(短編集)
予期せぬ結末2 トロイメライ
- 死刑囚 (71)
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38歳の若さで惜しくも早世された短編の名手の職人作家ボーモントの粒選りの名品13作を収めた3冊目の日本オリジナル傑作集です。「夜の旅その他の旅」「残酷な童話」に続いて本当に久し振りに出版された本書を手にして、よもや再び著者の作品が読めるとは思っていませんでしたので私にとっては誠に感無量の思いであります。今回のSFと怪奇幻想のジャンルを集めた作品の数々からは「不幸な結末」という側面がかなり強調されて感じられましたが、それでも著者の持ち味である皮肉なユーモアと人類への警鐘とそこはかとない哀感が随所に滲み出ていて、やはり以前の作品と同様に楽しく読めて大満足出来ました。著者はそれ程有名でなく一部のマニアに愛される職人作家の一人で作品が多く紹介される可能性は少ないとは思いますが、でも今後も望みだけは捨てずに何時か来るかも知れない新たな作品の紹介の時を楽しみに待ち続けたいと思いますね。 『血の兄弟』蒼白い顔の男が精神分析医に自分は吸血鬼だと打ち明けるのだが・・・・。何一つ確実な事などない今の世の中ですから油断しているとえらい目に遭いますよ。『とむらいの唄』弔いの唄で死を予言する盲目の男ソロモンを迷信だと否定する僕が白黒をつけようとした挙句に突き落とされた真に気の毒で過酷な運命。『トロイメライ』得体の知れない狂った死刑囚の男が語る悪夢の如き物語の真相は?人間には全く理解不能な領域と思える難解過ぎる結末ですね。『悪魔が来たりて−?』親父が死んで赤字続きの新聞社を引き継いだルイスはやがて食うのにも困る様になり会社を畳む決意をしたが、そこに現われたのは何と自らを悪魔だと言う老紳士だった。老紳士ジョーンズが次々と絶対にあり得ない無茶苦茶な出来事を事実に変えて新聞の売り上げを上昇させようとする愉快な喜劇物語で、彼の暴走を危惧し頭脳フル回転の末に何とか混乱をストップさせるルイスの手際が鮮やかです。『幽霊の3/3』ヘレン・マクロイ女史の有名な長編ミステリー「幽霊の2/3」と一字違いの題名ですよね。浮気な夫人の幽霊を非難するのではなく著者が抱くある種の同情の念を感じますね。『秘密結社SPOL』笑いの保存を目的とする秘密結社から入会審査された会社員キンケイドは極度の緊張に襲われて何時もの調子が全然出ないのだった。普通は笑える馬鹿げたギャグをこんなにも白けさせて空しく重たい雰囲気にする才能は滅多に味わえないお見事な技だなと脱帽しましたが、次は著者の素直な冗談物語をぜひ読んでみたいですね。『殺人者たち』戯れに浮浪者の男を殺そうと考えた富裕な坊ちゃん階級の若僧二人が逆に苦い現実を思い知らされる皮肉な人生物語です。『フリッチェン』子供が水の中で見つけた新種の生き物フリッチェンを檻に入れペットとして飼い始めるのだが・・・・最後にとても手に負えそうもない予期せぬ恐怖が襲い掛かります。『集合場所』大規模な戦争により人類の大半が死滅した地球でわずかに生き残った者たちの正体とは?物悲しさの中に不気味な滑稽味がほんの少し漂っていますね。『エレジー』戦争が続く地球から逃れて12人の乗員が遥々やって来た小惑星は何処となく不気味な不吉さを漂わせていた。マダム・タッソーの蝋人形館から発想されたと思われるこの悪魔的な仕掛けには思わずゾ〜ッとして身も心も凍りつきましたね。『変身処置』変身処置を施して誰もが皆美男美女になる事を義務付けられた異様な未来社会で18歳のメアリーは醜くてもいいからありのままの自分でいたいと必死の思いで抵抗し続けるのだが・・・・。現代社会の先進の美容整形手術について改めて考えさせられると共に行き過ぎた思想が向かう道の危険性を強く感じて心が恐怖と嫌悪感で一杯になりましたね。『老人と森』完全に「老人と海」のパロディで際限なく自然破壊を繰り返して来た人類に対する森からのキツイお返しの一撃ですね。『終油の秘蹟』衰弱し切ってまもなく人生の最期を迎えようとする時に老人が神父に打ち明けたのはとんでもない話だった。宗教上のタブーに背いてまでも自分の感情に正直に従って行動した神父の真に人間らしい姿勢と流した熱い涙に感動の想いがふつふつと込み上げて来て自然に泣いてしまいましたね。 | ||||
