デンマークに死す



※タグの編集はログイン後行えます

【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

9.00pt (10max) / 1件

9.00pt (10max) / 1件

Amazon平均点

3.50pt ( 5max) / 2件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
1pt
サイト内ランク []B総合:856位
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

0.00pt

73.00pt

46.00pt

0.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)2023年08月
分類

長編小説

閲覧回数734回
お気に入りにされた回数1
読書済みに登録された回数1

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

デンマークに死す (ハーパーBOOKS)

2023年08月19日 デンマークに死す (ハーパーBOOKS)

コペンハーゲンの私立探偵ゲーブリエル・プレストは、 元恋人の弁護士レイラから冤罪疑惑の調査を依頼される。 右派で知られる法務長官メルゴーの殺害事件で、 犯人のイラク系移民は息子を強制送還され、 ISに処刑されていた。 動機と証拠から有罪判決は決定的に思えたが、 調べを進めるうちメルゴーがナチスに関するある本を 極秘出版しようとしていた事が判明、 関係者の惨たらしい死体が見つかり――。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

デンマークに死すの総合評価:7.67/10点レビュー 3件。Bランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

デンマークから来た、ダイヴァーシティ時代のP.I.

インドに生まれ、インドとアメリカで学び、シリコンヴァレーで働き、デンマーク人男性と結婚して14年間デンマークで暮らし、現在はカリフォルニアに住むデンマーク国籍の女性作家の初ミステリー。コペンハーゲンを舞台に元刑事の私立探偵がムスリム男性の冤罪を調査した結果、デンマークの黒い歴史に直面するという、一級品のハードボイルド作品である。
正義感から警察組織のルールを破って解雇され、元恋人(愛娘・ソフィーの母親)の夫の法律事務所に間借りして私立探偵業を営むゲーブリエルは、かつて熱愛関係にあった人権派弁護士のレイラから「右派政治家・メルゴーの殺害で服役中のムスリム男性・ユセフの事件を再調査して欲しい」と頼まれる。5年前に起きた事件で、ユセフの息子がイラクへ強制送還されてISIS(イスラム国)に処刑されたためユセフはメルゴーを恨んでおり、物的証拠も揃っていたのだが、本人は頑強に犯行を否定して続けていた。冤罪の証明はほとんど不可能だと思いながらも、これまででただ一人、本気で愛したレイラの頼みとあって、ゲーブリエルは調査を引き受ける。ところが、調査を進めるうちに、当時の警察の捜査がずさんで矛盾点がいくつもあること、さらにメルゴーがナチス占領時代のデンマークに関する衝撃的内容の本を執筆中だったことが判明する。ゲーブリエルが本格的に調べ始めると、ゲーブリエル本人だけでなく、関係者、娘・ソフィーまで脅迫されるようになった…。
白人社会デンマークでのムスリム男性の冤罪ということで、当然ながら移民・人種差別がメインテーマであり、さらにナチス時代からのユダヤ人差別というデンマークの黒歴史が大きな影を落とす、まさに北欧ノワール、ミステリーの主流を行く物語である。だが、主人公のキャラクターが定番の殻を突き破ったため、読者の思い込みはあっけなく破壊される。スキンヘッドの40代白人男性ながらおしゃれに気を使い、健康や環境に配慮し、人種差別とは無縁で、しかも女性にモテモテにも関わらず恋人や家族(現在、過去を問わず)を熱愛しているという。しかもステージに立つほどのブルースギタリストであり、時に口にする警句はキルケゴールの引用で、趣味が自分が住む家の改修というのだから、文句の付けようがない、夢のようなキャラクターである。それでも読んでいて嫌味なところがないのは、作者の懐の深さと巧さである。
多様性がデフォルトの時代にふさわしいニューヒーローの登場(シリーズ化の予定)で、これまでのP.I.ものとはひと味違うハードボイルドの新ジャンルを開く作品として、多くのファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.2:
(4pt)

ナチス時代の過去と移民問題の現在を交錯させる

主人公はデンマーク人(デーン人)の探偵でデンマークを舞台としたミステリーだが、著者はインド出身の女性でアメリカ在住、夫がデンマーク人とのこと。それゆえ、登場人物はイラン系の女性弁護士やトルコ人を夫に持つ財閥令嬢等と多彩である。

