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ゼンデギ
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ゼンデギの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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本作は日本語訳にして550ページ超にも及びますが、SFの骨子となる科学技術の構想に関する部分の情報量は全体のページ数の多さに比して遥かに少なく、本作自体の内容としては短編小説で事足りるレベルだと思いました。 イランの政治・社会情勢に関する部分、ゼンデギ(ペルシア語でlifeの意)内部での中世ヨーロッパ時代の冒険の部分などは、本作の科学技術である意識の近似的なデジタルコピーとはほとんど関係が無いといっても過言ではなく、作品全体に渡って科学技術と関係性の低い記述が多く、作中の言葉を借りれば、まさに音や映像の圧縮技術のように、この作品も冗長な文章を削ぎ落し、数分の1のサイズに圧縮してもなお読み手に与える印象は結果的に変わらないのではないかと思える程でした。 あくまでも想像ですが、元々短編用だったストーリーを長編用に肉付けしたのではないか、しかも作業的肉付けに終始したために、まるで550ページにも及ぶ乱数表を読まされているような気分になる作品が完成したのではないかと思いました。 しかしながら、その”肉付け”においては、与えられた一本のマッチ棒を巨大な特製火炎放射器に作り変えてしまうように、与えられた僅かな種を多角的・俯瞰的に解釈し、次々にイメージを展開・関連させていくというイーガンの力押し技を垣間見ることができるので、イーガン節が好きな人にはオススメできる作品であると言えます。 そのほか、企業の現場のリアルな描写や、産業サスペンスの要素などが含まれていたり、第26節においてデジタルコピーのマーティンが初めてテストランするシーンでは感動と涙を誘うものがありました。 気力がある方は是非一読されてはいかかでしょうか。 | ||||
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前半の退屈極まる革命描写はバッサリ捨てても問題なかったのではないかと思う。これのせいでかなり読み進むのが大変だった。 中盤以降は、小学校低学年の息子を持つ父親として、主人公に強烈な親近感を感じざるを得ず。 結果として辛く、重苦しく、救いのない作品だった、という感想。 SFのキモとしてはタイトルの「ゼンデギ」(VRゲームポッド)よりも、そのアバターを作り出す「サイドローディング」になるだろうか。 人間を電子情報化する際に、脳マップをまんまアップロードするのではなく、一定のテストに対する反応から、それと同じ反応をする人工知能を作るもの。うまいサッカープレイヤーをサイドローディングすると、やっぱりサッカーの上手いアバターが出来上がる。 最近のディープラーニングされた人工知能の振る舞いに近いように思われて、さすがイーガン先見の明がある、と思う。 ただ、2017年現在、この手の”人工知能”は「道具」としての進化は続けているけど、西海岸的「人格のアップロード」文化とは馴染まないきがするなぁ、と思いつつ読み進めると案の定のラスト。肩すかし感は否めない。ただ、イーガンは西海岸的”それ”を信じているようだ。だとするとこのラストは何だろう。 とにかくこれだけ哀しい思いをしてこのオチか、という、ちょっと怒りにも感じた絶望感がある。こんな灰色一色のSF書く人だったっけかなぁ。それとも自分が何も読み取れていないのか。 冒頭のLPからのリッピングの描写や電子書籍化の際の取りこぼし描写(ラストを読んだ後この辺の描写をみればオチの示すところは明らかだ)についてこの先人類がどういう結論を下すのかはわからないけど、「時間の波に洗われる」ことが加速されているのではないかなぁ、とも思う。ScanSnapの前で紙束のpdf化に土日祝日を割いている身としては、結局「灰は灰に」ということなんじゃ?という気持ちでもある。 いや、面白かったんですよ!(付け足しのように) ただ、お話が、悲しかったので。 イーガンがいいたかったのは、”魂”は”振る舞い”とは全く違うところにあって、振る舞いの完コピが 魂を生み出すことはない、方法を変えないとね(例えばディアスポラのように)ってことなのかなぁ、 とは思う。思うけどもさ。 | ||||
