クレオパトラの短剣
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特に理由もなく読書の優先順位が変わってしまい、予定よりも遅れて本書を読み始めました。 1880年、ニューヨーク、マンハッタンが舞台。 良家の令嬢でありながら大衆紙「ニューヨーク・ヘラルド」の女性新聞記者として奮闘するエリザベス・バンデンブルックが主人公。高架鉄道の車窓から、いきなり彼女は線路際のアパートの一室で女性が首を締められている光景を目撃します。ここは素敵でした。ヒッチコック、ブライアン・デ・パルマ・タッチの映像が目の前を掠めます。彼女は自分の独占記事を書けるチャンスが巡ってくるわけですが、その事件は「古代エジブト神話」に由来する連続殺人事件へと発展し、彼女自身がヒッチコック・スリラーの主役たちのように巻き込まれていきます。 この時代の米国、ニューヨークの時代考証、風俗描写が絶妙です(私にそれぞれを検証する力はありませんが(笑))。よって、フォードでもなく、クライスラーでもない数々の路上馬車がひっきりなしに行き交います。スリラーとは言え、それらを背景として、この物語は一人の自立心旺盛な女性の成長物語という名の光を灯しています。 南北戦争が終結し、ヨーロッパから大量の移民が流れ込み、極端な貧富の差が顕在化し、しかしその米国の状況は<今>とさほど変わらないのではないだろうか?”ダイバーシティ”などという言葉も今更脚光を浴びるようなことではなく、歴史の中にしっかりと内在していたことになります。かつての自由の女神、ブルックリン橋、メトロポリタン美術館、バワリーとニューヨークが好きな人たちを唸らせるような話題にも事欠きません。 パズラーとしてはどうなのでしょう? 終盤になって伏線が慌てて回収されているように思えますが、伏線は伏線ですから良しとしましょう。また、「古代エジプト神話」がアンダーカレントを脈々と流れているわけですが、エリザベスの行動によってその真髄がタイトルでもある「クレオパトラの短剣」になり変わって結末を迎えます。それが満潮を迎えた海の調べのような一つの”パズラー”を現出せしめます。 “故郷”と呼ぶべきニューヨークへの誇りを胸にエリザベスは本当の自分の居場所を見つけます(p.379)。 これはエリザベスの”well-being”の物語だったのですね。 □「クレオパトラの短剣 “Cleopatra’s Dagger”」(キャロル・ローレンス 早川書房) 2024/11/13。 | ||||
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