ソフィー
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女性が監禁されてる「現在」と幼い姉弟の「過去」。交互に話が進みます。幼い弟の視点で語られる少年の日々はすばらしく瑞々しいです。両親の不在、異常なほど聡明なやさしい姉、輝かしい二人だけの楽園。 ただし、この本は最後まで読んでも謎が残る系のミステリーです。 幼い弟視点の回想では彼の理解の範疇をこえる出来事がしばしば起こり、「結局そのとき何が起こったのか」は最後まで明らかにされません。人々の言葉の端々から推測するしかないのですが、幼い少年の視点から得られるそれらはとても不完全で断片的です。 解釈は読む人によって違うでしょうし、読み返すたびに新しい解釈が生まれそうです。 明確にすぱーん!と謎解きされないミステリーが苦手なので、読み終わったあとむずがゆくて本を投げたくなりました。 | ||||
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著者のガイ・バートも同小説も知らない者ですが、偶然この本を手にしてからすっかりハマりました。 読み始めの冒頭で単純なミステリー・サスペンスか?と思っていたら、後半で良い意味で裏切られます。 ストーリーは内面的な描写が多いですが、それも全て、子供時代の目線で語られるので泥々とした感じはありません。 所々記憶を整理するように、現在に戻る場面での主人公が、明らかに憎悪と混乱に満ちている様子でしたが。ストーリー的には、さほど気になりませんでした。 他のレビューの感想も様々ですが、基本的には読み手を惹き付ける要素や、文章のリズム、意外性を持つ展開は非常に良くて、すんなりと、どんどん読めてしまえる本だと思いました。 主に回想シーンを軸にした小説なのですが、まどろっこしさが、あまり目立たなかったのが良かったです。 ※以下ネタバレ有り。 ストーリーの基盤は「思い出の中のソフィー」と、「現在、拘束されたソフィー」を行き来しながら描かれています。 物心つく前から、一風変わった賢い姉ソフィーと共に暮らしていた主人公。 母親にネグレクトされている背景がありながらも、姉が母親代わりとして、幼い弟である主人公と暮らす毎日は、いつも特別な思い出だった。 埃っぽい家を抜け出し、寂しさも余りなく、孤独や悪夢さえも姉のソフィーなら、吹き飛ばしてくれる不思議な力がある。 人生の全てが集約された日々といってもよい程の日々は、主人公にとっては眩しすぎた思い出になってしまう。 それは、どこか通常の世の中と切り離された空間。そこで姉のソフィーと、主人公が生き抜く術を学んでしまったからかもしれません。この小説の理解しがたい部分の大多数は、そういった世間離れせざるを得ない状況下で、起こるべくして起こったのでしょうか。 記憶の中の優しく繊細で、弟思いの愛すべき姉のソフィーの半面性は正に、その象徴なのかもしれません。 それ故に生きていく上で、絶対的に得るべき高い知能指数が必要であり、それが最も残酷なやり方を彷彿とさせてしまっても…。 この小説からは、本来守ってくれるべき相手から放棄されてしまった後に、幼い姉弟が、どうやって生きていくのかを問う部分が多い気がしました。 そしてストーリーが進むにつれ主人公は、冒頭シーンからソフィーを監禁し、さらに拘束をしますが、それが小説の内容的にも、読み手の思考的にも反転します。 個人的には、一番縛り続けられている張本人が、実は主人公自身という気がしました。 異質的な環境で生き残った主人公の、ある種のサバイバル回想小説にも思えました。 まるで記憶という曖昧な盤の上で、いつ何がどう変わるか分からない、チェスゲームを傍観しているようなスリルが、なかなか斬新で新鮮でした。 最後の最後でソフィーと交わす台詞が、また違った意味の謎を囁き、読み終わった後の余韻も、また凄く残ります。 あと。 回想シーンでは主人公の主観なのに、現在の拘束されたソフィーとの対話では、何故かその主観がソフィーに切り替わっている。 その謎の意味を知った時には、なかなか面白い衝撃がありました。 小説本そのものとしては、分厚くなく、文庫によくある相応しいページ数です。 飽き感があまりない展開なので、少し時間を持てあまし気味な休日や、旅行の長距離移動などで、読むには最適な小説ですね。 もちろん。丁度良いサイズ感のミステリー小説を探している人にも、是非オススメします。 | ||||
