ザ・ロング・サイド
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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「弁護士ボー・ヘインズ」シリーズの第2作(プロフェッサーからのシリーズとしては第6作)でシリーズ完結編。地元高校のフットボールのスター選手が街の人気者の少女殺害容疑で逮捕された事件をめぐる法廷ミステリーである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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殺害動機から犯人は早くから絞れたが、ネックレスが痣となるとは・・・。 | ||||
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黒人弁護士の苦悩と活躍振り | ||||
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なぜ、ブリタニーはメールでもいいし、一言、言わなかったの? そうすれば悲しい結末にならなかったのに、其処のところが不思議?でした | ||||
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マクマートリー教授シリーズ4部作の後、ボーのその後を描く二部作の後半部が本書である。新たな事件でありながら前作を引きずるかたちの展開で、マクマートリーとボーによる<けつの穴全開>シリーズ全作? の完結編であることで、本シリーズはとうとう幕を閉じる。「胸アツ」の強烈形容詞を携えて一気に読者の胸倉を引っ張ってきた感のあるスポ根リーガル・ミステリーの最終の一幕をまたもしっかりと味わってしまった。 舞台は、KKK誕生の地のプレートが遺る曰くつきの街、テネシー州プラスキ。主人公は元アラバマ大フットボールチーム花形選手だった黒人弁護士ボーセフィス・ヘインズことボー。スタートは、ジャイルズ・カウンティ高校のアメフト・ゲームで始まる。試合後には、ロックバンド“フィズ“によるライブ・コンサートが予定されており、プラスキの夜は沸騰して見える。 試合で予想通りの活躍を見せたオデル、試合後のコンサートでボーカルを務め会場の注目を浴びたブリタニー。エキサイティングな夜の後に遺されたものは、人気のない深夜のバス置場で殺害されたブリタニーと、酔って保護されたオデルだった。何が起こったのかわからない夜。オデルがブリタニー殺害犯として立件される道筋が見えてくる。われらがボーは、この事件に、またこの事件を待つ法廷でどのような役割を果たすのか? 本作の見どころは、ボーの体験してきたこれまでの運命が、彼をどこへ導いてゆくのか? 数作前で妻を失ったボーの再生の道はどこへ向かうのか? というわけで本シリーズの完結編ともなる本作。満員のフットボール会場。とことんジャイルズ郡プラスキがその舞台。前作でどこか遺恨の残りそうな結末を共にした検事ヘレンの意味深げなプロローグも気になる。シリーズ作品としての連続性を背景にしながら、単独作品としての練度もしっかりした法廷ミステリー、胸アツ主人公ボーとその子供たち。また彼の法律事務所を支える秘書と探偵のトライアングルによる連携プレイ。エンターテインメントのパーツをそこかしこに仕掛けた状態で迎えるシリーズ、クライマックスが本書である。 過去の様々な出来事が追想されながら本書という結末に収斂してゆく大団円的ストーリーだが、何分真相が見えにくい。幾重にも視野を歪ませる仕掛けが用意されており、そこに絡む怪しげな人物なども複数配置。読めるようで読めない真相。予期不能の結末。シリーズがスタートとなった『ザ・プロフェッサー』からずっと熱い血で読者を引き込んできたシリーズ6作目にして最終作の本書。単独でも愉しめるが、やはり一作目から時間軸を辿って読んでここに辿り着く方が、読者としてはパーフェクトな味わいが得られると思う。ストーリーは同じ地平で繋がっているからである。過去作があって今がある。未読の方は是非、順序だててトライして頂きたい。既読者はさて次なるシリーズの邦訳を心待ちにしようではないか。 | ||||
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前作「嘘と聖域 “Legacy of Lies”」を読んだのは、2023/2月。前作では、いくつかの疑問が残されたままエンディングを迎えていましたが、本作ではそれらが全て解消されることになるのでしょうか?ボーセフィス(ボー)・ヘインズ・シリーズ第二作。 舞台は、テネシー州プラスキ。ジャイルズ・カウンティ高校の歌姫ブリタニーの遺体がバス置き場で発見されます。そして、その同じ場所で彼女の恋人でもある同高校のアメリカン・フットボールのスター選手、オデルが逮捕されます。オデルは以前に通っていた高校を退学し、いくつかの問題を抱えていましたが、主人公・ボーセフィス・ヘインズは、彼の農場を手伝わせながらオデルの面倒を見ていました。捜査が進み、オデルに不利な証拠が積み上がり、華々しい将来を約束されたブリタニーの命が奪われたことによる市民の正義を求める声が渦巻く中、オデルはボーにその弁護を依頼することになります。一方、前回ボーに助けられた検事長・ヘレンもまたいくつかの深刻な不安に思い悩んでいました。一体ブリタニーは誰に殺害されたのか?ヘレンの不安とは?勿論いつものようにリーガル・スリラーですから、全てのエヴィデンスは最後の法廷シーンに収斂し、<はなれわざ>が炸裂します。まあ、説明はここまでにしておかないと(笑)。 原題がとても象徴的ですね。今回のボーは、弁護すべきかどうか懸命に悩み抜きます。それだけで本書の半分以上のページ数を費やしてしまうほどに。正義のために執念を燃やす一方、彼の家族はどうなってしまうのか?正義を振りかざすことでプラスキの町を分断することになりはしないのか?しかしながら、真実は一つであり、正義への滾る思いはやはり最後まで揺らぐことはなかった。 でも、本作は前作とセットで考えて纏まりあるものになっていますので、本作だけを単独でレビューするとロバート・ベイリーが書いた著作としてはアベレージなのでは?と思えたりもしました。「ザ・プロフェッサー」の頃の米国南部のむせ返るような密度が希薄になったような印象があります。 そうは言っても、ボーたちの熱気は伝わっています。<黒人差別>の長い長い歴史が横たわり、バックグランドには「アラバマ物語」があって、それでも尚男たちは常にフルスロットルで闘い続けなければならない。正に”Get Ass Open.”で(笑)。 □「ザ・ロング・サイド “The Wrong Side”」(ロバート・ベイリー 小学館文庫) 2024/2/8。 | ||||
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