鎖された声
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「この世で一番恐ろしいものは自然災害でも戦争でも武器でもない・・・・・」(p387)ものについての傑作スリラー。 舞台は、ワシントン州、海岸沿いの町、コールドウェル・ビーチ。その寒々としたビーチに隣接する森林地帯。ワシントン州からオレゴンへと続く森林の奥深さを知ることなくこの物語を理解することはできないのでは? 約2年前に姿を消した少女、エリー・ブラックが血塗られたシャツを着た姿で発見されます。或る事情から少女の行方不明事件を気に掛けるようになった刑事、チェルシーは、エリーの行方不明時の捜査を担当していたが故に彼女の事情聴取を行うことになります。しかし、エリーはその行方不明だった2年間を語ろうとはせず、まるで何かを隠すかのように心が鎖されてしまっていました。 そして、捜査が徐々に進展して行く中、彼女の着ていたシャツが死体で見つかった別の少女が着ていたものだと判明することになります。エリーが鎖ざすものとは?真相は?一体何が起きていて、何が隠匿されているのか? その失踪事件関係者の複数の視点からストーリーが語られていきますが、これほど苦痛に満ちた物語だとは想像できなかった。(物語とは深い関連はないかと思いますが、エリーとエリーに寄り添う精神科医、サリースのコントロールされた面談シーンは深いリアリティに裏打ちされているように思えます。) 特に物語の後半については、私の想像を超えてツイストし、また大きくツイストし、実は光り輝くような<伏線>が一つあることに気づいてはいたのですが・・・・スリラーですから、これ以上語るのはやめにしなければなりません。 ほぼ2/3を過ぎたあたり、悲しみのエリーがかつての恋人・ダニーと交わす会話の中、既に「まえの自分と同じ」ではいられなくなったエリーの姿に私は涙を禁じ得なかった。これほど己が感情を揺さぶられるのは2020/2月に読んだ「夕陽の道を北へゆけ」(ジャニーン・カミンズ)以来のことかもしれません。 自由を失い、いなくなった少女たちに想いを寄せるチェルシーが自分自身を鼓舞するように、私たちもまた悲しみに耽っているだけではいけないのだと思います。何故なら、いつになっても、どこにいても、この世で一番恐ろしいものたちが跳梁跋扈しているのだから。これと似たような事象はこの現実世界でも、この国(日本)でも起きていることなのだから。 ◻︎「鎖された声 "The Return of Ellie Black"」(エミコ・ジーン 早川書房) 2025/4/10。 | ||||
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