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イーガン2010年の作品で、時代は執筆時から見て数年後から少し未来。メインとなる舞台は二か所で、一つはイラン、そしてもう一つはタイトルにもなっている Zendegi というアーケード VR ゲーム(!)の世界です。 核となるネタはイーガンお得意の、人間を計算機上で再現しましょう、なのですが、本作品の場合、時代はごく初期の研究開発の段階です。脳の神経構造をそのまま再現する「アップロード」は技術的にとても困難で研究が頓挫する一方、多くの個体から得たビッグデータとしての脳を統計的なアプローチで再構成する技術が生まれます。ただ、それはあくまでも標準的な脳のモデルのようなもので、そこに個体として期待される振る舞いはありません。そんな中、「サイドローディング」という新手法が考案され、主人公(の一人)が自らの分身(作中ではプロキシ)を作る必要に迫られ、自らサイドローディングの被験者となって…というお話です。 サイドローディングというのは (詳しく書くとネタバレなので)ざっくり言うと、統計的に作られた大雑把な脳モデルに対して、個体の振る舞いをシステム同定し、調整して行く、というものでなるほどこういうアプローチなら技術的に未熟な段階でも実用的なプロキシが作れるかもと納得させられます。この辺りは非常によく書けていてさすがこのテーマを長年追い続けているイーガンならではと思います。 また、VR技術の描写も現代的かつ精緻で読み応えがあります。 一方で、作品の相当量がゲーム中のシナリオ描写に割かれていますが、正直これは割とどうでもいい部分な上に、日本人には馴染みの薄いペルシアのお伽話の世界なので、ちょっと読み疲れました。 あと、話の最後のオチが控え目すぎなのも、こっち系のイーガン作品の「 」や「」に比べると物足りないかなぁというのが個人的な感想です。まぁその分リアリティはあるんですが。 | ||||
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カノグレッグ・イーガンの作品ということでかなり構えて手にとった。 が、意外に手におえないほど難解であるということもなく普通に読み進めることが出来た。 イラン民主化を描く冒頭はイーガンにしては少しエンターテイメントしてるなと思った。 ハリウッド的というか、映画的というか。 この箇所が知人などの言う冗長な箇所であったのだろう。 その後に書かれるVRMMOのようなシステムや脳マッピングなどはわかりやすいイーガン、一般人に妥協してくれたイーガンとして読めた。 | ||||
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まず無駄に長いです。第一部のイラン革命の部分を楽しめる人がどれだけいるのか。(第一部は185ページ) 後半の話に繋がる要素がいくつか含まれているとはいえ大幅にカットしても差し支えないレベルのつまらなさです。 また、全体を通して持って回った言い回しが連発し辟易してしまいます。 (これはイーガン特有のものなのか、翻訳者特有のものなのかは不明ですが) ただでさえ小難しいことを書いているのに輪をかけて読者の理解を妨げる要因になっており、ページ数増の原因にもなっています。 ここまでマイナスな部分を書いてきましたが、やはりイーガンなので一定の評価ができる部分もあります。 人格のデジタル化の技術考証はもちろん、 デジタル人格の扱い、社会的な反応などの問題をリアルに描いている点、 そういった技術的、哲学的な発想と突き詰め方はやはり他の作家と比較しても抜きん出ていると思います。 本作は一言で言うならば「人格デジタル化史黎明期」という感じで、 そう考えると主人公の結末も「黎明期」の一部としてしっくり来る気もします。 ただやはり冗長なのは否めず、結末も肩すかしな感じで本当に「歴史の一部」のようなたんたんとした印象の話です。 故にエンタメとしては低評価、それほどおもしろくありません。 | ||||
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ディアスポラが好きなので期待して買った。 しかし、のっけからイラン革命の描写がぐだぐだと続いて辟易。せめてリアリティがあればいいのだが、登場するイラン人がイラン人のふりをしたアメリカ人のようにしか見えなかった。なぜイラン人が英語のジョークを交えて演説をするのか……。 それでも我慢して最後まで読み通したが、結末は「え? これだけ?」という感じ。 結局人の意識を電脳化する話は一歩も進んでないような終わり方だった。物語としてのカタルシスも微妙。てっきり、技術の普及によって急速に社会が変貌して……となるものと期待していたのだが、これも裏切られてしまった。 ぐっと絞って短編にしたらそれなりに読めたかもしれないが、長編としては無駄に長いばかりでいいところがなかった。 残念。 | ||||
