黒衣の女 ある亡霊の物語
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1983年作、日本での翻訳は87年です。映画「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」の存在を知り、ひょっとして何十年も前に読んだ本書の映画化では?と思ったらやっぱりそうでした。映画鑑賞後、原作はどうだったかと改めて再読してみました。 前に読んだ時は「暗いばかりでインパクトのない話だなあ」と思い、本を捨てようかどうしようか迷ったもののとりあえず残しておいたという記憶しかなく、思えば若い時はもっとスリリングな話を求めていたのかもと思います。年を重ねると、このしみじみとした穏やかな良さがわかるようになりました。 ホラーを読んでしみじみとか穏やかという言い方もおかしいですが、こちらは現代的なホラーと言うよりは、幽霊譚、怪奇小説、ゴシック小説といったクラシックな呼び方の方がしっくりきます。 著者はホラー作家ではなく、純文学やドラマの脚本、英国の風物詩や料理に関するエッセイなどを書いている方で、英国人が理想とする郊外の自然豊かな田舎暮らしをされています。ご主人がシェイクスピア学者だというのもいかにもそれらしいです。 物語はどうやら著者が生まれた英国ヨークシャー地方を舞台にしているようです。主人公の若手弁護士が向かう北海に近い辺鄙な村にある”うなぎ沼の館”は、村から少し離れて、周辺には足を取られたら二度と抜け出せない広大な砂洲と沼沢地が広がっています。館と村を繋ぐのは細い1本の道だけ。その道も日暮れ以降の満潮時には水に沈んでしまいます。 このあたりの風景描写がとても美しく、灰色の沼地と砂洲の河口と空しか見えない茫洋とした空間に、風の音しか聞こえない圧倒的な静寂。荒涼とした風景ながらその孤高の美に主人公は魅了されてしまいます。が、そこには過去の悲惨な出来事とそのことからくる激しい憎悪、永劫に続く恨みがとりついていることを彼は知らず・・。 老婦人が長年たった1人で暮らしていたほどほどに裕福そうな、けれどほこりを被った部屋の数々、開かずの間から聞こえてくる音、館のそばの崩れた修道院跡と一族の墓地。英国の伝統的なゴシック・ストーリーの系譜を継ぐにふさわしい舞台設定です。 英国恐怖映画の老舗ハマー・フィルムが映画化を決めたというのも納得です。 原作と映画では内容や設定が少し違っています。が、映画のラストがあやふやでいまひとつだったのに対して、原作の方が筋が通っていると思いました。このようなクラシックな怪奇小説の良さがもっと知られてほしいです。 | ||||
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全然こわくないし、面白くもない。 亡霊が祟る必然性がまったくないので、ストーリーに乗れません。誰も彼もに「復讐」するなんてナンセンスもいいところ。八つ当りが当然視される一方で、姉妹の間にあったであろう闘争にはまったく触れられず、語り手もただおたおたするだけの腑抜け。これでは面白くなる筈がないでしょう。 海外で評判になったからといって、尻馬にのる必要はないと思います。 恐怖というのは想像力が根本にあるものですから、「お前は鈍いからこわくないのだ」と言う人もあるかもしれません。また、そう言われるのを避けるために、怖くもない話をコワイ、コワイと言いふらす人もあるでしょう。 でも、誰がなんといっても | ||||
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古いお屋敷に起きる怪奇現象をしっとりと描いた典型的な英国ゴーストストーリー。 家主が死して遺産の整理にきた弁護士が、夜になると離れ小島と化す屋敷の中でひとりきりの日々を過ごすのだが、派手に恐怖を煽り立てるものではない。主人公を暴力的に攻撃するのではなく、じわじわと不可思議な現象が積み重なって、精神的に追い込んでいくのだ。 村人たちが黙して語らない黒衣の女は何者か。 この手のゴシックホラーは、如何に脳内で恐ろしさを増幅できるかを楽しむにがコツだろう。ラストはしっかり怖い思いをさせてくれる。 | ||||
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物語の骨組だけを取ってみると、よくある正統派の怪談だけれども、描写で読ませるというのだろうか。自然に物語に引き込まれていく。何にもまして、お化けが怖い。これがすべてという感じがする。お化けそのものの怖さは、理屈っぽい西欧の作家さんではなかなか出せない。最近の日本のホラー映画のようなと表現したらよいのか。なお、本書の映画版もまた、昔なつかしい正統派のホラー映画に仕上がっているが、お化けそのものはまったく怖くない。 | ||||
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風景描写がとても素晴らしいです。 誰もが一度はもっていたかもしれない感性 ― 街を吹き抜ける風の匂いや、草木がさらさらと揺れている音にじっと聴き入った頃の感性 ― をそのまま文章で表した文体。 メアリー・シェリー著『フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス』では、次々と起きる凄惨な出来事の対比とでも言うように豊かな山々や自然風景が描かれていましたが、本作でも時折見られるそうした豊かな田園風景の描写が『うなぎ沼の館』と『黒衣の女』にまつわる出来事の陰鬱さや息苦しさをより強調しています。そしてそれまでの文体とは正反対のように、レポートのような淡々とした印象の記述で読み手に突き付ける結末・・・。 スーザン・ヒルの手腕に翻弄されっぱなしでした。 ゴシック小説、怪奇小説、幻想小説・・・その手のジャンルが好きな方はほとんど読んでいるかもしれませんが、未読な方がいるのならぜひおススメです。 ハマーフィルムの映画版『ウーマン・イン・ブラック』とシナリオ的に相違点もあるのでどちらか片方しか触れていない方も映画版・原作の両方を手にとってはいかがでしょうか。 | ||||
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