爬虫類館の殺人
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探偵ヘンリーメリヴェール卿の魅力が詰まった一冊。冒頭から爬虫類館での冒頭のドタバタの様子は面白く、そこから流れるように密室殺人事件が発生。1940年代の作品ということで、戦時体制下で空爆をうけているため、作品の中でも灯りが漏れないよう灯火管制が敷かれているのが特徴的。トリックや犯人が誰かというよりも、メリヴェール卿の犯人への仕返しが痛快なストーリーでした。 | ||||
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本作の密室トリック―窓も扉も目張りされ、鍵が掛けられた部屋からいかに犯人は脱出したのか―の真相は解ってしまった。最初は解らなかったものの、トリックを特定するある物が出て来た時点で、閃いた。というよりも多分小さい頃に読んでいた藤原宰太郎氏の推理トリッククイズに問題の1つとして挙げられていた可能性が高い(ホント、この本の犯した罪は重いと思う)。 | ||||
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和訳の『厚いゴム引きの紙』はガムテープと認識すれば良い。内側から隙間なくガムテープで目張りされた密室殺人である。密室内でのガス死なので自殺か?と言う作品。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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第二次大戦中のロンドンで、動物園の園長が、密室状態で亡くなっているのが発見され・・・というお話。 この作品の凄さについては、解説の大山さんや瀬戸川さんの「夜明けの睡魔」で語られているので、その他の部分を読んでみると、完全密室状態で遺体が発見されるので、自殺に見えるけど、大切にしていた動物を道ずれにして亡くなるのが不自然、と他殺の疑いが発生するところはリアリティがあったり、奇術師同士の長年の遺恨が話の推進力になっていたり、で推理小説としても、一応結構ができている様に思えました。 細かくみると、無理があったり、不自然な所があったりもしそうですが、個人的にはフェアプレイで書かれていて、こういうネタの作品としては、よくできており、90年代の日本の新本格以降の本格派に影響を与えているであろう事も含めて、重要な作品に思えます。 カドフェルシリーズで著名な、エリザベス・ピーターズの「カマフォード村の哀惜」という推理小説が、戦争が終わってからのイギリスを舞台にした作品で、勝つには勝ったけど、国民全員疲弊していたり、ドイツ系の人は居心地悪いし、など戦争ネタではないですが、戦後のイギリスの情景がでてきます。また、国は違いますが、マルセル・F・ラントームというフランスの人が戦争中ドイツ軍の捕虜で、暇つぶしに書いた「騙し絵」(4不可能推理小説)という作品も戦記文学(かどうか判りませんが)としても読めるので、この小説に反映されている戦争体験に興味がある方は読んでみては。 あんまり書けないけど、戦争中も命がけで推理小説を書いていた特異な作家の執念を感じさせる作品。是非ご一読を。 | ||||
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多分、翻訳者村崎敏郎氏の文体に慣れていない為だろうが、今ひとつなのである。ヘンリー・メリヴェール卿の例によってのドタバタ+ミステリーにのめり込めないのである。新訳、多分、高橋治氏か三角和代女史だろう、が待たれる。 | ||||
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先日から何十年ぶりかのカーの再読にはまっています。子供向けに書き直された「踊る人形の謎」=「曲がった蝶番」に夢中になったのは小学生高学年の時。以後は大人向けに普通に翻訳されたものを読むしかなく、創元推理文庫で「アラビアンナイトの殺人」や「帽子収集狂事件」などから始めたのは小学校6年~中学時代でした。改めて読み直してみて思うのは、怪奇色の強いものが好みだった自分はそちらの方に目がいってしまい、子供の頭では、他のさまざまな要素がちゃんと読み込めていなかったということです。 あらすじや密室殺人については他のレビューアさんたちが詳しく書いてくださっているので、ここは自分の感じたことなどを。 まずは、舞台となる薄暗く不気味な爬虫類館ですが、当時、ロンドンのロイヤル・アルバート動物園の中にありました。ここでは黒マンバ、サンゴヘビ、キングコブラ、水棲褐色モカシン、タランチュラに大トカゲなど、様々な種類の爬虫類が飼育されていて、その細かな説明だけでも不気味で、ドキドキしてきます(笑)。 