緋の収穫祭
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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イギリスの片田舎の町で長年閉ざされていた教会が再開されることになり、新任の司祭・ハリーが赴任した。ある日、教会に隣接する墓地と隣の一家との境の塀が崩落し、塀際にあった少女の墓が暴れてみると、そこには三体の子供の遺体が埋められていた。しかも、その内の二体は最近埋められたもののようで、いずれも頭がい骨に深い傷を負っていた。遺体は、誰なのか? また、何のためにここに埋められたのか? | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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イングランドの女流作家シャロン・J・ボルトンの第3作目です。どの作品もじわじわとくる恐怖感に満ちた独特の作風ですが、ここに至って確実にレベルアップしていると感じます。 1作目「三つの秘文字」では、生きたまま心臓を摘出され、背中にルーン文字が刻まれた死体が登場、2作目の「毒の目覚め」では、いるはずのない南方の毒蛇や大量の蛇が出没するようになった村を描いていましたが、今回はイングランド北部の美しい湿地が広がる地方が舞台。いまだに土地のほとんどが旧家の地主によって所有されている村に、幼い3人の子供がいる一家が引っ越してきます。それと前後して、長い間閉鎖されていた古い教会にも新任の司祭がやってきます。どうやら彼ら新参者には伺えない、何か隠されたものがこの村にはあるらしい、昔から伝わる不気味な収穫祭、古い教会に飾られた人形たち、地下に広がっていた広大な礼拝堂と地下通路、血とすりかえられた聖杯のワイン、墓地に出没する異形の者、次々に死んでゆく女の子は事故だったのかそれとも・・・という、これは怪奇ホラー小説か??と見紛うような出だしです。先の2冊が気に入った方や、ディクスン・カーや横溝正史など怪奇色の強いものが好きな方は気に入ると思います。 地主を筆頭にした村ぐるみの犯罪か?それともカルトか、または精神のバランスを崩した人間か、猟奇殺人鬼か・・・?と読んでいる間中、さまざまな可能性が頭をよぎりますが・・・ネタばれするのであまり書けませんが、最後の50ページで意外な真相が明らかになります。ここまで550ページほど、さまざまな人間模様と相まって、さほど長いとは感じず、恐怖にのめりんでしまいました。 最後はハッピーエンドとはいかず、やや後味悪く、個人的には少し希望を持たせる終わり方にした方がよかったような気がします。 3作のヒロインたちは、まるで同一人物ではないかと思うほど共通点があり、生真面目で人づき合いが苦手な産婦人科医、顔に傷のある獣医、そして事故で片足を損傷してしまい杖が手放せない精神科医です。こういった人物を主人公に設定するのは、作者に何か考えがあるのでしょうか。次作は女性刑事のシリーズだそうですが、どのような作品になるのか楽しみです。 | ||||
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Boltonの作品は他のもの2つ読んでいます。「3つの秘文字」?では生殖医療に関するテーマで、この作品では精神科医がヒロインでした、 もうひとつの作品「毒の目覚め」では獣医と、医療関係者が好きなのでしょうか。 さてこの作品では奇妙な少女というか、病気の少女が出て来ています、甲状腺ホルモンの分泌が少ない病気ですが、これは自分がこの病気なので、へー、と思いつつ終盤を読んだのですけど…甲状腺ホルモンの病気関係無かったんじゃないのかな、という感想。 犯人が精神異常であった、というサイコパスもののちょっとaproachが変わってる感じでしょうか、厳密に言うとサイコパスではありませんけど、精神を病んでしまった犯人が突き進んだ結果で幼女が何人も犠牲になるという陰惨なstory。 ニンゲン、健康である、と一見思われるヒトですら、何かのstress解消はするのですから、まして病んでる精神のニンゲンだったら… ちょっと前にHollywood dramaで観てた「Dexter」みたいかな。 Dexterとこの作品の犯人が圧倒的に違うのは、犠牲の対象が悪人か、無垢な幼女であるかの違いであると思います。 しかし、おえー、ですね、犯人が精神を病んでしまった原因には。吐き気がします。無理。 本来守られるべき対象である子供を…いつだったかニュースで知ったAustriaの事件を思い浮かべてしまいましたーエスターライヒの方ですー 確か、このエスターライヒ、Austriaの田舎町で、自分の娘との間に子供ができて、できた子供たちを地下室だったか、小屋だったかに 監禁してたとかいう鬼畜的な事件でした。おえー。トラウマになりそうな事件でした。 