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これまでオースターのほぼ全作品を読み、新作を楽しみにしていた私でも、本書を購入して読み始めるまでに、約二か月近くの期間があった。理由の一つは、本書の分量だ。2段組みで800ページ近くある。代表作の「ムーンパレス」単行本は1段組み360ページ程度。 二つ目は、本書の特徴的な構成だ。四つの並行世界を、同一の主人公で描いている。オースターらしく、偶然の出来事により、四つの世界は少しずつ、やがて大きくずれていくが、その変化を頭の中に入れながら、四つの世界を並行して読んでいかなくてはならない。ある程度、まとまった期間で集中的に読むほうがよい。(できれば十日間以内がいいだろう) 読み始めてみると、物語の内容よりも(オースターが亡くなったこともあり)、オースター独特の文体の魅力にどっぷりと浸かることのできる読書体験となった。「ガラスの街」から独特だったオースターの文体が、「4321」ではさらに際立っている。 オースターの文体の独特さとは何か? 小説の記述を大きく二つ、「場面」と「説明」と分けてみれば、オースターの小説がほぼ「説明」のみで書かれていることに驚く。多くの一般的な小説の文章は「場面」が中心だ。登場人物の会話と行動を伝えるシンプルな言葉で書かれ、読み進めるスピードで物語が今起こっているように読める。スティーブンキングの小説は、ほぼ「場面」であり、ドキドキハラハラしながらストーリー展開を楽しむことができる。 対してオースターの文体は「説明」が中心だ。語り手(登場人物や筆者本人)が、記憶をもとに読者に語り掛けてくるような記述。物語を大づかみに(要約的に)述べたり、場面描写に近い語りで詳しく述べたりするが、基本的には記憶をもとにした語りであり、そこでは時間が自由に伸びたり縮じんだりしている。「場面」に近いスピードの記述もあれば、3か月が1行で記述されることもある。 本書の中でも小説家を目指す主人公に「ひたすら説明的にどんどん語って、具体的に見せることはあまりしない。そういうのってよくないやり方だってみんな言いますけど、僕はあの、物語がぐんぐん進んでいく感じがいいと思うんです。すごく込み入ってますけど、と同時に、おとぎ話を読んでいるみたいな感触もあって。」と語らせている。 記憶が、語りの材料のすべてになっている点は、最初期の「記憶の書」と同じだ。文章の中に、複数の視点や時空間が縒り合されおり、いくつかの時空が重なり合いながら流れていく。 言語が世界を十全には表現できないという認識に立つと、重要なのは言葉持つ音楽的な側面なのではないか。その言葉の音楽的側の流れに、すっかり心身をゆだねると、自分の精神が穏やかに整えられていくのを感じる。「小説とは、心に一種の秩序を与える言葉の装置である」ことを実感した。それは、優れた音楽を集中して聞くときに得られ境地に近いように思う。 小説では、主人公の父方の親族「ファーガソン家」と、母方の親族「アドラー家」、母の再婚により「シュナイダーマン家」の親族、それに多くの友人や恋人が小説内に登場する。読み進めるにつれて同じ人物の境遇が四つの世界内で大きく異なっていく。私は人物相関図を作りながら読んでいったが、あまり深く考えず、ただただオースターの言葉のリズムを味わうだけでも十分に楽しめる。ひょっとしたら、その読み方が最もこの小説の本質に迫ることのできる読み方なのかもしれない。 また、「ガラスの街」「記憶の書」等の初期の文章に比べ、一つの文章の長さが際立って長くなっいる。それでも無理なく自然に読み進めることができるのは、柴田元幸さんの名訳があってこそだろう。柴田元幸さんを通してオースターに出会えたことに、感謝の念を強くした。最近のオースターの小説は(昔からそうかもしれないが)、暗い結末に滅入ることもあった。その点、結末がある意味でオープンエンドの本作は、とても好ましく感じるのだ。傑作。 | ||||
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繰り返し読むに堪える作品です。 | ||||
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好きな作家の新作は800ページの重い本だったのでアマゾンに注文したのですが、とても残念な事に 封筒にカバーの厚紙もなくはだかで送られてきました。表紙は 他の商品やダンボール箱で傷がついていました。 本はやはり、本屋さんで買わないといけないのかな。 | ||||
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どんな人生にも悲しみ、喜び、別れ、出会いがある。 まさに小説4冊分。たくさんの人に出会い、たくさんの場所を「4,3,2,1」ファーガソンとともに訪れ、数々の歴史的出来事を追体験する、大変贅沢な時間だった。 「どのファーガソンに共感するか議論」もやってみたら楽しそうである。 歴史に残る大作を遺したオースターに、これだけの分量を翻訳された柴田氏に、 そして大型年末年始連休前という絶妙なタイミングに発売した新潮社に拍手と感謝。 これは紙で読むのがよいと思います。重いけど。 相当の集中力と時間は要するので、★4つ。 | ||||
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ポール・オースターの新刊が出たということで本屋に行くと、分厚い・・・一旦断念しましたがやっぱり読みたい!という気持ちが勝り、手に取りました。800ページもあるので電子か単行本か迷いましたが、電子はなんせ前に戻って読み返しづらいので、単行本を買いました。ただ読んでいるとき当たり前ですが、重い・・・。持ち運びは不向きです。そしてある程度時間があるときに一気に読むことをお勧めします。 本作品は一人の少年の4つのバージョンの物語です。途中から辻褄が合わないような、、、と思っていたのですが、途中で構想に気付き、白紙な章があるのはそういうことね、と理解しました。 色々な政治的な背景(ベトナム戦争、人種差別、徴兵等)とともに、色々な人と出会いながら(恋愛含む)、様々な本や映画に触れながら、主人公は人生を進んでいきます。と言っても大学後くらいまでの話。私も違うパターンの人生があったらどういう風に想像できるだろうか。。。 読み進めていくと各人生で内容が微妙に違うので、あれ?これ誰だっけ? 前の章でどうなったんだっけ?と少し遡る必要があるかもです。が、それでも読み応えがありました。そしてこんな構想のものをどうやって(どういう順番で?)書いたのだろうと素人ながら疑問です。そしていつもながらに、柴田さんのスッと入ってくる翻訳もさすがです。800ページもあるので、あーやっと読み終わったという感じはあるものの、虚脱感よりも(もちろん長いなとは感じます)、むしろ心に沁みます。 ポール・オースターの作品がもう読めないという悲しい事実と、柴田さんの著者の翻訳が読めないことに本当に残念です。 Rest in peace, Paul Auster. | ||||
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