ザ・ロング・サイド



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初公開日(参考)2024年02月
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長編小説

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ザ・ロング・サイド

2024年02月06日 ザ・ロング・サイド

テネシー州プラスキ。ジャイルズ・カウンティ高校のアメリカンフットボール・チーム「ボブキャッツ」がライバル校を相手に歴史的な勝利を収め、試合後には地元の人気バンド「フィズ」がそのスタジアムでコンサートを行い町中が熱狂した夜――翌朝、バス置き場で遺体が見つかった。被害者はフィズのカリスマシンガー・ブリタニー。容疑者は、彼女の恋人で「ボブキャッツ」のスター選手オデル。現場に残された証拠はどれもオデルが犯人だと示していたが、彼は無実を主張し、彼が父親のように慕う弁護士ボーセフィスに弁護を依頼する。地元の黒人コミュニティは騒然とし、オデルをブリトニー殺害の犯人と敵視しはじめる。一年前に子どもたちの親権を取り戻し、やっと平穏な生活を手に入れたボーは、オデルの弁護は「間違った側(ザ・ロング・サイド)」に立つことではないかと逡巡する……。 「トム・マクマートリー」シリーズに続く法廷エンタメ「ボーセフィス・ヘインズ」シリーズ、激アツの完結編!(「BOOK」データベースより)




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ザ・ロング・サイドの総合評価:7.83/10点レビュー 6件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
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(7pt)

典型的な状況設定で分かり易いが、胸熱度は低下

「弁護士ボー・ヘインズ」シリーズの第2作(プロフェッサーからのシリーズとしては第6作)でシリーズ完結編。地元高校のフットボールのスター選手が街の人気者の少女殺害容疑で逮捕された事件をめぐる法廷ミステリーである。
ライバル高校との試合で華麗なプレーを決めて勝利に導いたオデルが翌日、地元の人気バンドのボーカル・ブリタニー殺害の容疑で逮捕された。二人は恋人同士だったのだがブリタニーはレコード会社とソロデビューの契約を結び、その試合後に別れの手紙を残して街を出て行く決意をしていた。突然に一方的な別れを告げられたオデルは試合後のパーティーで荒れ狂い、「償いをさせてやる」などと不穏な言葉を口走っていたという。しかも、オデルはブリタニーの死体が発見された現場近くで眠り込んでいて、近くには凶器と思われるビール瓶が落ちていた。次々と積み重なっていく証拠はオデルに不利なものばかりで、街はオデルに厳罰を求める声に満ちていたのだが、オデルは無実を主張し、ボーに弁護を依頼してきた。不幸な育ち方をして問題を抱えていたオデルを立ち直させるために農場の仕事を手伝わせ、息子同然に可愛がってきたボーだったが、即座に弁護を引き受けるとは言えなかった。どこから見てもオデルが無実とは思えず、弁護を引き受けるなら街の住人のほとんどを敵に回すことになり、子供たちとの平穏な暮らしが失われることは目に見えていたからだった。八方塞がりの中、正義とは何か、正しい側とは何か、ボーは迷いに迷うのだった…。
フットボールのスター選手と人気バンドのボーカルという輝かしい若者が犯人と被害者になった事件、圧倒的に不利な状況からの法廷逆転劇という理解しやすい物語である。それだけに、本シリーズ(プロフェッサー・シリーズを含めて)の特徴である胸熱、正義を求める人々のヒリヒリする熱気はやや下がったと言わざるを得ない。それでも、第一級の法廷エンタメであることは間違いない。
シリーズ愛読者はもちろん、法廷もの、現代社会の諸問題をテーマとしたミステリーがお好きな方に自信を持ってオススメしたい。

iisan
927253Y1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.5:
(4pt)

何て熱い、そしてクールなんだ、ボーよ!

殺害動機から犯人は早くから絞れたが、ネックレスが痣となるとは・・・。
ザ・ロング・サイドAmazon書評・レビュー:ザ・ロング・サイドより
4094071598
No.4:
(5pt)

米国の南部の州での法律社会下の人間模様。

黒人弁護士の苦悩と活躍振り
ザ・ロング・サイドAmazon書評・レビュー:ザ・ロング・サイドより
4094071598
No.3:
(3pt)

ボーセフィス·シリーズ完結編という事で購読!!!

なぜ、ブリタニーはメールでもいいし、一言、言わなかったの?
そうすれば悲しい結末にならなかったのに、其処のところが不思議?でした
ザ・ロング・サイドAmazon書評・レビュー:ザ・ロング・サイドより
4094071598
No.2:
(4pt)

6つのシリーズ作品を順番に読んで、ここに辿り着いて頂くと味わいパーフェクトとなるシリーズ完結編

マクマートリー教授シリーズ4部作の後、ボーのその後を描く二部作の後半部が本書である。新たな事件でありながら前作を引きずるかたちの展開で、マクマートリーとボーによる<けつの穴全開>シリーズ全作? の完結編であることで、本シリーズはとうとう幕を閉じる。「胸アツ」の強烈形容詞を携えて一気に読者の胸倉を引っ張ってきた感のあるスポ根リーガル・ミステリーの最終の一幕をまたもしっかりと味わってしまった。