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お約束な設定と造形にもかかわらず、サイコ・ホラーというより、真相解明の鍵を与えることがないまま永遠に旅立ってしまった幼年時代のミューズに捧げられた信じられないほど悲痛な鎮魂歌の趣がある。 確かに不在の父親に加えて精神薄弱な母親が育児放棄に陥っていたり、幼い妹弟が憂愁のオブラードで包まれた二人きりのパラダイスの夢と自閉症の狂気の区別をつけられなかったりと、生い立ちの異常さばかりが目に付いて、破滅的でない結末を思い浮かべるのは不可能である。 しかし悪魔的な魅力を秘めた二才年上の姉と過ごす子供の遊戯の時間は、美しい野山の情趣に清められた牧歌的なもので、無自覚な幼子ならではの禍々しさに時折翳らされるものの、衒いのない素朴な感情表現は実に瑞々しいものです。 それだけに永遠に失われた無垢の時代を愛おしむように劇的に感極まる終幕の悲壮感が、容易には治癒することのできない傷痕を語り手の心中だけでなく読者の記憶のなかにも楽園追放の原体験のように残すのである。 このラストの喪失感の強さはなかなかのもので、それまでどちらかといえば控え目だった宿命感や理解できない悲劇を目撃したときの動揺、自分の人生において最も大切だった人を見殺しにしたことの罪悪感が一気に噴き出してくる感じだった。 自分の幼年時代に対して同じようにメランコリックな追慕の念を棄て切れないでいる人間にとってはまことに心がかき乱される小説であります。 | ||||
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物語は若い女性がやはり若い男に監禁され頬を殴られた、という緊迫した場面から始まり、続いて若い男による、姉と共に過ごした「楽園」時代、そしてまた監禁という形で緊張と弛緩を交互に繰り返しながら「楽園」の秘密を解き明かしていくサスペンス。表紙の写真に釣られて買った。 「ぼく」マシューから見た姉・ソフィーとの楽しかった子供時代の思い出は郷愁を誘うだけに終らず、その「楽園」を守るソフィーの企みはグロテスクではあるけども弟への愛情というか健気さの発露であり、個人的にはグッとくるものがある。またなにより過去と現代を交錯させる構造と、「楽園」を「ぼく」の視点でしか見ることができないおかげで最後まで緊張感を保って面白く読めた。 解説には「加害者の犯行動機を命がけで模索する被害者の物語」とあり、まったく的を得た表現である。その動機に関わる二人の関係が過去と現在で逆転しているという一番大きな謎の他は全てが明らかに説明されているわけではないが、推して知るべしとして済む話であるようにも思えるし、また再読の際のお楽しみということにしてもいいだろう。 | ||||
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この本を読み終わって、解説の3つの謎(というか、ヒント)がどうしても解けずにいました。いろいろなレビューをあたったのですが 「2度3度と読み返すと、新たな事実が浮かび上がってきて衝撃を受ける」とはあるのですが、じゃあ、実際答えはどうなっているのかは 分からずじまいでした。しかし、遂にあるレビューを見て、「なるほど、これなら全部辻褄が合う」という自分なりに納得できる答えが見 つかったので、つい嬉しくてこれを書いてしまいました。 ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、そもそも登場人物の中の誰かが実際には(その時点で)存在していないのだと考え ると解説の3つの謎はきれいに解けてしまうのではないでしょうか。 そう考えた瞬間この物語は全く別の側面を見せ、本当によく考えたものだなあと衝撃を受けます。 もし、解説者と同じようにヒントを1つ付け加えるなら、 「ラスト付近で(ソフィー)が母親に語った、母親が自殺しなければならないような重大な事実は何だったのか」 というのはどうでしょうか? | ||||
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