アラビアンナイトの殺人
- ギデオン・フェル博士 (23)
- 博物館 (17)
- 安楽椅子探偵 (187)
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数あるカーの作品の中でもとりわけ分厚いのがこの作品。調べてみると500ページ以上あり、カーの他の作品でこのくらいの厚さの物は、『ビロードの悪魔』以外思いつかない。しかし『ビロード~』が厚さに比して内容も充実しているのに対し、本作は単に厚いだけと云わざるを得ない。しかしこの作品はどうしてもこの厚さになってしまう。それについては後で話そう。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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ロンドンの、ある私設博物館で殺人がおきる話ですが、作者はどうして博物館の見取り図をつけてくれなかったのか。 文章を読むだけでは博物館の内部の様子がさっぱりわかりません。 | ||||
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新版は表紙カバーが劇画っぽくてやけに扇情的ですね。自分が持っているのは日下弘氏デザインの旧版で、エキゾチックな模様の上に紅色で短剣をあしらったものですが、こちらの方が洗練されていてよかったように思います。ディクスン・カー1936年の作品です。カーには怪奇色濃厚なものと、ユーモアに満ちたファース(ドタバタ劇)風のものがありますが、これは後者の方です。また、ペルシャやアラブ色を混ぜてエキゾチックな雰囲気に仕上がっています。 考古学者が自らの発掘で持ち帰った遺品を展示した私設博物館。そのあたりを巡回していた警察官は、白いひげのいい年をした熟年男性が塀の上をふらふら歩いているのを発見、降りてくるように言うと、その男はいきなり「お前、あの男を殺したな!ちゃんと見たぞ!」と叫んで襲いかかってきます。なんとかかわしたものの、その男は路上で忽然と消えてしまいます。そしてその博物館の前では若い男が大声でわめいているのを別の巡査が発見、問い詰めながら一緒に中に入ってみると、展示されている馬車の中から男の死体がころがりでてきます。男は、展示物のバンジャルという東洋風短剣で見事に心臓を一突きにされていました・・という事件から始まります。 短剣があったはずの展示ケースになぜか黒い付け髭が入っていたり、死体が料理の本を持っていたり、石炭が壁に投げつけられた跡があったりと、意味不明な珍事が続出。たぶん当時の英国の読者から見たら、謎めいたオリエンタルな雰囲気がとてもエキゾチックだったんだろうと推測できます。おかしな出来事があまりにたくさん続出するので読者の側も混乱しますが、第2章でホプキンス巡査部長による箇条書きにした説明があり、伏線も後にきれいに回収されます。 第1章は事件発生時にいあわせたカラザーズ警部から見た事件の全容、第2章は頭脳明晰なホプキンスにたじろぎならも自分の権威を上から目線で強調する副総監の話、第3章は担当をまかされたハドリー警視が解決に向かって、さらに事件を追っていく様子を描いています。 最終的に犯人はわかったものの、金にまかせた妨害と偽証に阻まれて逮捕に至らず、警察側はなんとか犯人を逮捕したいと、名探偵フェル博士に依頼。警部、副総監、警視が一晩かけてフェル博士に事件の全容を説明するという形になっています。 クスクス笑えるようなドタバタ劇なので、あまり硬いことは言わなくてもいいと思いますが、正直ミステリとしては今ひとつでしょうか。ラストの締め方も個人的には納得がいきませんでした。先日読んだ「曲がった蝶番」の方がずっと緊迫感があり構成や犯人像もよくできていたと思います。 あと気になったのは、この時代なので仕方ないと思うのですが、アラブ人やイスラム教徒に対する蔑視と差別感情が強烈なことです。ミリアム嬢を追ってきた英国人とイラク人のハーフの男性はチンピラまがいの悪役で、殺されていい気味だというふうに描かれていますが、あちら側から見た事情や心情を考えてるとちょっと気の毒な気がします。また、生まれた子供の話は置いてけぼりでまったく出てこなくなりますが、父親は殺され、母親には捨てられて、むしろ忌まわしいだけの思い出として忘れ去られ、たぶん孤児院で育つことになる英国イラクの血を受けた子供にはどんな未来があるのか?こういうパターンから屈折してしまい、テロリストになってしまうんじゃないのかなあ・・などと思ってしまいました。そのあたり、後味があまりよくなかったのも残念でした。 | ||||
