リッチ・ブラッド
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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「プロフェッサー」シリーズ、「ボー・ヘインズ」シリーズに続く新シリーズの第一作。殺人の犯人とされた姉を救うために36歳の民事専門弁護士・リッチが初めての刑事裁判に挑戦するリーガル・サスペンスである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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私的感想 ◯特に難しいところはなく、すらすら読めた。 ◯登場人物表に載っているのは26人だが、表外の人物も出てきて、かなり多い。出番少ない人物もうまく描き分けられていて、それぞれ印象に残る。 ◯ミステリーとしては、よくある真相といえなくはないが、こういう形で展開されると、やられた、叫びたくなる。 ◯家族リーガルドラマとして、たいへん面白い。 ◯アルコール依存、薬物依存の人々が、意外とパワフルに描かれている。 ◯脇役女性達の好感度高い。弁護士パートナーのイジー、ジャーナリストのキーシャ、再会する初体験相手のチェイス。この点では、主人公は幸せ者に見える。 ◯決め手となる証人の登場と、✕✕✕✕が主人公にとってラッキーすぎるように思うが、面白いから、まあいいでしょう。 ◯池上氏の解説の、リーガル・サスペンスの黄金時代は二十年前に終わった、は面白かった。 ◯次作も読みたい。 | ||||
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米国南部州で現実にありそうなリーガルスリラーを堪能できる傑作。続編を期待! | ||||
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依存症やPTSDとの闘い、腹立たしい愚姉との葛藤を通した自己再生ストーリー。 | ||||
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ロバート・ベイリーを読むのは「ザ・ロング・サイド 嘘と聖域」(2024/2月)以来になります。そして、新たなリーガル・スリラー、「ジェイソン・リッチ」シリーズの幕開けです。舞台はアラバマ州。前作の舞台テネシー州プラスキからそれほど遠いわけではありません。 ジェイソン・リッチは主要幹線道路に自らの顔写真を載せた看板をばら撒く民事専門の弁護士。(顔写真を載せた看板というとどうしても我が国のインプラントの歯科医を想起してしまいます(笑))リンカーン弁護士ではなくビルボード弁護士。彼は凄腕弁護士でありながら多くの機能不全を抱えた「アルコール依存症者」としてその姿を現します。彼は或ることが起因して法曹協会からリハビリ施設への入院を命じられ、退院したその日に姉のジャナから連絡を受けることになります。ジャナの夫、ブラクストン・ウォーターズ医師が自宅で遺体で発見され、ジャナはその殺害を教唆した容疑により告発されていました。 ジェイソンはその依頼を受けるかどうか懊悩します。自身が「アルコール依存症者」であり、刑事裁判の経験が全くなく、加えて依頼者・ジャナの存在そのものを果たして信頼していいのかどうか? ジャナの存在が大きくクローズ・アップされる訳ですが、彼女は地元の麻薬王、タイソン・ケイドから麻薬を買い、<性>にも問題を抱える妖しい依存症者として圧倒的な存在感を示しています。言ってしまいましょう。依存症者は自分を守るためであれば、嘘に嘘を重ねながら嘘をつきまくります。その存在そのものがこの物語にサスペンスを与えています。果たして、ジャナは自分の夫の殺害を実行者に指示したのか?中盤から開始される法廷はいかなる経過を辿るのか? スリラーですからこれ以上詳述することはできませんが、ミステリの枠組みだけを捉えた時、ベイリーの過去の作品と比べて事件が小ぶりであることに加えて、幾つかの違和感を抱きました。一つは、実行犯・パイクの言動に関連して解せないことがあること(笑)。二つ目は、もしかすると真実は別にあるのではないかと思わせられること。 しかしながら、相変わらず物語には多くの美点があって、それらがつづれ織のように精緻に織り上げられています。 複雑さを増すこの世の<家族の問題>について。ジェイソンを陰で支援する法律事務所のパートナー、イジー。私立探偵・ハリーの存在には、<リンカーン弁護士>にとってのシスコを思いながら、ジェイソンの家族を守るトニダンデル兄弟という軍団とジェイソンの幼馴染、美しいチェイスに至ってはいかなるシリーズモノの主人公もまた一人では何もやりおおせることはできないことを再確認させてくれます。 特筆すべきは新シリーズを作るにあたってベイリーは、主人公を等身大のキャラクターとして造型したことにあるのでしょう。「アルコール依存症者」の弁護士は、度々アルコールを前にして深い苦しみを味わう訳ですが、もしかすると彼はアルコールを摂取してしまうのではないか?というもう一つのサスペンスがこのスリラーに与えられることになります。(そこに嘘つきのジャナの存在があって、何故かタイトルがシンボライズする<血>へと繋がり、肉親としての愛以上に<依存症者>どおしだけが理解できる<共感>が<血>のように流れているのではないかと思えたりもしました) 解決されない問題が残されたままエンディングを迎えますが、それについては継続するシリーズの中で明らかにされていくのでしょう。次作を期待します。 さて、多くの物語の中でAA(Alcoholics Anonymous)のミーティングが(取り上げられることはあっても)ほとんど描写されることはありませんでしたが、今回はさり気なく、しっかりと描かれていると感じました。アルコールであれ、ギャンブルであれ、薬物であれ、セックスであれ、買物であれ、<依存症者>たちが回復への道へ向かうとき、ミーティングへの参加と"12ステップ・プログラム"への学びなくして<回復>を語ることはできません。よって、ジェイソンが初めてAAのミーティングに参加する姿に何がしかの感動を覚えたことも確かです。 しかし、AA(Alcoholics Anonymous)は何故、「断酒会」と邦訳されることが多いのでしょうね?それは間違いではありませんが、"12ステップ・プログラム"を学んだ人間たちにとっては違和感を覚える部分であるかもしれません。あくまで断酒することは始まりであって目的ではありませんね。それではどう訳すべきなのか?世界保健機関に従えば<アルコホーリクス・アノニマス>("AA")そのままで充分通用するような気がします。 □「リッチ・ブラッド “Rich Blood”」(ロバート・ベイリー 小学館文庫) 2025/1/09。 | ||||
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