暗殺依存症
- 殺し屋 (29)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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AA(アルコホーリック・アノニマス)ならぬAA(アサシンズ・アノニマス」に通い、不殺の誓いを立てた世界最高の暗殺者が命を狙われ、ニューヨーク、シンガポール、ロンドンと逃げ回りながら襲撃をかわして行く、なんとも不思議でもどかしい設定のアクション・サスペンスである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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過去の辛い経験により暗殺者稼業から足を洗ったマーク。 しかし、ある日から命を狙われる羽目に。相手を探す旅に出るが、次々と危難が訪れる。 次第に我慢の限界に追い込まれていくマーク。彼は不殺の誓いを守り通すことができるのか、というストーリー。 アクションシーンも相応にあるので、アクション小説ファンには一定お勧めできるが、不殺の誓いのために、消化不良の感じが拭えない。アクション小説というより、ミステリーに近いような内容の気がします。 個人的には、あまり面白くなかったです。 しかし、今更ですが、なぜ文庫じゃなくて、ポケットミステリーでの発売なのか。 書店でも置いてないところもあるし、不便ですが、文庫だと2分冊になってしまうからなのか。1冊で2,300円はかなり高く感じます。 | ||||
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とても厄介な翻訳スリラーがリリースされてしまいました。 凄腕の暗殺者、マークは或る痛みを伴う出来事をきっかけに暗殺者を辞めることを誓います。しかし、それを許そうとしない何者かに襲われ肉体的に傷つけられますが、その理由を探り、黒幕を明らかにすべく一人の女性(闇医者、アストリッド)と一匹の猫(P・キティ)を伴いながらニューヨークからシンガポールを経て、ロンドンへと向かいます。いく先々で巻き起こる<戦闘>の数々。マークは時に「ジョン・ウィック」のように、時にジェイソン・ステイサムのように、(またその姿は<グレイマン>のようでもあり)満身創痍のまま鬼神のように戦い続けますが、しかし、彼は心に或る誓い(もはや人を殺めることができない)を秘めているが故に数々の制約を受けての戦い方を強いられます。 ここで"Alcoholics Anonymous"、"Gamblers Anonymous"他幾多の自助グループの存在について語る必要があるのかもしれません。何故ならここでは「暗殺依存症 "Assassins Anonymous"」者たちの自助グループの存在が取り上げられ、ほぼ"Alcoholics Anonymous"(ここではAAと呼びます)のあり方がベースになり、詳述されています。 ①AAのように教会で行わるミーティング、分かち合い ②自助グループにとっての必須アイテムでもある12ステップ・プログラム(回復のためのプログラム)の実践 ③特にその中の8,9ステップ ④スポンサーとスポンシーの関係性 ⑤依存症者たちのバイブル=(AAの)ビッグ・ブックの存在 ⑥ニーバーの祈り ①は、篇中(依存対象が異なるとは言え)丁寧に描写されています。 ②は、テキストそのままです。 ③は、傷つけた人の表を作り、進んで埋め合わせをするというとても大切なステップにあたります。 ④は、スポンサーが元ヤクザの殺し屋・ケンジ、スポンシーが主人公のマーク。 ⑤もまた、そのものの存在が明かされています。 依存症者は、「街にいてHALT(停止)している」(篇中、41%あたり)。彼らは"Hungry","Angry","Lonely","Tired"の時、ミーティングを或いは12ステップ・プログラムを或いはそこで教えられたツールを必要とします。それらのお陰で「安らかな気持ち("Serenity")」を得ることができます。 「ミーティングでは・・・・最後までその人の話を聞くことになっている」(言いっぱなし、聞きっぱなしが原則です)。(篇中、85%あたり) 大切なことの一つは「手放して、神(”Higher Power”)に任せる」こと。(これも篇中、85%あたり) これは困ったことだと思えます。何故なら、ミーティングは現実世界ではなく、ぽっかりと宙に浮いたクラウドのようなところで行われる<無名性>を大切にした<霊的な>場所ですから本来そのことについて語るべきではないと思えるからです。 と言うことで、スリラーの評価からはだいぶ遠ざかってしまいました(笑)。 スリルとサスペンスは、依存症者が自らを依存症者だと認めつつハイヤー・パワーの力を借りて「今日一日」を生きながら、今回の主人公のケースであればいかに「人を殺めること」を止めさせていただくことができるのか?というプロセスの中で巻き起こります。果たして、それは成功しているのかどうか? 私は今回のような評価とさせていただきましたが、常に回復途上にある依存症者たちがどう感じるか?は定かではありません。私ごときがコントロールできることでもありません(笑)。やはりとても厄介なスリラーだと思います。 それでは最後に⑥「ニーバーの祈り」を唱和して終わりにさせていただくことにします。 "God grant me the serenity to accept the things I cannot change, courage to change the things I can, and wisdom to know the difference." ▫️「暗殺依存症 "Assassins Anonymous"」(ロブ・ハート 早川書房) 2025/3/2。 | ||||
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