スケープゴート
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孤独で憂鬱な気分に沈んでいるイギリス人のジョン。フランス歴史の学者で大学で教えている。フランス語は堪能。一方、家族関係や赤字のガラス工場の問題で悩みをかかえているフランス人の伯爵、ジャン・ドゥ・ギ。二人はフランスの酒場で知りあった。他人なのに瓜二つだった。あくる朝にジョンがめざめると、ジャンは行方不明。ジャンの服を身につけると、迎えにきた伯爵家の執事にジャンと間違われて屋敷につれていかれてしまう。 最初は罠にはめられた男の悲劇かなと思ったが、ジョンが伯爵家のこじれた人間関係をなんとかしようと努力を重ね、赤字のガラス工場を潰さずに耐えようとする姿勢は感動的である。人生の傍観者にすぎなかった男が、他人の人生に放り込まれて生き直すのだ。最後はジャンの再登場で終わりがくるが、職場も住むところも貯金もなくなったジョンだが、貴重な経験を経てたくましく生きてくれるのはまちがいない。 | ||||
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独身の歴史学者ジョンは、まるで分身のように自分と生き写しの伯爵と偶然出会うが、彼はジョンの車や荷物の一切合切を盗んで姿を消す。入れかわりに伯爵の城をおとずれたジョンは、彼のなりすましを演じる羽目に陥ってゆくのだが…。 突飛おしもない偶然に、「あり得ね~ッ」と言いたくなるような導入部だが、デュ・モーリアの筆にかかると、風景も登場人物たちも、堅牢なプロットの内でみるみる奥行きと陰影をそなえて呼吸しはじめ、リアリティと説得力のある物語に、読み手をぐんぐん引き込んでゆく。奇々怪々な殺人事件が起こるわけでも、驚天動地のトリックが散りばめられているわけでもない。しかし、複雑な愛憎をはらんだ一族の屈折した関係性と、破産寸前の事業を前にした主人公が、人々の言動などを手がかりに本物の伯爵らしさを演じつつ、やがて歪んだ家族関係と傾いた事業を再生させようとするストーリーは、ページをめくる手を止めさせないサスペンスがある。ただ、時おり指先を止めてしまうのは、繊細で卓越した描写に同じセンテンスを、ついつい二度読み三度読みさせられてしまう時ぐらいか…。 『レベッカ』『レイチェル』『原野の館』と、いま文庫で読める著者の三長編は、いずれも傑作だが、本作もまた三つ星…、いや、五つ星レストランの一流シェフ、デュ・モーリアの腕がふるわれた味わい深いディナーとして、満足のゆく読書時間を充分に堪能させてくれた。 | ||||
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デュモーリア作品ですので、ゴシック文学の魅力を濃厚に湛えつつ、現代的とも感じるテンポの良いストーリーで、このレベルの作品が今になってようやく訳されたことに驚きつつ、翻訳者の方に感謝いたします。良い意味で通俗的な盛り上がり方をするので、レベッカより面白いと感じます。「うり二つの登場人物」「なりすまし」「盗聴」「密通(もちろん男女の。さらに正確に言うなら密通未遂)」などのキーワードが至高の融合を見せて本作品を盛り上げます。美しさを湛えつつ、読みやすい訳文。非常におすすめです。 | ||||
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