物語は冒頭、第二次世界大戦時のナチス支配下でユダヤ人家族がデンマークからスウェーデンに避難する場面が描かれる。こうしたユダヤ人救助はデンマークの人々の誇りというが、冒頭の物語ではナチス内通者の通報により、ユダヤ人家族は強制収容所に送られ、匿ったデンマーク人親子が射殺される悲劇となる。
一転して、舞台は現代のデンマークに移り、中東からの難民問題でタカ派的対応をとる女性政治家が惨殺された事件の調査を主人公が依頼される。犯人とされたイスラム教徒は、息子がイラク戦争でデンマークに協力しながら難民申請が認められずに強制送還され、ISに拷問されて殺されたことから、「イスラムの男+怒り=人殺しみたいな図式にはめられた」という。
このナチス支配時代の歴史の暗部と現代の難民問題の2つのテーマを絡ませてミステリーが構成されるが、謎解きよりも一人称で語る主人公のハードボイルドな活躍に焦点が当てられている。
それにしてもこの主人公は、元警察官にしてバンドのギタリスト、ブランド品で装い銘柄ワインを楽しみ、かつ多数の女性と関係を持つモテモテ男という設定で、著者は人間味のある探偵として設定したのかもしれないが、ちょっとできすぎである。服のブランド名や酒の銘柄が次々出てくるのも煩わしい。

北欧の社会派ミステリーを読むと、スウェーデンの刑事ヴァランダーシリーズにしても本作品にしても、移民・難民問題が重要なテーマとして繰り返し取り上げられており、かつ、過去のナチスとの関係が清算されずに残っている政財界の闇が照射される。
平和で住みやすい社会福祉国家のイメージの影の部分にある、デンマーク現代史をめぐるドラマとして興味深く読んだ。
デンマークに死す (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:デンマークに死す (ハーパーBOOKS)より
4596523169
No.1:
(3pt)

デンマーク、ナチス・ドイツ占領下の闇の歴史

デンマーク・スリラー。舞台はコペンハーゲン。主人公は私立探偵ゲーブリエル・プレスト。
 或る5月の夜、ゲーブリエルのかつての恋人であり人権派弁護士のレイラが彼を訪ねてきます。彼は5年前、法務長官だったサネ・メルゴーをイラク系移民でもあるユセフ・アフメドが殺害したとされる事件について再調査してほしいと依頼されます。アフメドの息子はデンマークへの移民申請が認められずイラクへ強制送還され、ISISに捕らえられその処刑シーンがネット上で公開されてしまった後、サネ・メルゴーの殺害事件が起き、恨みによる犯行としてユセフ・アフメドが有罪を宣告されていました。ゲーブリエルが調査を進めるに従い新たな事実が判明し、実はサネ・メルゴーは本を執筆中であり、第二次大戦中のナチス占領下のデンマークがその主題だったことに辿り着きます。果たしてユセフ・アフメド事件は冤罪だったのか?いかなる歴史的背景がそこには潜んでいるのか?
 元刑事でもある私立探偵ゲーブリエル・プレストはブランド物を身に着ける洒落者として描かれ、キルケゴールを語り、拘りの強い生活習慣と生来のウーマナイザーに見えなくもない類を見ないキャラクターであることは認められるものの好みが分かれるかもしれませんね。明らかに<米国西海岸私立探偵小説>のヒーローたちとは異なります(笑)。
 特筆すべきは現在のデンマークという国家に内在するナチス・ドイツ占領下の闇の歴史に焦点をあてながらテーマ性の高いスリラーを構築しようと試みているところにあるのでしょう。それは成功しているのかどうか?
 デンマーク・ミステリと言えば、嫌でもユッシ・エーズラ・オールスンを引き合いに出さざるを得ませんが、少し「及ばない」というのが私の正直な感想になります。
 □「デンマークに死す "A Death in Denmark"」(アムリヤ・マラディ ハーパーBOOKS) 2023/8/30。
デンマークに死す (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:デンマークに死す (ハーパーBOOKS)より
4596523169



その他、Amazon書評・レビューが 2件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク