地下室の殺人



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

0.00pt (10max) / 0件

5.50pt (10max) / 4件

Amazon平均点

3.75pt ( 5max) / 8件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
0pt
サイト内ランク []D
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

0.00pt

0.00pt

0.00pt

0.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1998年07月
分類

長編小説

閲覧回数2,298回
お気に入りにされた回数2
読書済みに登録された回数5

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

地下室の殺人 (創元推理文庫)

2024年12月18日 地下室の殺人 (創元推理文庫)

新居に越してきた新婚夫妻が地下室の床下から掘り出したのは、若い女性の腐乱死体だった。被害者の身元さえつかめぬ事件に、スコットランド・ヤードは全力をあげて捜査を開始する……モーズビー首席警部による「被害者探し」と、名探偵ロジャー・シェリンガムの原稿がもたらす新たな展開。探偵小説の可能性を追求しつづけるバークリーが、作中作の技巧を駆使してプロット上の実験を試みた、『最上階の殺人』と双璧をなす円熟期の傑作。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点0.00pt

地下室の殺人の総合評価:7.50/10点レビュー 8件。Dランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

現在レビューがありません


※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.8:
(2pt)

間延びした印象

三部構成になっていますが、第二部以降はダラダラと平凡な描写が続き
真相も面白くありません。(「素人探偵が理論を積み重ねるが結局は……」
というのが狙いなのだと思いますが)

同じ著者の『毒入りチョコレート事件』も原型となる(?)短編の
『偶然の審判』のほうが圧倒的に上だと感じましたし、
この方の長編とは相性が悪いのかもしれません……
地下室の殺人 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:地下室の殺人 (創元推理文庫)より
4488123104
No.7:
(3pt)

イギリス社会の縮図を見ることもできる。

バークリーを初めて知った。本屋で歩き回って目に止まったので、偶然に購入
した。私自身はあまり「本格推理」は読まない。推理ものなら日本の松本清張が気
に入っている。
 ネタバレしないようにごく簡単にレビューする。

 バークリーの文体は柔らかく、堅苦しいスタイルではなくすっと読み通すこと
ができる。文章も混み入っておらず、ストーリーが素直に理解できる。さすが流
行作家と、変な褒め方をしたくなった。スカスカの文章ではないのだが、よく文
章を練っているのか、非常に読みやすい。
 幕開けは劇的。転居した家の地下室で女性の変死体が見つかることから事件は
始まる。「首席警部」が登場し、そこから推理が行われる。会話文とその他の情景
説明の文章のバランスがいい。さりげなく当時(1930年代)の家や町並みが記述さ
れている。現在と言っていいほど古びていない情景だ。

 イギリスなので、どうにも堅い雰囲気が予想されるが、結構明るく?描写され
ている。(どうにも変な言い方だが)。イギリスが「階級社会」であった(である)こ
とを示す「知識階級」なる表現もあった。犯人のプロファイリングでも、街並みで
も「階級」を意識させられてしまう。これは仕方ないか。
 犯罪捜査のあり方でも驚くのが、単に一つの事件(まあ殺人事件だが)について
再鑑定するだけなのに、(おそらく)スコットランドヤードの序列第二位の「総監補」
や現職の大臣まで直接口出しをしている。イギリスの警察はかなり細かな指示命
令系統があったのだろう。ふとTVのドラマを思い出したが、隣国フランスでも
上役がかなり個々の事件捜査に口出ししていた(「アストリッドとラファエル」)、
そう思いが飛んだ。
 そしてようやく「被害者の身元」が判明する。
 「果てしなく地道な作業」である捜査、その捜査に行き詰まりそうな時に首席警
部は、探偵でもある作家に情報を漏らす。そして…。

 第2部は被害者が寮母として勤務した学校に、「偶然」立ち寄ってその人間関係
の機微を知っている作家による、ノンフィクション仕立ての小説となる。
 「私立初等学校」がその学校。あまり聞かない名称なので少し調べるた。「パブリ
ック・スクール」入学以前の学ぶ小学校であるらしい。その卒業生はほぼ全てパブ
リックスクールに入学する。ただ、学制の改編でかなり当時と現在とは違ってい
るらしい。(パブリック・スクール自体がなくなっていることも多い)。本書執筆
時ではいわば「特権階級のエリート校」で、全寮制。登場する小学生は全員上流階
級。
 教師も尊大で、階級利益を代表することを任じている。校長や秘書、教員の様
子も興味深い。ただ学校はほぼ校長の独断で運営されている。

