アオサギの娘
- 湿地 (18)
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この湿地のミステリーは、ついついディーリア・オーエンスの秀作「ザリガニの鳴くところ」と比較してしまう力作である。フロリダの湿地の生態系が、子供の頃の亡父との思い出の風景として、そして水鳥をスケッチする博物画家の視線でよく描写されていて、読者を旅に誘う。亡父、母と弟、そして失われた妹、隣人などとの関係の中で謎が深まり、解かれていく。ミステリーとしてのプロットはまずまずであるが、真実はやや唐突かつ拍子抜けの感があり、そこはオーエンスの方が数段上というところか。ただ、わたしには著者が描こうとして、途中で気を変えてしまった湿地の深みに真犯人がいるようでならない。オーエンス作の最終章のように。秋冬の夜長にフロリダの湿地に旅してお楽しみあれ。 | ||||
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舞台は、フロリダ北部の架空の町、テネキー。スミソニアン自然史博物館で鳥類画家として働くロニ・メイが主人公。彼女はひとまわり年の離れた弟・フィルから母親が転んで骨折し、フロリダへ帰ってほしいと請われます。母親・ルースには認知症の症状が出ており、そんなこんなで長期休暇を取ってほしいと言われてしまいます。 介護施設に入っているルースを訪ねたロニは「ロニの父親・ボイドの死について話しておかなくてはいけない」という手紙を見つけてしまいます。ボイドはフロリダ漁業局の管理官でしたがロニが十二歳の時に湿地で溺死し事故死として扱われていました。湿地を知り尽くしていたボイドが溺死するはずがないと思い続けていたロニ。自死も噂されていました。果たしてその真相は一体?ロニはその手紙を書いたヘンリエッタという人物を探そうとします。まるでド素人のハードボイルド・ヒロインのように。 スリラーですから、ストーリーの要約はここまでにしておきたいと思います。 8週間以内にワシントンDCに戻らなければいけないというサスペンスが一方にありながらも、ロニは親友のエステルから鳥の絵を描いてほしいと仕事を頼まれ、鳥の観察のために湿地をカヌーを漕いで渡ります。その煌めくような自然描写が第一の読ませどころでもあります。そして、母の日記、記憶、多くの植物(就中、ハーブズ)、鳥たちに彩られながら、次第にロニは父親の死の真相へと近づいていきます。 およそ四分の三を過ぎるまではスローテンポで手がかかりが明かされ、なかなかそこにすら辿り着けないもどかしさを感じさせながらも或る出会いを過ぎた後からは一気呵成に読み終えることができると思います。(万が一、鳥も、植物にも一切関わりたくないと思っている読者がいたとしたら、この物語には相応しくない読者と言えるでしょう(笑)) 邦題もスリラーの邦題にしては珍しく(笑)素敵ですが、読み終えてみると原題もまた美しい意味合いを持たされています。カヌー・ショップのオーナー・アドレーと共にカヌーに乗り湿地帯を漕ぎ出すロニ。 "パラケルススは、すべての植物は地上の星であり、すべての星は霊化された植物であると信じていた〟"(p.366) そのテーマは簡潔で穢れがない。 □「アオサギの娘 "The Marsh Queen"」(ヴァージニア・ハートマン 早川書房) 2023/5/11。 | ||||
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