被害者を探せ!
- 被害者捜し (9)
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| この作品は作者のデビュー作だから半世紀以上も前のもの。今の時代からして違和感を感じる設定ではあるが、作品の中で描かれているそれぞれの登場人物達がぶつかり合う出来事はいつの時代でもある事だな、と普遍性を感じるし、そのストーリー展開の面白さに時代背景を忘れ、惹き込まれていく。 安楽椅子探偵ものと言ってしまえば身も蓋もないが、現代的なこじつけのミステリー小説とは違い、きちんと被害者を当てる鍵は与えられている正統派の推理小説であり、スッキリとしたそのプロットには脱帽せざるを得ない。犯人当ての推理小説より、被害者を当てるというこの発想がこの時代に新鮮だっただろうが、現代でも決して色褪せない面白さだと恐れ入る。 こういう本が絶版となり、やがては埋もれていくと思うと何だか悲しくなってくる。出版社が限定販売という形でもいいから、また世の中にこの作品を知らしめたらと願わずにはいられない。 | ||||
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| 殺人事件の犯人がわかっていて被害者が誰かを推理するという独創的なアイディアである。舞台はアメリカの首都ワシントンにある家事改善協会という著名な非営利団体でその総代表ポール・ステットソンが11人いる役員の誰かを絞殺したという新聞記事から始まる。新聞記事はちぎれているため誰が被害者かがわからない。事件が発生するまでの詳細な経緯が大部分を占め終盤に推理と解答がある。 自己主張の強い男女役員たちの織りなす騒動は喜劇と悲劇が入り混じり笑い飛ばすことができずその身勝手さには途中からうんざりしてきた。ただ人物描写は誇張は感じられるが現実感は十分にある。特に女性陣は辛辣で内面の醜さが赤裸々に表現されており女流作家ならではのものが感じられる。一方男性陣もわかりやすく個性が描き分けられているが主人公のピート・ロビンズや道化役レイ・ソーンダーズ等の男の迫力や心の闇の部分は今一つで物足りなさがあった。 伏線は堂々と張られており謎解きの推理や犯人の心理面も十分納得できたがミステリとしてはもう少し捻りやサスペンスが欲しいところであろうか。 | ||||
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| 内容はもう素晴らしいの一言! パット・マガーの人物描写はクリスティに勝る読書の醍醐味を堪能させてくれます。 惜しむらくは昔のルネ・マグリット風のイラストがいつの間にか新調されてること。 あの表紙のイラスト(ちぎれた新聞記事と暗いイラスト)を見ながら読むと面白さ倍増だったのに。 もし買われるならぜひそちらを探してのご購入をお勧めします。 これと「七人のおば」がベスト! パット・マガーの短編もいくつかオムニバスに入ってますが、そちらは独特のテイストに欠ける普通の作品でした。 | ||||
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| 登場人物の描写や人間関係の書き方がうまく、軽妙なテンポで話が進んでいき、被害者探しを忘れて、主人公のピートの語る家善協内の人間ドラマに引き込まれてしまいました。ただ逆に、人間ドラマをうまく書きすぎているがゆえに、ラスト近く、被害者当ての議論での、とある海兵隊員の言ではないですが、被害者はこのひと以外いないだろう、というのがわかってしまいます(動機は別にして)。ラストももうちょっとひねって終わってもいいんじゃないかなーとも思います。そういうあたりは、「7人のおば」のほうがうまくかけてる気がする。 でもこれで処女作なんですね、、、被害者探し、というアイディアは目から鱗が落ちる思い。 ミステリーファンなら一度は読んでも損はないと思います。 | ||||
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| 「探偵を捜せ」、「四人の女」等ユニークな作品群を発表するP.マガーの代表作。犯人を捜すというミステリの定石を破って、探偵、目撃者等を捜すという発想転換を見せた女史のアイデアが光る。本作では、題名通り"被害者を捜す"。 舞台は戦時中の船上。暇を持て余す船員達が新聞で殺人事件の記事を見つけるが、肝心の被害者の部分が切れて無くなっていた。事件の関係者をたまたま知る船員の話で、船上推理を始めるが...。 普通のミステリと異なり、ある種の伝聞から特定の被害者を絞らせないといけないので、作者も細心の注意を払って記述している。ある意味では、安楽椅子探偵の変形とも言えるかもしれない。作者の人物描写が優れているので、注意深く読めば被害者を絞れるようになっている。勿論、物的証拠はないが。 「被害者を捜す」というユニークな設定で、本格ミステリの醍醐味を味わえる貴重な傑作。 | ||||
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