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スパイはいまも謀略の地に



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【この小説が収録されている参考書籍】
4152099534

スパイはいまも謀略の地にの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

88歳にして新たな挑戦をした意欲作

88歳にして現役作家として活躍するジョン・ル・カレの25作目の長編小説。得意分野であるスパイの世界が題材だが、単純な諜報戦に終わらせず、個人の忠誠心と組織の論理、祖国への愛憎、自律と信頼関係など、人間が誇り高く生きるとはどういうことかを追及した、味わい深いスパイ・ミステリーである。
ロシア対策で実績を残して来たイギリス秘密情報部員・ナットは、そろそろ引退を考えていたのだが、帰国したロンドンでロシア対策を担当する弱小部署の再建を依頼される。赴任してみるとそこは、使えないスパイを集めた吹き溜まりのような部署だった。それでもナットは自分で仕事の意義を見つけ出し、ロシアの新興財閥がらみの怪しい資金移動を調べ始めるのだった。プライベートでは趣味のバドミントンを続けており、所属クラブのチャンピオンとして、ある若者・エドの挑戦を受け、定期的にプレーする仲になる。そんなとき、あるロシア人亡命者から「ロシアの大物スパイがロンドンで活動を始めそうだ」という情報がもたらされ、秘密情報部全体で取り組む大きな案件として動き始めた・・・。
ロンドンを舞台にしたロシアとイギリスの諜報戦、と見せかけて、最後にはあっと言わせる構成が見事。読者は決して騙される訳ではなく、論理的に説得されて、どんでん返しを楽しめる。全体的に、昔の作品に比べてストーリー展開が分かりやすく、エピソードやキャラクターを十分に楽しむことが出来る。いつまでも殻を破り続けるル・カレの凄さに感嘆する傑作である。
古くからのル・カレのファンにはもちろん、若い読者にも自信を持ってオススメする。

iisan
927253Y1

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