裁きのメス
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普段ミステリは読まないのだが、1875年のフィラデルフィアを舞台とし、女性医師が主人公の医療ミステリという点で興味を持って読んだ。1875年は日本では明治8年、女性医師のような職業につくのは考えられない時代だったと思うが、本書の主人公リディアは女子医学校で教鞭を執る女性医師で、殺人事件の解決にも奔走し、最初は懐疑的だった警察官たちからも信頼を勝ち取る。ミステリファンでなくても楽しめたし、フェミニズム運動が新たなフェーズを迎えた昨今だからこそこういう本が支持され(エドガー賞新人賞の候補にもなったりして)るのかと考えた。 | ||||
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一、あれこれ ◯日本の翻訳ミステリーの市場はたいへん好調とはいえないようだが、エドガー賞関連は翻訳出版してもらえることが比較的多いようである。 ◯本書は去年のエドガー賞新人長編賞の最終候補作だが、去年の新人長編賞最終候補作5編(受賞作含む)のうち、すでに3編が日本語訳出版されており、本書は4編目の邦訳出版である。 すなわち、『孔雀と雀』(受賞作)が3月にハワカワ文庫で、『獄門橋』が5月ポケミスで、『罪に願いを』が6月集英社文庫で翻訳出版されている。未訳は『最後のロシアン・ドール』のみである。 ◯面白いのは、男性作家の書いた、『孔雀と雀』(2010年代が舞台)と『罪に願いを』(現代のペンシルヴェニアが舞台)がほぼ現在を描いた小説なのに、女性作家三人の作品は完全な時代または歴史ミステリーであることである。 つまり ☆『獄門橋』は『タイガー・マザー』等の著書で著名な法学者エイミー・チュアの小説デビュー作で、1944年のカリフォルニア州バークレイを舞台とした、時代刑事捜査小説。 ☆『最後のロシアン・ドール』(未訳)はケンブリッジで歴史学とスラヴを学んだクリステン・ローシュによる過去のロシアを舞台にした大河女性ミステリーで、イギリス在住の若い女性が、ロシアへ戻り、ロシア革命からソ連解体に至るまでの三代のロシア女性史、(自ら)の家族史を探っていくという内容らしい。 ☆そして、本書は子供の頃からのミステリー好きの女性医師リツ・ムケルジが1875年のフィラデルフィアを舞台に、女医リディア・ウェストンを主人公として描く殺人事件解明の医学時代ミステリーである。リディアはペンシルヴェニア女子医学校の医学教授(法医解剖も行う)兼スプルース・ストリート診療所の臨床医で、フィラデルフィア警察捜査陣の一員ともなる ◯著者リツ・ムケルジの履歴は本書のカバーに載っており、公演・インタビュー・サイン会の様子が7分程度の動画配信で観られる。最近のサイン会のショート動画もネットに上がっている。 私的感想 ◯たいへん面白かった。 ◯ただ、原書の書評、レビューに激賞のものが多すぎることには、ちょっと違和感を覚えた。個人的には、時代考証が楽しく、適度に謎があり、事件は適度に多重構造で、適度にサスペンスもあって、主人公は適度に好感度あり、適度に頑固で、適度に貧困育ちで、適度にフェミニズム主張もあり、展開は適度にダイナミックで、楽しく、面白い本だが、大傑作とまでは・・・ ◯最後近くまで、真犯人がわからない状態で読者を引っ張っていく点、安易に連続殺人に走らない点は、さすが、子供の頃からのミステリー好き作家である。 ◯次作翻訳もぜひ読みたい。 | ||||
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