箱男
- 覗き (20)
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この世界では箱男が一種の社会病理らしい。静かな流行のような。 ふとしたことで誰もがなりうる人間もどきのような存在。 覗き魔が自分を消して世界のすべてを覗こうとする反転世界でもある。見られることを拒絶して完全に見る側になる。 浮浪者同然の生活で不潔かつ、所持品が少ない。 主人公は元カメラマンで現像液まで持ち歩いている。 突如狙撃してきたうえ、箱を5万で買いたがる医者と看護婦コンビ。 その思惑がよく分からぬまま、薬漬けの軍医殿を箱男に偽装して溺死させる依頼安楽死計画が始まる。 どこまでが事実でどこからが落書きなのかが分からない。 覗き魔の少年の話が挟まり、看護婦とカメラマンの同棲生活とその終わりの場面、窓もドアも釘付け密閉された彼らの隠れ家が実はけたたましい駅ビルの一部だったかのような夢みたいな描写で終わる。 | ||||
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安部公房(1924~1993年)は、東京生まれ、満州育ち、東大医学部卒の小説家。作品は海外でも評価が高く、世界30数ヶ国で翻訳され、晩年はノーベル文学賞の有力候補と目された。 本作品は、『壁‐S・カルマ氏の犯罪』(芥川賞受賞)、『砂の女』(読売文学賞、フランス最優秀外国文学賞受賞)と並ぶ代表作の一つと言われ、1973年に出版、1982年に文庫化された。 内容は、ダンボール箱を頭から腰まですっぽり被り、小さな除き窓から外界を伺いながら、街を徘徊する「箱男」を主体としたフィクションだが、箱男が書いたとされる文章のほかに、他の人物が書いたらしい文章、新聞記事、独立したエピソード、白黒の写真等が多数挿入された複雑な構成となっている。 私は、読み始めたとき、都市部の地下道などでダンボール箱に入って寝ているホームレスを思い浮かべ、彼らのテーマにした作品だろうと想像したのだが、それは全くの見当違いで、読み進めると、上記の通り様々な書き手・形態の文章が次々と現れ、(極論すれば)脈絡なく話は進んで行った。そして、終盤では、それらの断章がどのような形で統合・回収されるのだろうと思いながらページを繰ったのだが、結局ほぼバラバラのまま終わるのである。 部分的に見れば、「本物」と「偽物」、「見る者(覗く者)」と「見られる者(覗かれる者)」、「書く者」と「書かれる者」のような比較的わかり易い二元論的なモチーフは見られるものの、一つの作品として全体を理解することはできない(敢えて「難しい」とは書かない)作品なのではないだろうか。 一読した後で、ネットで作品評価や解説を読んでみたところ、専門家の間でも、「成功作か失敗作かの評価が定まっていない」、「実験的な手法」などと評されているようである。 私は普段ノンフィクションを中心に読書をしており、本作品は安部公房の代表作の一つということで読んではみたのだが、好みの分かれる作品という気がする。 (2025年3月了) | ||||
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街中で大声出して電話している人。 電車の中や、歩きながら、運転しながら、家の中でも携帯に釘付けになってる人。 自分の世界に閉じ籠って、まるで透明なダンボールを被った箱男、箱女そのものだ。 安部公房の予言した世界が、今現実となっている恐ろしさ | ||||
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興味深いテーマ、読みやすい文章で楽しく拝読しました。 私には時々クスリと笑える箇所があり、電車の中で困りました。 | ||||
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「箱に入って都会をコソコソのぞき見する男」という筋書きに興味をもって読んでみました。江戸川乱歩の"人間椅子"とか"屋根裏の散歩者"みたいな話なのかなと思っていました。 序盤、これから箱男になる語り手が、丹念に箱の素材やサイズ、ギミックについて語っていくシーン、箱男としての生態、町中にいるであろう自分以外の箱男の存在についての口述、覗き見していた家主から空気銃で攻撃される下り、その空気銃を発報した家主がいつのまにか箱の魅力に取りつかれ新たな箱男になっていく展開は面白かったが、それ以降は一人の女性看護師をめぐって評論バトルやマウンティングまがいのレスバがおこなわれるだけで途中で読むのをやめた。「のぞき見すること」「覗かれること」という行為についてのフェチズムで表現したかったのかな? "砂の女"でもそうだが個人的に安倍公房は合わないなあと思いました。 | ||||
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