獄門橋
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
獄門橋の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
早川書房様 毎月、ポケミスの新刊を楽しみに拝読しています。 さて、今月の新刊「獄門橋」連番が2016番とあります。 先月の「鎖された声」が2014番でしたが、2015番は欠番ですか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
或る理由から"Big Sur"経由、サンフランシスコ及びその近郊を調査していた私にとって最適な米国歴史ミステリーの秀作でした。早川書房つながりで言えば、2025/2月に読んだ「ミセス・ワンのティーハウスと謎の死体」の舞台もまたサンフランシスコのチャイナタウンでしたが、時系列も物語の種類も違ったものでした。とにかく今の私は<桑港>に反応します(笑)。 1944年3月。カリフォルニア州、バークレーが舞台。<クレアモント・ホテル>の一室にて、元大統領候補であるウォルター・ウィルキンソンが殺害されて発見されます。主人公、バークレー市警察の刑事、アル・サリヴァンは目撃者を突き止めますが、容疑者はサンフランシスコの名家ベインブリッジ家の娘たち三人でした。名家の名を汚すことができないことを理由に念入りな捜査を求められるアルは14年前に同じ<クレアモント・ホテル>でベインブリッジ家の少女が不審死を遂げていたことを知ります。 物語は3つの視点から語られていきます。1944年現在のアルの一人称(その捜査は、<西海岸私立探偵小説>を想起させます)。地区検事長、ドゥーガンによるベインブリッジ一家の長でもあるジェネヴィーヴの聞き取り調査の記録。そして、1930年、もう一人のベインブリッジ家の娘、アイリスに起きた悲劇を描写する彼女の妹、イッシーの視点。果たして、ウォルターはいかに死に至ったのか?犯人は誰?これ以上、詳細は書くことができません。 いくつかの反転を含みながら<Why-Done-It>、<Who-Done-It>が緻密な構成の下、艶やかに構築されています。そのプロットは正攻法でありながら深く静かに米国の歴史へと私たちを誘ってくれます。 大恐慌と第二次世界大戦。アメリカン・ドリームの対極にある貧困と現在に於いても決して消えることのない差別。中国のファースト・レディの存在。壮麗なクレアモント・リゾート。ベイエリアの歴史。世界最大の造船の中心地。悪辣な精神分析。チャイニーズ・マフィア。嗚呼、ハースト・キャッスル。先住民たち、白人移住者、白人ではない移住者たち。米国でマイノリティとして生きることの悲しみ。他。それらのカリフォルニア州の歴史とファクターが渾然一体となって<Why-Done-It>へとつながります。それは、見事だ。私の筆力では、とても語り尽くせない。 特筆すべきは刑事、アル・サリヴァンのキャラクターと女性たちとの関係性にあって、それは伝統的な<西海岸私立探偵小説>に蟠る「女嫌いの系譜」を想起したりもしました。そしてそのストーリテリングと<血>はやはりロス・マクドナルドへと収斂していくような気がします。砂塵の中から本当の金を見つけて欲しい。私はアル・サリヴァンから彼の姪、ミリアムへの眼差しの中にそれを見つけることができました。 よって、この邦題は好きになれませんでした。もしそれが<メタファー>であるならば、尚更。 ◻︎「獄門橋 "The Golden Gate"」(エイミー・チュア 早川書房) 2025/5/4。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 2件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|