調査報道手腕とその力業を堪能したと言っておきたいと思います。 (スリラーの読み手にとっては、レイフ・GW・ペーションの名前が出てくるあたりが映画のカメオ出演のようで嬉しかった) | ||||
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