ゼンデギ
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本作は日本語訳にして550ページ超にも及びますが、SFの骨子となる科学技術の構想に関する部分の情報量は全体のページ数の多さに比して遥かに少なく、本作自体の内容としては短編小説で事足りるレベルだと思いました。 イランの政治・社会情勢に関する部分、ゼンデギ(ペルシア語でlifeの意)内部での中世ヨーロッパ時代の冒険の部分などは、本作の科学技術である意識の近似的なデジタルコピーとはほとんど関係が無いといっても過言ではなく、作品全体に渡って科学技術と関係性の低い記述が多く、作中の言葉を借りれば、まさに音や映像の圧縮技術のように、この作品も冗長な文章を削ぎ落し、数分の1のサイズに圧縮してもなお読み手に与える印象は結果的に変わらないのではないかと思える程でした。 あくまでも想像ですが、元々短編用だったストーリーを長編用に肉付けしたのではないか、しかも作業的肉付けに終始したために、まるで550ページにも及ぶ乱数表を読まされているような気分になる作品が完成したのではないかと思いました。 しかしながら、その”肉付け”においては、与えられた一本のマッチ棒を巨大な特製火炎放射器に作り変えてしまうように、与えられた僅かな種を多角的・俯瞰的に解釈し、次々にイメージを展開・関連させていくというイーガンの力押し技を垣間見ることができるので、イーガン節が好きな人にはオススメできる作品であると言えます。 そのほか、企業の現場のリアルな描写や、産業サスペンスの要素などが含まれていたり、第26節においてデジタルコピーのマーティンが初めてテストランするシーンでは感動と涙を誘うものがありました。 気力がある方は是非一読されてはいかかでしょうか。 | ||||
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前半の退屈極まる革命描写はバッサリ捨てても問題なかったのではないかと思う。これのせいでかなり読み進むのが大変だった。 中盤以降は、小学校低学年の息子を持つ父親として、主人公に強烈な親近感を感じざるを得ず。 結果として辛く、重苦しく、救いのない作品だった、という感想。 SFのキモとしてはタイトルの「ゼンデギ」(VRゲームポッド)よりも、そのアバターを作り出す「サイドローディング」になるだろうか。 人間を電子情報化する際に、脳マップをまんまアップロードするのではなく、一定のテストに対する反応から、それと同じ反応をする人工知能を作るもの。うまいサッカープレイヤーをサイドローディングすると、やっぱりサッカーの上手いアバターが出来上がる。 最近のディープラーニングされた人工知能の振る舞いに近いように思われて、さすがイーガン先見の明がある、と思う。 ただ、2017年現在、この手の”人工知能”は「道具」としての進化は続けているけど、西海岸的「人格のアップロード」文化とは馴染まないきがするなぁ、と思いつつ読み進めると案の定のラスト。肩すかし感は否めない。ただ、イーガンは西海岸的”それ”を信じているようだ。だとするとこのラストは何だろう。 とにかくこれだけ哀しい思いをしてこのオチか、という、ちょっと怒りにも感じた絶望感がある。こんな灰色一色のSF書く人だったっけかなぁ。それとも自分が何も読み取れていないのか。 冒頭のLPからのリッピングの描写や電子書籍化の際の取りこぼし描写(ラストを読んだ後この辺の描写をみればオチの示すところは明らかだ)についてこの先人類がどういう結論を下すのかはわからないけど、「時間の波に洗われる」ことが加速されているのではないかなぁ、とも思う。ScanSnapの前で紙束のpdf化に土日祝日を割いている身としては、結局「灰は灰に」ということなんじゃ?という気持ちでもある。 いや、面白かったんですよ!(付け足しのように) ただ、お話が、悲しかったので。 イーガンがいいたかったのは、”魂”は”振る舞い”とは全く違うところにあって、振る舞いの完コピが 魂を生み出すことはない、方法を変えないとね(例えばディアスポラのように)ってことなのかなぁ、 とは思う。思うけどもさ。 | ||||
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イーガン2010年の作品で、時代は執筆時から見て数年後から少し未来。メインとなる舞台は二か所で、一つはイラン、そしてもう一つはタイトルにもなっている Zendegi というアーケード VR ゲーム(!)の世界です。 核となるネタはイーガンお得意の、人間を計算機上で再現しましょう、なのですが、本作品の場合、時代はごく初期の研究開発の段階です。脳の神経構造をそのまま再現する「アップロード」は技術的にとても困難で研究が頓挫する一方、多くの個体から得たビッグデータとしての脳を統計的なアプローチで再構成する技術が生まれます。ただ、それはあくまでも標準的な脳のモデルのようなもので、そこに個体として期待される振る舞いはありません。そんな中、「サイドローディング」という新手法が考案され、主人公(の一人)が自らの分身(作中ではプロキシ)を作る必要に迫られ、自らサイドローディングの被験者となって…というお話です。 サイドローディングというのは (詳しく書くとネタバレなので)ざっくり言うと、統計的に作られた大雑把な脳モデルに対して、個体の振る舞いをシステム同定し、調整して行く、というものでなるほどこういうアプローチなら技術的に未熟な段階でも実用的なプロキシが作れるかもと納得させられます。この辺りは非常によく書けていてさすがこのテーマを長年追い続けているイーガンならではと思います。 また、VR技術の描写も現代的かつ精緻で読み応えがあります。 一方で、作品の相当量がゲーム中のシナリオ描写に割かれていますが、正直これは割とどうでもいい部分な上に、日本人には馴染みの薄いペルシアのお伽話の世界なので、ちょっと読み疲れました。 あと、話の最後のオチが控え目すぎなのも、こっち系のイーガン作品の「 」や「」に比べると物足りないかなぁというのが個人的な感想です。まぁその分リアリティはあるんですが。 | ||||
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カノグレッグ・イーガンの作品ということでかなり構えて手にとった。 が、意外に手におえないほど難解であるということもなく普通に読み進めることが出来た。 イラン民主化を描く冒頭はイーガンにしては少しエンターテイメントしてるなと思った。 ハリウッド的というか、映画的というか。 この箇所が知人などの言う冗長な箇所であったのだろう。 その後に書かれるVRMMOのようなシステムや脳マッピングなどはわかりやすいイーガン、一般人に妥協してくれたイーガンとして読めた。 | ||||
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まず無駄に長いです。第一部のイラン革命の部分を楽しめる人がどれだけいるのか。(第一部は185ページ) 後半の話に繋がる要素がいくつか含まれているとはいえ大幅にカットしても差し支えないレベルのつまらなさです。 また、全体を通して持って回った言い回しが連発し辟易してしまいます。 (これはイーガン特有のものなのか、翻訳者特有のものなのかは不明ですが) ただでさえ小難しいことを書いているのに輪をかけて読者の理解を妨げる要因になっており、ページ数増の原因にもなっています。 ここまでマイナスな部分を書いてきましたが、やはりイーガンなので一定の評価ができる部分もあります。 人格のデジタル化の技術考証はもちろん、 デジタル人格の扱い、社会的な反応などの問題をリアルに描いている点、 そういった技術的、哲学的な発想と突き詰め方はやはり他の作家と比較しても抜きん出ていると思います。 本作は一言で言うならば「人格デジタル化史黎明期」という感じで、 そう考えると主人公の結末も「黎明期」の一部としてしっくり来る気もします。 ただやはり冗長なのは否めず、結末も肩すかしな感じで本当に「歴史の一部」のようなたんたんとした印象の話です。 故にエンタメとしては低評価、それほどおもしろくありません。 | ||||
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