ロング・プレイス、ロング・タイム
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起きてしまった事件を食い止めるために、戻ってしまった過去で主人公が奮闘するジャンルが好きです。 このような作品に出会うたびに主人公のことを「頑張れ」と心の中で応援してしまいます。 | ||||
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過去に戻るのは理由があるから。最初から事の発端まで戻れれば良いけど、そこまで戻る迄に、自分、夫、子供、家族の愛を知る。 不思議だけど、ハートフルなストーリーです。母は強し! | ||||
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入り口も面白く、最後も意外性があり面白いが、途中がかなり余計な感じ。もう少しコンパクトに真実に向かえれば良かったのに。また、結末が納得出来ない感じ。何かを変えれば結果も変わる筈。 | ||||
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. 2022年10月30日午前零時。英国マージーサイド州クロスビーに暮らすジェンは、18歳の息子トッドの帰宅を待っていた。自宅前の通りに戻ってきたトッドは、ジェンの目の前で突然、中年の男性を刺殺してしまう。逮捕・連行された息子を夫ケリーととともに地元署まで追いかけていくが、朝まで会えないと追い返される。翌朝、目が覚めたジェンは、自分が10月28日に戻っていることに気づく。その後も目覚めるたびに少しずつ時間を遡ることになる。この不思議な現象に最初こそ戸惑うが、やがてこれを利用して事件の背景を調べ、未然に防ぐ方法を探り始める。だが、謎はかえって深まるばかりだった……。 --------------------- 2022年発表のベストセラー小説です。 タイムリープと殺人ミステリをかけ合わせたこの物語の中で、主人公のジェンは事の次第を覆っていた皮の一枚一枚を少しずつ剥いでいくようにして、意外な真相へと迫っていきます。 500頁にわたってミステリとしての抜群の面白さが続きます。息子トッドにも夫ケリーにも、母や妻に語ってこなかった秘密と謎があることが見えてきます。知らされてこなかった予想外の事実が明らかになっていくことの連続に、読者はジェンの心情にどっぷりと自分を重ねて、思い悩んでいくことでしょう。 弁護士でもあるジェンは、息子の殺人に関して親としての自責の念に苛まれます。自分の育児が間違っていたのではないか、キャリアと育児のバランスを取れなかったのではないかと幾度となく自分を責めるのです。 「ジェンはすべてを手に入れたいと思っていた。でも、現実は理想とは大きくかけ離れていた。【中略】ただただ子育てを完璧にしたい。そう思っていたのにできなかった。その代償がこの結末なのかもしれない」(164頁) こうした母としての罪悪感に、共感する読者も少なくないでしょう。 そして最初こそ1日ずつ、数日ずつ時間を遡っていったタイムリープも、やがてその時間の跳躍幅が格段に大きくなり、最後は20年という歳月を飛び越えていきます。なんとしてでも息子を救うぞという固い決意を抱いた母は、20年を巻き戻す旅路を経るうちに、長年月をかけて築いてきた家族の絆がほどけていき、やがて無に帰していく時点まで達してしまいます。 この小説の要諦は、謎解きよりも、こうした家族のあり方を見つめ直す点にあることがわかってきます。今この瞬間にはさしたる意味があるとは思えず、厄介だったり面倒くさかったりするだけにしか思えなかった家族との時間。ですが、それが数年後、数十年後には想像もできないほどかけがえのない瞬間へと変化する。それが家族の妙というものです。 特異な設定を用いて読者に家族の意味を考えさせる。企みに満ちた巧みで素敵な物語でした。 -------------------- *339頁:「今夜は家族揃ってどこにでもある日本風レストラン〈ワガママズ〉に出かけ」というくだりがあります。 原文はThey will go out for dinner, just to Wagamama’s, nowhere special.です。 Wagamamaは実在するイギリスの和風レストラン・チェーン。原文でWagamama’sと「アポストロフィ+s」がついているのは、これが店名であることを明確にするためでしょう。ですが正式なチェーン名はWagamamaですから、原文にない「日本風レストラン」という文言をわざわざ付加して和訳するのであれば、〈ワガママ〉だけでよかったのではないでしょうか。 それにしてもジェンが「メニューの中で唯一好きな」のが「チキンカツカレー」(350頁)というのには笑ってしまいました。噂どおりイギリス人は本当に日本由来のチキンカツカレー(ムスリムが多い国なのでとんかつカレーはありません)が最近のブームなのだなと思ったのです。また、先日読んだドイツのミステリ小説ネレ・ノイハウス『 友情よここで終われ 』では、〈モシュモシュ〉(=もしもし)というドイツに実在する日本料理店でピーナッツ・カレー丼を注文する場面があったことを思い出したからです。 日本由来のカレーがヨーロッパでこんなに人気だとは、驚きです。 -------------------- 意図しないタイムリープに主人公が巻き込まれていく小説を以下に紹介しておきます。 ◆オードリー・ニッフェネガー『 きみがぼくを見つけた日 』(ランダムハウス講談社) :ヘンリーは時間旅行者。1960年代から2050年代まで、めまぐるしく旅を続けます。そのヘンリーの妻となる女性クレアの視点から描かれる、悲恋の物語です。 ◆ケン・グリムウッド『 リプレイ 』(新潮文庫) :ニュース・ディレクターのジェフは、43歳に一度死にます。ですが気がつくと18歳の学生に戻っています。そして再び43歳に達するとまたしても時間を遡ります。しかし遡った結果たどりつく日時が微妙にずれはじめる、という物語です。 ◆クレア・ノース『 ハリー・オーガスト、15回目の人生 』(角川文庫) :ハリーは1919年に英国エジンバラの東にある駅の公衆トイレで私生児として産み落とされます。やがて70代で一度生涯を終えるものの、それまでの70年の記憶を保ったまま再び1919年の駅のトイレで産み落とされるのです。彼はカーラチャクラと呼ばれる種族のひとりで、何度死んでも人生をもう一度やり直すことができるというわけ。これは彼が繰り返す人生の最初の15回、およそ千年にわたる物語です。 . | ||||
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一旦読み出すと止まらない。ミステリーとしても家族小説としても優れた作品。 | ||||
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