破れざる旗の下に
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久しぶりにジェイムズ・リー・バーク(懐かしや「刑事デイヴ・ロビショー・シリーズ」)の著作が翻訳されました。時代は、1863年。米国南部。南北戦争の終結が1865年ですから、その2年前にあたります。 コルソン・ホワイトヘッドの「地下鉄道」を思いながら、一方スリラー視点からは2018/12月に読んだアッティカ・ロックの「ブルーバード、ブルーバード」を思い出したりしましたが、原題にある”Bayou”に頭が反応したに過ぎませんでした。 本書の舞台は、ルイジアナ、ミシシッピ、流れ狂う”Bayou”。 北軍優勢の南北戦争。北軍とテキサスに撤退する南軍、そこにゲリラ組織、レッドネックが蠢き、三つ巴の様相を呈する戦争。 6人の主なる登場人物たち。傷痍軍人のウェイド、<レディ・オブ・ザ・レイク>農園の奴隷・ハンナ、北部出身の奴隷制廃止論者・フローレンス・ミルトン、南軍から任命された巡査・ピエール、<レディ・オブ・ザ・レイク>農園の解放奴隷・ダーラ、そしてレッドネックの首領・カールトン・ヘイズ大佐。 章を追うごとに語り手が変わりながらミステリーの枠を超えて、作者は歴史の中の「南北戦争」の状況を再現しつつ、「戦争」そのものを、その「戦争」の細部を語り尽くそうとしています。そこには、<時代>や<原理>や<宗教>を超えたところにある本来あるべき人間の営みとそこから生み出される高貴な感情が汚濁に塗れた”Bayou”の最中にあっても光り輝いています。 私は、ミステリーを超えてという表現を使いましたが、それでも尚本書はエンディングに於いて驚くべきミステリーとしての輝きを齎してくれます。実は、そのことについて多くを語りたい(笑)。まあ、やめておきましょう。「砂浜で打ち寄せる波の泡」(p.380)のような開放感は何物にも変え難い。傑作だと思います。 誰かが誰かを傷つけてしまったかもしれない。そして、確かに誰かを傷つけてしまった。 それぞれの登場人物たちの目的はいかに果たされるのか?たとえ凄惨な見せしめにされたとしても。 誰もが子供だった頃の気持ちを覚えているのだろうか?これから先、いいことが本当に起こるのだろうか? そして、歴史的に一つの戦争が終結したとしても、また懲りずに「戦争」が始まる。 □「破れざる旗の下に “Flags on the Bayou”」(ジェイムズ・リー・バーク 早川書房) 2024/11/24。 | ||||
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