日本でも、田舎町ってどこか閉鎖的なコミュニティになってしまいがちです。 その狭い、狭いコミュニティの中で生きていると、下界ではある「自浄作用」がまったく機能しなくなってしまう。 そのコミュニティでの「rule」が絶対であって、例外は認められない。めったなことでは、悪事であっても白日の元にさらされることは無い。 そういう恐怖がありますね。イギリスにも田舎町はありますよね、人口は日本の半分程度ですから、けっこう田舎町はあります。 聞いた話しでは、日本人とかのAsia系の人種を一生生で「目にする」ことが無い老人たちがいるということです!マジで? いや、あるんですよ、村には100%白人しか住んでいないんです。映画やTVではAsia人を見たことはあるけれど、第二次世界大戦でも Asia地域には派遣されてなきゃあ、見たことは無いっていうこともあるんですね。 この作品にはAsia系の人種はいっさい登場しませんし、よくあるHollywoodもののようにAfricanとか申し訳程度に出て来るChineseとか stereo typeで出て来て無いところが良い。そういう「実体」ってけっこう大事です。 狭いコミュニティの中で起きたドロドロのstory、悪くはありません。 ただ、甲状腺ホルモンの病気関係無かったというのが…negative2。 | ||||
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前作2作と比べると展開が少々遅く、ちょっと中だるみしてしまったのですが、面白かったです。 ラストはハッピーエンドではなくすっきりともしませんが、子供への性的虐待がテーマなので、これで仕方ないかも…と思いました。 この作者を初めて読む方には、前の2作をお勧めします。 | ||||
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半ばまでは雰囲気が完全にホラー小説。カーや横溝の様な伝奇的要素も絡んでは来るのだけれども、テイストは伝奇小説や怪奇小説と云うよりもモダン・ホラー。まぁ2010と極く最近の作らしいので当たり前と言えば当たり前なんだけれども、ここまでホラー風味を前面に押し出したミステリと云うのは余り読んだことが無かったので珍しかった。後半になって、様々な奇怪な出来事の背後には生身の人間達が存在すると云うことが徐々に明るみに出されて行くにつれてようやっと、ああこれは普通のサスペンスものに含まれる作品なんだなと判るのだけれども、それまではもう息苦しく不気味な雰囲気の描写が圧倒的で、謎解きがどうのこうのと言ってられる状況ではない。重厚な異色作である。 作者は恐らく映像化されることを前提に小説を書いているのではなかろうか。場面の切り換え方等が非常に効果的で戦慄を呼ぶのだけれども、モンタージュ的想像力を駆使しないと書けないし、また読者の方でも読解も出来ない。それに個々の怪奇的事象もいちいち目に見える様に描かれていて、実際に映画やTVドラマに成った時の様子が容易に想像出来る。それだけに小説独自の切り口と言える部分が少なく、全体的に映像用脚本のノヴェライズみたいな印象が読後に残る。頻繁に文体を変え、独白や内面描写を矢継ぎ早に繰り出す等の工夫は見られるが、似た様な演出法はテレビ映画でも見られるものだ。それでもこの手の作品が陥り易い軽薄さを感じないのは、文体が手堅くて堅実だからだろう。賞を取るのも分かる気がする。 だが頂けないのはクライマックスの謎解きシーン。事前に間違った謎解きを段階的に用意しておいて、徐々に幾つもの同時進行のシーンをひとつに絡めて行く手腕は見事ではあるが、終盤で解明される真相は、因習に囚われた閉鎖的な地方の村で起こる連続幼女殺害事件の真相としては凡そ紋切り型も甚だしい。真相が明らかになる手法も無性にメロドラマチック。半世紀前のB級サスペンス映画じゃないんだから。犯人の造形も読者の意表を衝くものでは全く無い。折角タイトルにも成った様な不気味な風習を持ち出しておき乍ら、結局雰囲気を盛り上げる為だけに使っただけと云うのも残念。拍子抜けも良い所である。カーや横溝であれば推理ものとしての面白さがそうした点を補完してくれるのだが、本書にはそもそも核となる名探偵役が登場しない。緊張感を盛り上げて行く演出面での技巧が優れているので恐らく大半の読者はそんなことは気にせずラストまで読んでしまうのだろうが、中にはそう云うことを気にしてしまう私の様な読者も居るのである。 | ||||
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いつの時代の物語なのだろうと思ってしまうが、まあ、面白い。だけれども、最後のエピソードが分からない。ああ、誰か最後のエピソードの意味を凡人の私に教えてくれないだろうか。 | ||||
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