V.
- エジプト (71)
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もう一回読みたくなりました。 | ||||
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なんかこの小説を読むと元気になるんですよね。何か励まされるっていうか。ダブル主人公のプロフェインとステンシルはどちらもまともな人間ではないですが、非常に魅力のあるキャラクターです。僕はプロフェインが大好きです。このキャラは簡単にいうと「クズ」なんですけど、その「クズさ」は誰しも少しは持っているわけで、プロフェインと自分の中の「クズ」が気持ちよく響き合うんです。そんなクズなプロフェインですがたまに男を見せる時があって、それもまたこのキャラクターの魅力のうちの一つです。 こんな薄っぺらい読み方が正しいかどうかは知りませんが、とりあえずポストモダンがどうのメタフィクションがどうのといった小難しいことは考えずに気楽に読んでみると楽しめると思います。エンタメ小説としても読める作品です。ただ、本当に面白くなってくるのは再読以降です。ピンチョンの仕掛けを次々に発見することができると思います。よくわからなかったところが徐々につながってきて響き合い、今まで感じたことのない独特の快感を味わうことができます。こんな作品を作れるピンチョンは本当にすごいし、ましてやデビュー作品なんですから驚きです。 あと、内容とは関係ないですが装丁が滅茶苦茶カッコいいです。 | ||||
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1950年代編の主人公ベニーは何もしなくても女が向こうから寄ってくる、しかし彼はカッコをつけているのか全部断ってしまう、女性恐怖なのか。作者はナードでそういう願望を小説内で実現したのか。また彼のつるむヒッピー風のヤンデルレン(旧訳では全病連)たちは、いつも壊滅的な乱痴気パーティーを行い時に街に繰り出しては乱暴狼藉を働く。評者はもう分別があって当たり前の年齢になっているので、ややついていけない感があったが、発表当時の評価の高さは、V.の探索パートよりむしろこちらが青春ものとして評価されたのではないかと思った。評者はむしろ異様で暴力的なエピソードが時折挟まれるV.パートの方が印象深かった。ナミビアで平然と黒人に暴虐を尽くすドイツ人、マルタに登場した悪坊主の解体シーンに伺えるサイボーグ的人体への関心(ここはすごかった)、パリでの衝撃的な結末を迎える舞踏劇の若き天才少女のエピソードなど、本作はむしろ短編小説の集積として長編化したのではなかろうか、と思える。そのくらいイメージ喚起力の強い細部が本作の魅力で、V.とは?など大真面目に考えるのは無粋である。V.性を持つ女性や土地の集合体で何の不都合もないように感じた。 | ||||
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ピンチョン作品としては、先に重力の虹を読んでしまっているので、正直エピソードや表現の衝撃度では、本作はおとなしく見えてしまった。下水道でのワニ退治などの話は、ああこの作者は何らかの下水道に関するオブセッションがあるんだろうな、と分かるし、ナミビアの話も好きなんだな、と思う(重力の虹でも下水道話や舞台としてのナミビアとドイツ軍は出てくる)。ただ、著者がまだ若い時の本なので、重力の虹と比べるとやはり躍動感がある。下水道のネズミにキリスト教を布教した神父のエピソード、マフィアをはじめとする蠱惑的な女性たち、ボッチチェリ作ヴィーナスの誕生を盗み出そうとする話など、最高に面白く読める。現時点で下巻はまだ読んでいないので、ここまでの感想であるが、有名な結末はどのような感じであるのか楽しみだ。 | ||||
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重力の虹ほどわからなかったわけではないが、やっぱりよくわからなかった。 でも、重力の虹の時もそうだったが、ただよくわからないわけではないから、ピンチョンにひかれてしまう。 そのわかるところ、とは要するに歴史的事実や人間性に対する懐疑である。それらは衝撃的である。 ピンチョンの作品を読むと、たくさんのことを教えてくれる、しかもそれはいわゆる学校で先生が教えてくれるようなやり方ではなく、世界のありのままをごちゃまぜにして、突然どっきりみたいに思いきりぶつけられるような感じである。重力の虹はそれがすさまじかった。V.はそこまでではない。でも二十五歳の若者が書いたデビュー作なのだから、十分すごい。 V.とは何か……ぼくが思うに、下巻の後半に出てくる『私は二十世紀』で始まる詩にヒントがあるのではないか。『私』(V.)はいろんな場所にいろんな形で現れる、それをステンシルがパラノイア的につなげていく。V.の見出し方、つなげ方はその人次第。そう考えると、上巻に出てくる空電はまさにV.的だ。受信者は空電という自然現象の中になんらかの意味を読み取ろうとする。そう考えると、V.とはこの世界そのものの象徴なのではないか。 このように、ピンチョン作品には解釈の楽しみがある。作者の広げた網の範囲が広いから、その中で読者は自由に泳ぐことができる。 | ||||
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