 舞台は、KKK誕生の地のプレートが遺る曰くつきの街、テネシー州プラスキ。主人公は元アラバマ大フットボールチーム花形選手だった黒人弁護士ボーセフィス・ヘインズことボー。スタートは、ジャイルズ・カウンティ高校のアメフト・ゲームで始まる。試合後には、ロックバンド“フィズ“によるライブ・コンサートが予定されており、プラスキの夜は沸騰して見える。

 試合で予想通りの活躍を見せたオデル、試合後のコンサートでボーカルを務め会場の注目を浴びたブリタニー。エキサイティングな夜の後に遺されたものは、人気のない深夜のバス置場で殺害されたブリタニーと、酔って保護されたオデルだった。何が起こったのかわからない夜。オデルがブリタニー殺害犯として立件される道筋が見えてくる。われらがボーは、この事件に、またこの事件を待つ法廷でどのような役割を果たすのか? 本作の見どころは、ボーの体験してきたこれまでの運命が、彼をどこへ導いてゆくのか? 数作前で妻を失ったボーの再生の道はどこへ向かうのか?

 というわけで本シリーズの完結編ともなる本作。満員のフットボール会場。とことんジャイルズ郡プラスキがその舞台。前作でどこか遺恨の残りそうな結末を共にした検事ヘレンの意味深げなプロローグも気になる。シリーズ作品としての連続性を背景にしながら、単独作品としての練度もしっかりした法廷ミステリー、胸アツ主人公ボーとその子供たち。また彼の法律事務所を支える秘書と探偵のトライアングルによる連携プレイ。エンターテインメントのパーツをそこかしこに仕掛けた状態で迎えるシリーズ、クライマックスが本書である。

 過去の様々な出来事が追想されながら本書という結末に収斂してゆく大団円的ストーリーだが、何分真相が見えにくい。幾重にも視野を歪ませる仕掛けが用意されており、そこに絡む怪しげな人物なども複数配置。読めるようで読めない真相。予期不能の結末。シリーズがスタートとなった『ザ・プロフェッサー』からずっと熱い血で読者を引き込んできたシリーズ6作目にして最終作の本書。単独でも愉しめるが、やはり一作目から時間軸を辿って読んでここに辿り着く方が、読者としてはパーフェクトな味わいが得られると思う。ストーリーは同じ地平で繋がっているからである。過去作があって今がある。未読の方は是非、順序だててトライして頂きたい。既読者はさて次なるシリーズの邦訳を心待ちにしようではないか。
ザ・ロング・サイドAmazon書評・レビュー:ザ・ロング・サイドより
4094071598
No.1:
(4pt)

正に”Get Ass Open”で(笑)

前作「嘘と聖域 “Legacy of Lies”」を読んだのは、2023/2月。前作では、いくつかの疑問が残されたままエンディングを迎えていましたが、本作ではそれらが全て解消されることになるのでしょうか?ボーセフィス(ボー)・ヘインズ・シリーズ第二作。
 舞台は、テネシー州プラスキ。ジャイルズ・カウンティ高校の歌姫ブリタニーの遺体がバス置き場で発見されます。そして、その同じ場所で彼女の恋人でもある同高校のアメリカン・フットボールのスター選手、オデルが逮捕されます。オデルは以前に通っていた高校を退学し、いくつかの問題を抱えていましたが、主人公・ボーセフィス・ヘインズは、彼の農場を手伝わせながらオデルの面倒を見ていました。捜査が進み、オデルに不利な証拠が積み上がり、華々しい将来を約束されたブリタニーの命が奪われたことによる市民の正義を求める声が渦巻く中、オデルはボーにその弁護を依頼することになります。一方、前回ボーに助けられた検事長・ヘレンもまたいくつかの深刻な不安に思い悩んでいました。一体ブリタニーは誰に殺害されたのか?ヘレンの不安とは?勿論いつものようにリーガル・スリラーですから、全てのエヴィデンスは最後の法廷シーンに収斂し、<はなれわざ>が炸裂します。まあ、説明はここまでにしておかないと(笑)。
 原題がとても象徴的ですね。今回のボーは、弁護すべきかどうか懸命に悩み抜きます。それだけで本書の半分以上のページ数を費やしてしまうほどに。正義のために執念を燃やす一方、彼の家族はどうなってしまうのか?正義を振りかざすことでプラスキの町を分断することになりはしないのか?しかしながら、真実は一つであり、正義への滾る思いはやはり最後まで揺らぐことはなかった。
 でも、本作は前作とセットで考えて纏まりあるものになっていますので、本作だけを単独でレビューするとロバート・ベイリーが書いた著作としてはアベレージなのでは?と思えたりもしました。「ザ・プロフェッサー」の頃の米国南部のむせ返るような密度が希薄になったような印象があります。
 そうは言っても、ボーたちの熱気は伝わっています。<黒人差別>の長い長い歴史が横たわり、バックグランドには「アラバマ物語」があって、それでも尚男たちは常にフルスロットルで闘い続けなければならない。正に”Get Ass Open.”で(笑)。
 □「ザ・ロング・サイド “The Wrong Side”」(ロバート・ベイリー 小学館文庫) 2024/2/8。
ザ・ロング・サイドAmazon書評・レビュー:ザ・ロング・サイドより
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