第四間氷期
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好きな作家の生誕100年というコトで、10代半ばで貪るように読んだ作品群の中から一番好だった本作を新たに購入して再読。発表から60年以上経つのに全く古びていない。これって今月新刊のスリラーだっけ?的な。10代の自分はもちろん卒倒しそうに震撼したけど、ある意味今読んだ方がIMPACT大。コワイのダメな方にはおススメしないけど。 | ||||
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「電子計算機とは、考える機械のことである。機械は考えることはできるが、しかし問題をつくりだすことはできない。」 「予言機械をもつことで、世界はますます連続的に、ちょうど鉱物の結晶のように静かで透明なものになると思いこんでいたのに、それはどうやら私の愚かさであったらしい。知るという言葉の正しい意味は、秩序や法則を見ることではなしに、むしろ混沌を見ることだったのだろうか」 こんなことをまだ戦後の経済成長も覚束ない日本の作家が書いてるだけで凄すぎる。書いてるというか見えているのだろう。2020年代の現在、人工知能学者が本気で議論している事柄ではないだろうか。物語中の社会環境の様相や登場人物のパーソナリティ、メンタリティ描写で言えば古臭いことは否めないが、文学の価値はそういうところではないだろう。 そういうことで古臭いという評価をするなら、多分現代文学ほどいつも、いつでも、これほど古臭いものはない。 | ||||
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"予言機械をもつことで、世界はますます連続的に、ちょうど鉱物の結晶のように静かで透明なものになると思いこんでいたのに、それはどうやら私の愚かさであったらしい"1959年発刊の本書は、万能の電子頭脳を巡る話から"日常・現在と未来の断絶"を描いた『日本で最初の本格的SF小説』 個人的に著者作は割と好きで読んできましたが、本書は未読だったので手にとってみました。 さて、そんな本書はアメリカ、ソ連が睨み合う『冷戦時代』作中では両国は核ミサイルや宇宙開発競争ではなく【万能の電子頭脳『予言機械』の開発競争】を繰り広げているのですが。そんな中で、日本で予言機械を研究開発しているも、成果不足から開発中止に追い込まれそうになっている博士『私』が、実験台として【平凡な人間を無作為に選んだ方が有用】だと考えて、ある中年男性を選んだことから【事態は意外な方向へと】向かっていくのですが。 まず、時代や『電子頭脳』といった設定、登場人物の台詞回しに【AIやロボットが当たり前に語られる】2022年の令和から眺めると、読み進める中で古臭さはやはり感じてしまいますが。それはそれで【レトロ感があって懐かしく、魅力的】だとも思いました。 また本書の中盤からはカレル・チャペックの『山椒魚戦争』を彷彿とさせる予想外の急展開となるわけですが(著者は絶対に既読だと思う)著者作は『いつも後半駆け足だな?』と感じた一方で、未来を現在から見て肯定的or否定的なイメージで判断する議論に【疑問や違和感を覚えた著者】が未来を予想できる『予言機械』をわざわざ登場させた上で【あえての断絶を描いた】本書。著者らしいユニークな実験小説だと思いました。 著者の実験小説ファンの方はもちろん、レトロ感ある日本SFとしてもオススメ。 | ||||
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安部公房「第四間氷期」読了。著者の本は勝手に難解という先入観があり読んだ事がなかったが紹介され思い切って挑戦してみた。はじめはタイトルと違った内容にやはりと戸惑ったが様々な伏線が繋がり人工知能や超人類等が組み込まれ昭和30年代のSF とは思えない秀逸な展開に驚いた。ほんと最高でした! | ||||
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卵が先か鶏が先かというようなヤヤコシさのある小説だが、本文中の以下の文を念頭に置きつつ読み進めれば、だいたい理解できると思う。名作と思うのでお勧めしたい。 「すべてを必然の型にはめ込んでしまおうとする共産主義者なら、機械に予言されてしまうような未来しか持てないのが当然かもしれない。しかし未来を自由意志で作り出す我々には、おそらく何の役にも立たないだろう。」 以下はネタばれ。 「未来を自由意志で作り出す我々」とは主人公の勝木博士たちのことである。「すべてを必然の型にはめ込んでしまおうとする共産主義者」とは勝木博士の行動を妨害する水棲人間を作っている共産主義者たちである。共産主義者たちは勝木博士を予言機械に掛けて分析し、予言機械(人口知能)の上に仮想的な(つまり偽の)勝木博士を立ち上げて、それを使って真正な勝木博士を殺そうする。果たして勝木博士は殺され、人類は滅亡し、水棲人間が地球を支配するのであろうか? そうなってしまったかのように水棲人間の世界が描かれている。ある水棲人間の少年に、先祖がえりのように陸の記憶とフロンティア精神がよみがえり、彼が陸を目指してそこで死ぬ場面には心打たれる。。しかしよく読むとそれは予言に過ぎず、まだ実現したとは書かれていないのである。希望を持てと著者は言っているようだ。 私にとって非常に不自然なのは勝木博士が何時どうやって「自分が知らない間」に予言機械に掛けられてしまったのかということである。本文には何の説明もない。かなり奇妙なことである。しかし2021年に住む我々には思い当たることがある「サイレント・インベージョン」である。60年前にまさかの予言?安部公房おそるべし。 | ||||
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