 その初等学校で取材したことを元とした小説だが、事実と考えていいとある。
 この学校の勤めている教師の様子や教師間の軋轢、校長の家族の専横、等がコ
ミカルに描かれている。決して暗鬱ではなく軽快な描写で読みやすい。
 驚くのが「不倫」がごく普通のように扱われていること。「性的放縦さ」は紳士と
淑女の国=イギリスでは不可分のものだったらしい。このような淫靡なことが底
流にあったのだろうか。(最近のイギリスを舞台としたドラマでも不倫はよく出て
くる)。フランスでは陽気に描かれる(ゾラなど常に不倫を描く)が、イギリスはや
はり陰湿。
 また、プライドが異常に高い人間ばかりで、読んでいてもさぞ窮屈な世界だっ
たろうと思う。これはイギリス社会の縮小図なのだろう。階級社会はさぞ愚かし
いことが大切にされていた。

 第3部は、また捜査活動に戻る。2部に曝された複雑な人間関係から、夾雑物
を取り除き少しずつ核心に迫る首席警部だが、どうにもいかなくなり策を弄して
小説家を捜査に関わらさせる。
 容疑者の尋問等があるが、この時代でもこれほど人権に配慮しているのかと、
びっくりした。この人権配慮に関しては現在の日本よりもっと厳しい。市民法を
最初に確立したイギリスらしい。無闇な逮捕をすればまず犯人は逮捕できない。
 取調の中で、「謀殺」をmurder、「殺害」をslay、「殺し」をkillとしている。
確かにニュアンスの差はかなりあるようだ。おそらくは階級によっても使用単語
は異なるのだろう。

 「足で探す(捜査する)」のが当時の捜査基本だが、その何回も続く捜査の様子も
ストーリーがスピーディで冗長さはない。さすがと思う。
 銃についての科学的捜査がまだまだの時代。ライフル痕の調べることもなく、
特定の銃器が使用されたのか否かも分からない。
 終盤近くに、「どんなフランス人の管理人より善行を積むことに熱心」という表
現が出てくる。これは背景にイギリス人のフランス人への軽侮感があるのだろう。

 ポーターやタクシー運転手の証言など、現在では捜査対象がかなり広くなって
いて情報を得ることが難しい。これらも、比較的に人数(タクシーの運転手さんな
ど当時の何倍にもなる)の少なかった当時は、こうして警察が足で情報を得ていた
のだろう。かなり牧歌的とも言えようか。
 容疑者が否認し続けることに対しても、声を荒げることは後の裁判での不利に
なることから、警察の対応はあくまでも丁寧だ。これは読んでいてイライラする
ほどだった。

 推理の主人公=作家がここで再登場。事件の要素を分析し、時系列を逆転する
かのような推理を行う。いささか持論に溺れてはいるが、論理だった推理とはこ
のことだろう。ただ、人間が必ず論理的な行動をとるとは限らないのだが。
 会話だけで容疑者を追い詰めていくのが後半の山場。「論理的すぎる」ことはど
うしてもリアリティを失わせるが、著者は筆が巧みだ。偶然の出来事を必然と思
わせてみたり、論理の穴を次の瞬間に消してみたり。
 最後に一番疑わしい容疑者と探偵たる作家の会話。その中でこの事件の全体像
が語られる。しかし「オチ」については、えっと思う人が多いだろう。私にはこの
結末は驚きでしかなかった。これは「推理」ではなく「おもしろ話」でしかない、こ
うとも思った。最後の十数ページは評価が分かれるだろう。