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この作品なんか荒木飛呂彦先生に描いてもらったらぴったりだな〜と急に思いつきました。作者JDCの脳内にはそんなマンガ的イメージが常にあったんじゃないかな?三十五年前に読んだのですが、訳の分からん話という印象。今回、再読したら結構面白い。冒頭から異常な設定が次から次に出てくるので、もーどーでもいいや、となってしまうのが欠点。投げ出さずに読めば、段々と解決してパズルのピースがきれいにはまってスッキリします。相変わらず誰が誰だかわかりにくい人物描写下手な作者、舞台の位置関係もわかりにくいので図面が必要ですね。(原書にはついてたのかも) さて恒例の歌のコーナーです。(フェル博士ものには酒と歌がつきもの) 原文が手に入らなかったので調べが行き届いていません… p83 ミュージックホールの流行歌≪ミイラは死んでも生きている≫ : 不明 p92 おれたちゃカーノの兵隊さん: Fred Karno’s Army ネットに音源あり。 p99 ≪水夫のバーナックル ビル≫: Barnacle Bill the Sailor、p101「きれいな娘のいうことにゃ」がその歌詞。ネットにHoagy Carmichael(1930)他あり。 p130 ≪やつは陽気な男だから≫: For He's a Jolly Good Fellowのこと? p133 ≪獣たちは二匹ずつ歩いていったよ≫: The Animals Went In Two By Two(ノアの箱舟の歌)のこと? p136 ≪月明かりの入江≫: Moonlight Bayのこと? 余談: 登場人物のセリフを借りて有名作品(クリスティ1934)の悪口が書かれています… | ||||
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若い頃は少ししか読まなかったディクスン・カーの著作。 21世紀になってなぜか盛んに読み始め、今作で36冊目となります (リストマニア「21世紀になり、カーを盛んに読み始めた男のリスト」参照)。 1936年発表。 舞台は、ロンドン。 私設のウェイド博物館近くを通りかかった巡回中のホスキンズ巡査部長は、塀に腰掛けた不気味な男性を発見。 男性は、巡査部長に襲いかかってくるが、反撃し気絶させる。 ところが、男性は忽然と消失した。 博物館内を捜索してみると、そこには別の男性の死体が…。 なぜか、顎には付けひげが、手には「料理本」が握られていたのだ。 本作品の「アラビアンナイト」という題名は、一夜をかけてフェル博士に事件の顛末が語られ、最後にフェル博士が真相を推理する、という構成からついたものと思われます。 第1部「アラビアンナイトのアイルランド人−−ジョン・カラーズ警部の陳述」 第2部「アラビアンナイトのイングランド人−−副総監ハーバート・アームストロング卿の記録」 第3部「アラビアンナイトのスコットランド人−−デイヴィッド・ハドリー警視の陳述」 という3部で構成されています。 このため、500ページ以上にわたる大部となっていますが、冗長な感じが残念なところ。 一つの事件を3人がそれぞれの側面から語っているのですが、カーの諸作をお読みなっている方ならお分かりのとおり、カーは人物の描き分けがあまり得意ではありません。 そのため、「警部」「警視」「副総監」という職務の階級から発生する差異は分かるものの、「人物」という固有の性質からの差異というものは感じられず、視点が違うとこんなに見え方が違うんだ、という驚きはあまりありません。 さらに、フェル博士の推理は「エピローグ」の20ページほど。 犯人を隠匿するためのトリックへの工夫はあるのですが、犯人そのものは特に意外性もなく、カーが好き、という方でないと、全編読み通すのは、苦労してしまうかもしれません…。 | ||||
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創元ならアラビアンナイトの殺人、皇帝の嗅ぎ煙草入れ ハヤカワなら死者のノック、三つの棺 新訳で出してほしい作品です 読みにくいし長いし疲れた 今の翻訳者の事情は知らないけど、少し昔なら上田公子さんみたいな手練れにお任せしたい。 | ||||
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