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予期せぬ結末シリーズの選択基準に、既成のアンソロジーなどに入っている作品は入れるが個人短編集の収録作品は例外とするというものがある。作品数の多い作家ならまだしもボーモントのように早世し作品数が思ったほど残っていない場合、これは無理があるのではないだろうか。ベストオブ・ボーモントとして選りすぐりの作品をまとめたほうがインパクトがあったように思う。同じ様に思った読者も多いようである。 | ||||
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編者が企画している作家別アンソロジーの第二弾。J.コリアに続いて今回は伝説のドラマ「トワイライトゾーン」の主原作者として名高いC.ボーモントの特集。私は子供の頃、現在進行形で「トワイライトゾーン」を興味深く観ていたので、本作も期待して手に取ったのだが、その期待は裏切られた。第一部がホラー風味、第二部がSFと別れているのだが、双方共に余り興趣を覚えなかった。 第一部では、各編が吸血鬼、死神、幽霊、悪魔等の存在を前提に書かれているので、<予期せぬ結末>どころか、定型的な物語を読まされている感があり、全く楽しめなかった。こうした傾向の作品への嗜好を持つ読者には向いているかもしれないが、一般読者とは縁遠い印象を受けた。幕間にある人間心理の機微を題材にした「殺人者たち」の方がまだしも読める。第二部のSFも、これと言った文明批判や奇抜なアイデアがある訳ではなく、凡庸な印象を受けた。本当に「トワイライトゾーン」の原作者だったのかとの疑問を抱かせる程の内容。異形の動物を扱っていながら、ラストの捻りで読ませる「フリッチェン」だけが<予期せぬ結末>に相応しいとあってはお寒い限り。 既刊本に未収録の作品だけを集めた由だが、そのために作者の力量を示す作品が埋もれてしまったのではないかとの印象を受けた。そうだとしたら惜しい事だし、アンソロジーを編む難しさも感じた。 | ||||
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若くして他界した著者の傑作集。捻った展開が得意で、やや残酷な感のするものも少なくない。ブラッドベリは、自分に似ているとコメントした事があるそうだが、ブラッドベリは何処か人の良さを感じさせるのに対し、ボーモントは何処か意地の悪さの様なものを感じさせる。解説を見るとボーモントは問題のある母親と不幸な幼年期を送っていたそうなので、ずっと幸福だったブラチッドベリとは世の中に対する見方が根本的に違っているのかも知れない。 | ||||
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伝説的ドラマ『ミステリーゾーン(The Twilight Zone)』の脚本家としても知られたチャールズ・ボーモントの本邦未訳作品並びに単行本未収録作品を収録した日本オリジナル短編集。 ミステリ系の作品が主だった早川書房の異色作家短編集『夜の旅 その他の旅』に比べ、ホラーとSF系統の作品がメインとなった内容。 この作者独特の厭世的な雰囲気とダークな結末の短編群は単なるアイデアストーリーに留まらない苦い読後感を残す。 ディストピア・テーマの傑作「変身処置」と悪夢が木霊するような「エレジー」はともに『ミステリーゾーン』でドラマ化された傑作SF短編。 残酷かつ意外な結末のクライムストーリー「殺人者たち」 作者の処女作である風変わりな悪魔物のファンタジー「悪魔が来たりて――?」 ラストが衝撃的なビザールな怪物小説の名品「フリッチェン」 典型的な終末テーマのSFと思いきや意外な結末を迎える傑作掌編「集合場所」 これらの佳品の数々は三十代の若さでの作者の夭逝がいつまでも惜しまれる理由を物語っている。 | ||||
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