燃えつきた地図
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| 「砂の女」が帰るべき家を失った男の話(砂丘の中という新たな居場所を見つけますが)、「他人の顔」が事故により表情を失った男の話(精巧な仮面により新たな人格を得ますが)とすれば、この「燃えつきた地図」は、失踪者を探し出す立場の男が、その渦中で自らを見失っていく話と言えそうです。 一週間ほどの物語ですが、非常に密度が濃く、読者も自分の居場所をふと確認したくなるはずです。 妻の元を去ってしまったサラリーマンを探し出す役目の興信所の探偵「ぼく」からして自分の妻と別居中であり、依頼人である失踪者の妻はアルコール依存症のようで、夫に関する記憶も定かでない。 更に怪しげなのは、依頼人の弟と名乗る人物で、調査状況を監視するように「ぼく」の調査先に偶然を装い姿を現します。 失踪者の勤務先の部下「田代」は、安部公房自身が語るには「最初はたいした登場人物ではなかったが、書いているうちに、勝手にどんどん動き出した」そうです。 「田代」も虚実の狭間で自分を見失ってしまった現代人そのものかもしれません。 勅使河原宏監督、勝新太郎主演の映画では、渥美清が「田代」役を演じており、原作以上の存在感を示していました。 さて、読者は終盤に幻想的な世界に引きずり込まれていきます。 自分は今どこにいるのか、ここが本当の自分の居場所なのか、ふと周りを見渡してしまうかもしれません。 短編「カーブの向う」を併せて読むと、この世界の理解が深まると思います。 | ||||
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| 高校時代に好きだった安部公房作品を30年ぶりに再読。内容は完全に忘れきっていたから、かなり新鮮に読めたので、その上での感想を。 一言で言うと「時代の波に揉まれて風化したな」だった。それはテーマ的な意味において。 この小説は、今や二十世紀、戦後派の現代文学の傾向である「自意識とばかり格闘している、せせこましい現代人(当時)の肖像」を描く、孤独と喪失の物語だろう。ただしチラホラとある素晴らしい比喩表現には唸らせるものがある。やはり安部公房は紛れもない大家だ。 その他、本作の印象を語るならば、 ・主人公の性癖が縷々と述べられ、作品冒頭から、「レモン色の女」と男女関係になることは容易に想像がついた。 ・見当違いの妄想をあたかも意味ありげに語る主人公が偉そうな口の聞き方でやはり時代風化を感じる。しばしばナンセンスで大袈裟な述懐ぶりが気になる。 ・もはや古臭くジメジメしているが、英語翻訳ならば知的でクールな文体として海外での印象が良さそう。 ・丘陵地帯の上にある団地の存在が、カフカの『城』を微妙にオマージュしてるように感じた。 この後、同じく失踪をテーマにしている点で同じだが『砂の女』を読み返し始めたが、そちらの方が時代風化せずに名作だなと思いながら興味深く読めている。 | ||||
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| 初期作品から数冊読んでいますが、この頃の安倍公房作品が私はもっとも好きですね。 | ||||
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| 「都会――閉ざされた無限。けっして迷うことのない迷路。すべての区画に、そっくり同じ番地がふられた、君だけの地図。だから君は、道を見失っても、迷うことは出来ないのだ」 著者の他作品である『砂の女』『他人の顔』『箱男』『壁』などと同様、社会における「私」について考えさせられる、安部公房らしい一冊。「ここではないどこか」を願う思いは、いかにして満たされうるのだろうか。「私」は「私」を捨てて逃げ去ることができるのだろうか。筆者の言にもありますが、都市文明社会に生きる「私」の「私」からの解放の可能性について考えさせられました。 一冊の面白さ、安部公房文学への入り口という観点からは『砂の女』をおすすめします。 安部公房の作品をいくつか読んでみたいというのであれば、そのうちの一冊としておすすめです。 | ||||
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| 最近公房さんにハマってしまった。展開が面白くて止まらなくなるが最後が、?、って感じか。 | ||||
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