 全体として。この作品はよくできているとは思う。この作品で使われるロジッ
クは少々強引すぎるが、作品自体はよく締まっている。最初のページから最後ま
で、途中で冗漫な部分や「ダレる」ところはない。 
 ただ、「大団円」として提示される結末は…。
 純粋な推理ものとしても、どれほどの証拠を事前に読者に提示しているのか疑
問だ。
 私自身は「本格ミステリ」は好んで読むことはないが、それでもこの作品の最後
はどうにも首を傾げざるを得なかった。確かに面白く読めたのは事実だが、人物
描写についても不十分で不満が残った。
 ただ、今から90年以上前に上梓された作品がこれほどの出来映えとは驚く。
 と、様々なことを勘案し、☆は三つだろう。
地下室の殺人 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:地下室の殺人 (創元推理文庫)より
4488123104
No.6:
(3pt)

無駄な明るさが無くなってちょっと寂しい 1932年作

二段構えの導入部というのはとても上手い工夫だと思いましたが、(作中人物が作中人物をモデルにした作中小説!) 肝心の推理部分にアクロバティックな味が薄く、結末もモヤっと感が残りました。アイルズに栄養を取られちゃったのかな?原文にはおなじみの日付の矛盾があり、翻訳では訂正されてるようです。
地下室の殺人  世界探偵小説全集 (12)Amazon書評・レビュー:地下室の殺人 世界探偵小説全集 (12)より
4336038422
No.5:
(4pt)

紆余曲折に富んだプロット構成に工夫を凝らした快作

バークリーの諸作品の中でも、特にプロットの構成に工夫を凝らした一作。新婚夫婦の新居の地下室で女性の死体が発見されるのが発端。半年前程に埋められたと思われる死体の身元は杳として知れず、モーズビー警部がやっとある学校の関係者に絞るまでは普通の展開。ここからが趣向である。

シェリンガムが約半年前、その学校に2週間程、代理教師として勤めていたという設定は如何にも苦しいが、ここは作者の趣向なので我慢するしかない。そして、その体験・観察を基にしたシェリンガムの回想譚風小説が作中作として読者の前に披歴されるのである。この小説を読みながら、読者はP.マガーの「被害者を捜せ」や「七人のおば」風の<被害者探し>を楽しめる。勿論、その他の学校関係者の人間模様も丹念に書き込まれている。

面白いのは、この作中作の後、シェリンガムは積極的には事件に関与しないのである。もっぱらモーズビー警部が事件解決に奔走する姿が描かれるのだが、決定打が出ない。そこで、シェリンガム物としては珍しく、おっとり刀でシェリンガムが名("迷"ではなく)推理を披露するという紆余曲折に富んだプロット。普通に描いたのでは平板(マンネリ)に陥る恐れがある構図を巧みに求心力のある物語に仕上げている。"曲者"バークリーらしさが十二分に発揮された快作だと思う。
地下室の殺人  世界探偵小説全集 (12)Amazon書評・レビュー:地下室の殺人 世界探偵小説全集 (12)より
4336038422
No.4:
(5pt)

《ロジャー・シェリンガム》シリーズの第八作

地下室で死体が発見されるプロローグに始まり、第一部は、モーズビー主席警部
率いる警察による〈被害者探し〉。第二部は、被害者が勤めていた私立初等学校
を舞台にしたシェリンガムの未完の小説の草稿という体裁の作中作で、この中で、
事件の背景事情や“被害者候補(あるいは犯人候補)”たちの人間関係が明らか
にされます。そして第三部では、警察の捜査の続きと、それが行き詰まった後の
シェリンガムと筆頭容疑者との直接対決が描かれるという構成が採られています。
〈被害者探し〉という趣向はパット・マガー『被害者を捜せ!』に先駆けたものですし、
しかもその謎を、作中作によって提示するといったひねりの効かせ方は(当時の
作品としては)画期的だったのではないでしょうか。
そして、何と言っても、ラストで示されるシェリンガムのお腹真っ黒な“解決”にニヤリ。
シリーズ読者ほど、その“解決”に、意外性と納得感を感じることができると思います。
地下室の殺人  世界探偵小説全集 (12)Amazon書評・レビュー:地下室の殺人 世界探偵小説全集 (12)より
4336038422



その他、Amazon書評・レビューが 8件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク