嘘と聖域
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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「ザ・プロフェッサー」に始まった「トム・マクマトリー」四部作を受け継ぐ新シリーズの第1作。トムの教え子で親友の黒人弁護士・ボー・ヘインズが主役を務める、熱血リーガル・サスペンスである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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アメリカ社会に於ける多様な人間関係の在り様と複雑な司法ルールを軸とした迫力のあるミステリ的ストーリー展開に、はや続編を期待するばかり。 | ||||
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マクマートリー教授シリーズ4部作の後を引き継いだのは、彼の教え子ポー・ヘインズだった。作中の弁護士稼業を引き継いだのではなく、シリーズ主人公を引き継いだという意味である。ポーはマクマートリーのラグビーと法律の教え子であるわけだが、マクマートリー・シリーズでは、ポー以外の教え子も数人(リック・ドレイク、レイレイことレイモンド・ピッカルー、パウエル・コンラッド、ウェイド・リッチーなどなど)副主人公として活躍していた。ここでポーが主役を引き継いだのには、いろいろなわけがあったろう。 いずれにせよポーが主役となれば前シリーズで、二作目のサブ主人公を担ったポーの物語『白と黒のはざま』の強烈なインパクトが蘇る。そして本作は、『白と黒のはざま』の積み残しを引き取る物語とも言える。家庭を失って絶望のどん底で足掻いていたポー・ヘインズが、心身共に才気を果たすべく今一度、地の底から立ち上がる物語でもある。 『白と黒のはざま』の舞台となる町についてぼくはレビューでこう書いている。 「プラスキの現在の住人はKKK誕生の町であることを恥じているらしいが、今もなお残る差別感情は現在もアメリカ全体に影を落としてやまない。さらに白黒はっきりしない多くの人物たち。」 そしてこの構図を現在もそのまま継続する町を背景に、利権や政治腐敗に歪みつつある司法の裏の闇を抉り出すのが本書の醍醐味であるが、前半は、司法の場にすら出ようとしない過去に呑まれる主人公ポーが、闘いに目覚めるまでを描く。彼の手を引きずり上げるのは、鬼検事長のヘレン・エバンジェリン・ルイス。彼女自身が、本作では殺人の容疑者として被告席に立たされてしまうが、弁護士としてポーを指名するという逆転の構図で、新シリーズは驚愕のスタートダッシュを見せる。 前作で殺し屋ジムボーンによって破壊された(詳細は未読の方のため省略)ポー一家のその後と、司法の場へのカムバックに至る経緯で前半はほぼ終始する。また腐敗した町プラスキそのものも荒療治が必要なまでに病んでいるという要素も本書のミステリアスな部分を支える構図として重たい。 しかしポーが立ち直るに至る物語は、まるでスポ根ドラマそのもので、いつもの司法ミステリ要素プラス、アクションに加え、黒人主人公のポーでなければ表現できない根強い差別の歴史に彩られる南部の町そのものが印象的に描かれてゆく点で無視することができない。司法の欠陥をも鋭く突きつつ、作者は南部リーガル胸アツドラマをこの新たなシリーズ再出発作品とも言える本作に込めており、読みごたえは期待に違わず、たっぷりという印象。 旧シリーズを引き継いで、新たな地平でのアメフト・チームOBたちの再集合、再活躍が期待される新シリーズ、早速まずまずの手ごたえを感じる重厚な一作である。 | ||||
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胸アツ法廷エンタメ「トーマス・マクマートリー」4部作に続く、黒人弁護士ボーセフィス・ヘインズシリーズ第1作。といっても、私は4部作を1冊も読んでいないので、本書のレビューはちょっと書きにくい。 つまり、ロバート・ベイリーという作家の、作家的価値観、ストーリーの展開方法に慣れておらず、第3部の初めまでの被告の女性検事長が徹底的に追い詰められていく経過、それが、やや偶然的な出来事で光が見え始める経過に、やや違和感を覚えながら読んでいた。 しかし、女性検事長ヘレンと黒人弁護士ボーのキャラクターの魅力で、休むことができず、深夜になってもまだ読んでいた。 第4部は、見事な大逆転法廷で、大いに満足した。 テーマは結局、レイプと中絶であった。 最後の4分の1逆転を経て、最後の最後の、強引・意外・伏線回収の再会で締めくくる。 夕食後から読み始め、読み終わると深夜2時になっていた。困った。 | ||||
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ロバート・ベイリーを読むのは、トム・マクマートリー・シリーズの最終作「最後の審判」(2021/12月)以来になりますが、作者はトムの教え子でもあった黒人弁護士ボー・ヘインズを主人公にした新シリーズを引っ提げて戻ってきてくれました。正に、p.128の敵側の言葉を借りれば、"He's back!"。「嘘と聖域 "Legacy of Lies"」(ロバート・ベイリー 小学館文庫)を一気に読み終えました。 テネシー州プラスキ、第二十二司法管轄区検事長・ヘレン・ルイスが彼女の元夫のブッチを殺害した容疑で逮捕されようとしています。ヘレンは自らその弁護をボー・ヘインズに依頼することになります。トムと最愛の妻ジャズを失い、尚且つ息子と娘の親権をも失くしたボーは失意のどん底にあり、酒浸りと自己憐憫の日々を送っていました。ヘレンにとって次々と不利な状況証拠が積み上がる中、検事長の座を巡って争ったライヴァルが検事長代理を務めることになり、いよいよ追い詰められていきます。裁判はいかに展開するのか?ブッチを殺害したのは一体誰なのか?並行して描かれる「レイプ事件」はどう決着するのか?まあ、具体的に話せるのはここまででしょうね(笑)。スリラーにとって<Why-Done-It>が重要であるように、たとえ一レビュアーの感想文であったとしても具体的に"何故面白かったか"を書くことはなかなか困難なことなのです。 <米国、南部>らしい背景、社会情勢が活き活きと描写される中、何人かの<嘘>と何人かの<贖罪>がこの物語を覆い尽くしています。そこには、登場人物たちそれぞれの<嘘>はいずれにしても埋め合わされなければならないという不思議な原則に導かれているかのように思えます。80%ぐらいまで読み進めた後、ページ・ターナーであることは認めた上でトム・マクマートリー・シリーズほどの物語の膨らみを感じないまま終わってしまうのかと危惧していましたが、良い意味で違っていました。これから読まれる読者たちには、残り20%で繰り広げられる「最後の審判」をご堪能いただければと思います。はなれわざが炸裂し、暴発し、いくつかの疑問が次作へと引き継がれていくように思われます。旧メンバーに加えて何人かの新メンバーがボーセフィス・ヘインズを的確に援護してくれます。 そう、人はいつの世も独りでは生きていけないのだから。 | ||||
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