郊外の探偵たち
- FBI (155)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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ベテランのコミックライターの長編デビュー作で、各種ミステリー賞の最終候補になった作品。5人目を妊娠中の元FBIプロファイラーと落ち目の記者が平和な郊外の街で起きた殺人事件と、その裏に隠されていた人種差別の闇を暴く、コミカルな謎解きミステリーである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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一言で言えば傑作。だが一言では終わりたくない面白さが詰め込まれている。何しろ冒頭から破天荒極まりない。「殺人事件の現場に偶然出くわしそこで末っ子がお漏らしをしてしまった」がゆえに、主人公のユダヤ人であるアンドレアは犯人捜しを始める。殺されたのはインド系のサトクナナンタンという名の青年。他にも中国系アメリカ人など多様な民族がアメリカのニュージャージー州で交錯する。そしてその多様性が事件の中心にとぐろを巻いている、というのがまた構図として美しい。捜査の過程でFBI捜査官が介入し、他方でママ友が手伝ったりというのも楽しい。しかしそれよりも本書に極上の彩りを与えているのは主人公の4人の子どもたちである。その、子どもたちを表現するときこそ、作者のメタファーは最高潮に達する。いや、メタファーは子供についてのみ鋭いわけではないし、メタファーだけを本書から抜き取って、それだけでも楽しめるほどなのだが、子どもたちについてだけはメタファーはまるで白熱しているかのような輝きを見せるのだ。重厚なテーマを洒脱に語る見事なミステリ。 | ||||
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ガソリンスタンドでインド人の青年が射殺される。 たまたま現場に通りかかった元FBIのプロファイラー、アンドレアが、自分の不遇な環境を脱するために捜査に足を突っ込むことに。 落ち目のジャーナリスト、ケニーと共に、古き悪しき時代の暗部を暴くことになるのだが、、、という話。 4人の子供と妊娠によって身動きが取れないが怜悧なアンドレアが捜査を進めていく様は楽しいが、いかんせん、あんまり話に起伏がないので、最終版まで退屈しないで乗り切れるか、がポイントになる。 最終的には面白かったのだが、もう少しハラハラドキドキしたいですね。 個人的には、アメリカブラッドの作者、ベン・サンダースのマーシャルシリーズの続編を渇望していますが、まぁ翻訳されることは永遠にないんだろうな、と。 | ||||
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何故一冊の本を読むのにこれほどの時間が掛かってしまったのであろうか(笑)。本書がつまらなかったわけではなく、私自身の夏季休暇の使い方に問題があったからなのでしょう。なかなか読書を含むルーティンに戻ることができなかった。この夏の暑さのせいかもしれません(笑)。 本書の舞台は、ニュージャージーのウェスト・ウィンザーという小さな町。ニューヨークから見たサバーブ。白人たちが暮らす地域にインド人、中国人が大挙して押し寄せるようになりそれぞれのコミュニティを形成するようになっています。そこで三十数年ぶりに殺人事件が発生します。ガソリン・スタンドで働くインド人が深夜、額に銃弾を撃ち込まれ殺害されます。その殺害現場に五人目がお腹にいる主人公・アンドレアが四人の子供たちを連れてやってきます。一番下の娘、セイディにガソリン・スタンドのトイレでおしっこをさせるために。尚且つトイレには鍵がかかりセイディはあろうことか犯行現場におしっこをぶちまけ、リンカーン・ライムであれば怒り心頭に発するであろう状況を生み出してしまいます。 しかしながらアンドレアはその現場からいくつもの手がかりに気づいてしまいます。何故なら彼女には元FBIのプロファイラーという過去があったから。そこにもう一人の探偵、プリンストン・ポスト・ウィークリーの記者、ケニーが加わり、事件は過去へと遡りながら次第に深く、深く掘り起こされていきます。果たして一体過去に何があったのか?インド人を殺害したのは誰なのか?まあ、ストーリーを描くのはここまでにしたいと思います。 スリラーとしては及第点だと思いますが(意外性があるわけではないものの伏線は綺麗に刈り取られています)、この小説の面白さはそこにあるわけではありません。 アンドレアとケニーのそれぞれの過去とキャラクター造形の巧みさ、米国に蔓延る異文化への嫌悪、差別、ダイバーシティに対するアプローチが低い目線から小説に反映されているところにあるのでしょう。 また、アンドレアとその夫・ジェフとの関係性についても深く掘り下げられていてとても興味深い。家庭を持つということは、時に「自己実現」とは相反するものであるにも関わらず何故人はそうなってしまうのか?そんなことをつらつらと考えさせる読書になりました。 □「郊外の探偵たち “Suburban Dicks”」(ファビアン・ニシーザ 早川書房) 2023/8/20。 | ||||
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