そして傑作なのが、2mもある大トカゲと毒のあるヒーラー・モンスターが逃げ出してしまい、そこへたまたま居合わせることになったおなじみのH・M卿が大立ち回りを演じるところで、ここは爆笑ものでした。昔、読んだ時は、カーの好きなこういうドタバタ劇風のユーモアが少しも理解できていませんでした。他にも、先祖代々敵対している奇術師の名家出身のマッジとケアリが、言い争いをしながらお互いに惹かれて行くところもユーモラスで、これは「連続殺人事件」でも同じくパターンでロマンスが発生していましたね。 また、この作品は1944年のものですが、2次大戦が終わったのが1945年なのでロンドンはまさに戦時下。当時ロンドンに住んでいたカーも何度かドイツ軍の爆撃にあい命拾いしたそうですが、この作品でも、戦闘機の音が響いてきたり、爆撃の様子が描かれていて、古いモノクロのヨーロッパ映画を見るようなレトロな雰囲気がありました。 翻訳も1960年初版のためか、年配の登場人物が江戸のご隠居さんのような話し方をしていたり、ちょっと古めかしいところはありますが、私はそれもまた味があって好きです。特に探偵役のH・Mは、その傲岸不遜な態度と、実は大人で思いやりある個性的な爺さんの雰囲気がとてもよく出ていると思います。 カーの個性が典型的に出た作品といっていいと思います。カー初心者にもおすすめの一作です。 | ||||
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カーター・ディクスンのシリーズキャラクター ヘンリー・メリヴェル卿ものの、第15作目にあたる本格ミステリ。 目張り密室トリックに加え、ロミオとジュリエット的なロマンスが彩を添える。密室の作り方は、真相が分かってしまえば何て事はない。だからこそ、余計、種明かしまで気付けないのが悔しくなる。本格ものは、その時代の背景や道具立てで、如何様にも謎を構築できるのだと認識した。本作品では、戦時という制約すらも、トリックに一役買っている。 怪しい登場人物たちへのミスリードも効いているね。 | ||||
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冒頭からいろいろと余計な連想をしながら読んでしまった。 古くからの奇術師の家系であるクイント家とパリサー家。この両家はどちらが先にファティマと呼ばれる自動人形を発明したかで、3代に渡って反目し合っている。その両家の若い当主であるケアリ(男)とマッジ(女)。この二人が爬虫類館で出会う場面からこの小説は始まるが、二人の痴話喧嘩めいた言い争いを揶揄して、園長の娘のルイズは「かゝる怨家の胎内より生れし薄運の二情人」とロミオとジュリエットを引用する。 これは「ロミオとジュリエット」の序詞に当たるソネット中のフレーズだが、訳者の中村能三氏はなんと坪内逍遥!の訳句(1910年・明治43年)を使っている。中村氏の翻訳は1960年のもので、当時の「ロミオとジュリエット」の定番は中野好夫の翻訳だったはずだが、この小説の舞台である1940年には日本では未だ坪内逍遥の訳が流布していたから、あえてそっちを使ったのだろうか?・・・などと関係ない空想をしてしまった。 中村氏の翻訳はもう50数年前のものでひどく古臭いが、こんなこと考えて読んでいたら、そういえば自分は子供のころから中村氏訳のミステリやSFを読んで育ったのだなあ、と思い至り、この古臭さに身を浸しながら読み通した。 近年、カー、ヴァン・ダイン、クイーン等の名作がどんどん新訳化され、現代人にとっては読みやすい翻訳になっていくのは喜ばしい限りであるが、中村翁の訳などはなんとも味のある部分もあり、無下に古臭い、誤訳がある、と裁断する気にはなれない。 それから、戦時猛獣処分の問題が出てくるが、実際、ロンドン動物園では爬虫類の大半が殺処分されたけれど、その他の動物のほとんどは地方の動物園に疎開させることで難を逃れたらしい。 日本では猛獣のほとんどが徹底して殺処分されたが、有名なのは上野動物園で殺された3頭のゾウの話。毒殺しようとしたがうまくいかず、3頭とも餓死させられた。『かわいそうなぞう』で、餌をもらうために必死に芸をしたりするゾウの姿が涙を誘った。 ひどく脱線してしまったが・・・ 窓やドアをすべて紙で目張りされた密室。後にこの密室構成を真似たものやこのアイデアを発展させた小説は幾つも出たが、一応はカーのこの小説が元祖だろう。まあ、密室のハウダニットはいささか呆気ないが・・・。 でも、ドイツ爆撃機の空襲が激化しはじめた頃の時代背景が、実は密室トリックのミスディレクションになっていたりして、その辺の伏線の張り方はさすがに巧い。 | ||||
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