(短編集)
くじ
- くじ引き (7)
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その昔、確かに読んだ記憶がある短編集。ラストに置かれた、名作「くじ」のストーリーはよく覚えていたが、後はほとんど記憶の隅にも残らず、ただ冒頭の作品が意味不明だった記憶だけは残っている。今回読んでみてやっぱり面白さがわからなかった。何十年もたって、読解力が進歩してないのに苦笑。 それはともかく、人間の黒い感情がにじみ出るような、底意地の悪い作品群は、十分楽しめた。何度も出て来る「ハリス」「ジム」「ジミー」と言う男が、女性をたぶらかす悪魔らしいのだけれど、その辺リちゃんと理解出来なかった気はする。 「ホラー」に分類したが、鬼面人を驚かすような怖さはなく、嫌な気持ちにさせる、奇妙な味の作品集と言う感じだった。現在の感覚で言えば「純文学」でも通ると思う。最後に一番印象的だった場面を記すと、「アイルランドに来て踊れ」で、老人が言い放った一言「わしはばばあは大嫌いだ」。 | ||||
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シャーリー・ジャクソンの『くじ』は、現在の日本では、シャーリー・ジャクソンの代表的な短編集として認知されており、タイトルになっている「くじ」は傑作として知られているが、 ここでは、この文庫本の最後に収録されている、深町眞理子氏の、 「駆けだしのころー解説にかえてー」というテキストについて、特に書いておきたい。 こういう、時代の証言者のようなものは、貴重なものであり、 実際、シャーリー・ジャクソンの「くじ」の、日本における出版の歴史のようなものを、ググっても、 初めて雑誌掲載された時には、翻訳者としては福島正実氏名義だったということまでは、ヒットしない。 シャーリー・ジャクソンの『くじ』は、深町眞理子氏の、翻訳者としての処女訳作品であるが、 このハヤカワ文庫版『くじ』は、深町眞理子氏による、四十一年以上前の訳の徹底的な改訳である。 特に、 「それともう一つ、大昔のことゆえ、フカマチマリコさんもずいぶん”ものを知らな”かった。」 として、 「さらに恥ずかしいことに、元版の「訳者あとがき」で、訳者はこう書いているーー”このエピローグとして掲げられた一篇の詩が、作者の創作にかかるものか、あるいは古くからあったのを作者が引用したものかーー原文にはかなり古い英語が用いられているーーは、浅学にしてよくわからない。どなたかご教示いただければさいわいである”。いやはや。ただ、これは負け惜しみかもしれませんが、当時、福島氏をはじめ、先輩諸氏のどなたからもこれについてダメは出ませんでしたし、まちがっていると”ご教示”くださったかたも皆無。チャイルドの本が、世間全般にはさほど知られていなかったのだと自分を慰めるべきなのか、それとも、反応皆無なほどに『くじ』が読まれなかったのだと落胆すべきなのか。複雑なところです。」 という部分は、これを読むためだけでも、この本を買う価値があるほど、胸に迫るものがある。 現代の日本であれば、こういった情報については、インターネットで簡単に調べられるのだが、 インターネットがインフラになる以前の時代は、こういった情報を入手するのは困難だった。 しかも、 「先輩諸氏のどなたからもこれについてダメは出ませんでしたし」 という箇所は、 当時の日本人の英語力の低さに加えて、 こういう状況で翻訳に取り組まなければならなかった、深町眞理子氏の心情を思うと、 今回のハヤカワ文庫版の改訳『くじ』は、深町眞理子氏にとっては、 エイハブ船長の片足を食いちぎったモビー・ディック(白鯨)のようなもので、 それに対する報復なしには、人としての矜持を保てないようなものであり、 今回の改訳が出版されたことで、ようやく過去の自分を許せる、といったものではないだろうか。 私自身、欧文のテキストを入手するには、丸善のような洋書を扱っている書店で何ヶ月も待って輸入してもらうか、神田神保町のような古本街で探すか、 学術雑誌総目録で調べて、国内の図書館で所蔵しているところがあれば、 国会図書館は当然として、自分の大学の図書館の司書さんに紹介状を書いてもらって、普段であれば入れないような「女子大」にまで、コピーを取らせてもらいに通ったし、 UMI論文だと、雄松堂書店を通して、ゼロックスコピー版を送ってもらうか、 ニューヨークにある、その分野に特化した古本屋からカタログを送ってもらって、個人で輸入する、ということが中心だったし、 とにかく、基本文献のようなものも含めて、情報の入手が困難だった時代を覚えている。 インターネットそのものは、1980年代には作られていたが、1990年代だと、「常時接続」できたわけではなかったし、 インターネット上にあるデータベースにアクセスするために、日本橋の丸善に頼んで、項目が列挙された程度のものをプリントアウトしてもらうだけでも、とんでもなく高い値段だったことを覚えているし、 仕事でも、メールではなくFAXでのやり取りだったことを考えると、現在の状況は本当に楽になったと思う。 私が、アマゾンや電子書籍化を支持するのは、 紙の本のかたちでも入手が楽だし(古本であっても、日本中・世界中の古本屋から探せる)、 家の中が紙の本で埋まる、という状況から開放されるだけでなく、 インターネット以前は、今にして思うと非常に高価だった洋書を、 現在であれば、安く簡単に入手できるので、 当時の「恨み」をはらせる、といった感情があることも否定できない。 現在の、インターネット環境が当たり前に生まれた時からインフラとして存在している世代には、想像しづらいと思うが、 英語の文献のようなものであれば、自分が語学を学びさえすれば、容易に読めるものが簡単に入手できる時代とは異なり、 基本文献の存在を知ることさえ困難だった時代に、 翻訳者としてのキャリアをスタートさせた、深町眞理子氏の、記念すべき処女訳作品の改訳版である本書は、 それを思いながら読むと、 深町眞理子氏のような優れた翻訳者の存在のありがたみが実感できるものであり、 シャーリー・ジャクソンによる原作の面白さとともに、 読書の喜びを味わえるものとして、お薦めできるものである。 | ||||
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表題作が一番良い。文章がきちんと締まっていて過不足がない。他の作品は短いのに冗長だとかおかしいのが多い。 | ||||
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1日遊んだ帰り道。 誰にも見られないだろう。 パンプスを脱ぎ、ぺたぺたと歩く。 ひんやりとしたアスファルトが心地よい。 家まであと25メートル。 おっさんが吐いたであろう痰を踏み抜き滑る。 そんな気持ちになれる本。 | ||||
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異色作家短篇集、シャーリー・ジャクスンの巻。 収録作品全て高水準で面白いですが、名作「くじ」のインパクトが大きくて、他の短篇が若干見劣りしたのも真実でした。 その「くじ」は今の視点で読んでも結構強烈に思えました。どこの国や地域でもある時代まではこういう儀式があったであろう事は想像できますが、それを最後まで判らない様に描いた所も意外な結末風で良く出来ている様に思えました(深町さんの訳者あとがきはネタバレなので未読の方は読まないように)。 この短篇は周知の通り、あまりに反響が大きかったので、その反響だけでまた短篇を書いた事でも有名で、短篇集「こちらにいらっしゃい」で読めるので是非読んで頂きたいです。 正に異色短篇と呼ぶに相応しい作品集。是非ご一読を。 | ||||
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