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2009年に書き上げられた作品だそうで、深刻な病を告知された主人公が幼い息子のために仮想世界に自分の分身を残そうとするが……、というストーリー。VR、仮想世界、AIといった技術が背景にあり、これらが丹念に描かれます。 小説ではなく現実に目を向けると、多層ニューラルネットワークを可能にするブレークスルーがあったのが2007年頃、それを元にディープラーニングの成果が出はじめたのがちょうど2009年頃だったように記憶してます。また、VRに関してはまさに今OculusやProject Morpheusといったものが話題になっていて、ゲームにおいてVRが広がる可能性が見えつつあります。 本作が書かれた2008~9年ごろ、おそらくイーガンはリサーチをもとにこれらの技術を見通し、その近未来を描いてみせただろうと思います。ニューラルネットワークについては当時の論文も参照しているかもしれません。近未来の予測は難しいものですが、それほど大ハズレでもないということに感心します。無論、たとえば急ごしらえのメッシュネットワークで端末間の音声通話が安定的にできるような帯域を得るのは難しいんじゃないのか等、現実に照らすと技術的に疑問はありますが、そんなところはご愛嬌でしょう。 「順列都市」から進歩がないと厳しい評価を下している方もいますが、2015年の現実を踏まえれば、本作で描かれている事柄が必ずしも夢物語ではないということがわかります。なんで2015年の今だからこそ興味深く読むことが出来るんじゃないかな、と。つまり「順列都市」当時よりはリアリティがあるんですね。もちろん、本作で描かれるサイドローディングなる技術によって分身を残すことが可能かどうかはさっぱりわかりませんが。 また、息子を気にかける父親の心情、また友人に対する複雑な思いといった事情も丹念に描かれてまして、イーガンは科学技術用語が連発する無味乾燥な作家から嫌と思ってる人にもオススメです。短編では家族愛やあるいは政治といったものをテーマにしてる作品も多いですし、イーガンはそうした指向性もある作家で、そんな面が出た作品だと思います。 | ||||
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いい加減この翻訳者やめて欲しいです。おそらくイーガンのわかりにくさは、この直訳、機械翻訳調のダサい日本語によるところが大きいのではないかと思います。何度も読み返してやっと意味が通じるような文章が多いのです。これでカッコつけてるつもりなんでしょうか?わかりやすく意味を伝える文章をきちんと書ける人が翻訳したら「イーガンはわかりにくい」という評価も少しは変わると思います。いつも同じ人が翻訳を担当するのは特別なわけでもあるのでしょうか。この状況は非常に残念であり、もったいないことだと思います。こんな評価があることを原作者にも知ってもらいたい。翻訳者には「ニューロマンサー」の翻訳者(故人ですけど)の爪の垢でも煎じて飲め、と言いたいです。あと、どうでもいいことですが、インタビューの表記がインタビュウとなっています。これまた何ともダサい表記で、出てくるたびにイラッとしました。校正の人、ちゃんと仕事してください! 内容については、これが最先端のSFだなんてよく言えると思います。小説(物語)としての面白さは最初からこの作家に期待していないのでコメントはしませんが、肝心のアイデアが「順列都市」から1ミリも進化してない。あーあ、時間の無駄だったなあ。他を探せばワクワクするような最先端のSFはたくさんあります。ネームバリューにだまされた私が馬鹿でした。そろそろイーガンおしまいですね。 | ||||
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グレッグ・イーガンは決して読みやすい作家ではないです。 単行本としての本邦初訳である『宇宙消失』や『万物理論』はまだしも、『順列都市』や『ディアスポラ』になると、取っ付きが悪く、『白熱光』で頂点に達した感じです。 その点、『ゼンデギ』は、久々に我々の身近に感じる主人公が登場した感じで読みやすいです。もっとも内容は濃いですが。ネタバレになるのを避けるために詳しくは書きませんが、表題のゼンデギZENDEGIが英語のlifeにあたるペルシア語の発音を英語表記したものであることは知っていてよいかと思います。 イーガン初心者には特にオススメ、短編『ルミナス』、『暗黒整数』、『白熱光』で挫折した方にもオススメです。 | ||||
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