絞首人
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
絞首人の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
物騒なタイトルだけど恐怖ものではない。 主人公の女子大生は属する世界(大学、家庭)に足場を持たずさ迷う。吊るされた状態で動かせる足が作れる半径ほどの狭い世界を。周りは俗人ではあるけれど悪人でもない自分と変わらない人たち。著者はこの作品を自分の子供たちに捧げている。地味だけど永く多くの人に必要とされる名作だと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
章立てのないこの小説には、大きいアキ(たぶんページ替え)が二つある。ひとつめは62ページのヒロインが大学に入るところ、ふたつめはヒロインが大学から家に戻った200ページのところである。舞台の変更に沿った区切りと言えるが、ただしこの後ヒロインが大学に戻ったところは1行アキに済ませている。これには作者の意図が感じられる。 かなり手ごわい、というより難しい小説だと思う。特に最初のほうを読みながら途中でやめようと思ったくらいである。続行したのは、きわめて変則的なのだが100ページあたり以降を、すでに読んでいて、捨てがたい面白さを味わっており、その面白さのルーツを探り当てたかったからである。 細かくいうと、最初に200ページから最後までを読み、続いて100ページあたり、ヒロインが大学の若い教授夫人エリザベスに会ったあたりに戻って読みだし、読んだ部分に繋げた。そして最初から読むことになったわけだが、この小説の奇妙な雰囲気に馴染んでいたにもかかわらず、そうは問屋が卸さないとばかりに、大学に行く前、17歳のヒロインの家庭が、読み欲を削ぐようなかたちで、そこには描かれていた。奇妙さは判読しがたさと混じりあい、読むことの試練の世界に迷い込まされる。 ヒロインに対してなされる刑事の質問が、映画でいえば脈絡のない直接的なショットつなぎという感じで随所に入るが、相当に自信がなければ、こんな風には書けないだろう。51ページあたりからヒロインにからむ「男」なども、意味をさぐろうとする読者を戸惑わせる。 この小説が「動きだす」のは、ヒロインの手紙が登場するあたりからだろうか。やがてヒロインの日記、そして異常さがその文体に宿る父親からの手紙が登場し、いやがうえにもヒロインと父親の微妙だが尋常ではない関係がほの見えるようになる。 同じ現実の事件からヒントを得て書かれたという「行方不明の少女」を読み返したが、比較すると、この『絞首人』は恐ろしく噛みごたえがあるというか噛みくだきえない感触にみちている。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 2件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|