(短編集)
R62号の発明・鉛の卵
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
R62号の発明・鉛の卵の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
若いころに「砂の女」以降の長編は読んでいたが、最近、ヤマザキマリさんの影響でこの初期短編集を読んでみた。失業した自殺志願者は、死者は法の外にいるからと、白委の契約書にサインを求められ、囚人番号のような「R62号」という呼び名を与えられる。貧困から逃れるために羊の「盲腸」を自分の体に移植する実験を引き受ける父親。そんな社会的な弱者へのまなざしと、奇想天外でSF的な発想、そして若き著者の創作意欲が感じとれる。「世界の安部公房」になる前の、日本的な情感が感じられもする安部公房の初期短編集。面白い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「棒」を読みたくて購入。 安部公房の、男が棒になる作品が他にもあるとは知らずに最初は間違えて「友達・棒になった男 (新潮文庫) 」を購入してしまった。「棒」が収録されている本が「R62号の発明・鉛の卵」だと調べるのに、少し手間取った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1953年から57年にかけて書かれた初期短編を12篇収録している。 60年前の作品なので、あっけなくて物足りない作もあるが、 それにもまして人間と社会の関りを見つめる異様な視点に強烈に惹きつけられた。 「R62号の発明」は自殺志願者をロボットに改造する。今ならサイボーグ化と表現するだろう。 皮肉で残酷な結末が印象に残る。 「盲腸」は食糧危機を回避するため、人間を草食獣にするプロジェクトが発足する。 羊の盲腸を移植された男の運命は如何に。 どちらも困窮して自分を売る男が主役だ。時代を感じさせるなあ。 良い作品は経年によって劣化するどころか、時代の証言としての価値が生じる。この二作が好例だ。 「変形の記録」は南方でコレラにかかった兵士、「死んだ娘が歌った」は売春を強制された女工が主人公だ。 どちらも幽霊である。共産党員だった作者らしい、戦後のプロレタリア文学とでもいうのか。 悲惨きわまりない話なのに、ユーモラスで妙に楽しい。 「犬」は妻の飼っている犬と男の争いを描く。不思議な味わいの嫌犬小説だ。 「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」 人肉食が常識となった世界を描く。食べる階級と食べられる階級のかみ合わなさが笑える。 紳士が全員フリークなのは、何か意味があるのか。あ、自分で齧ったのか。 「鉛の卵」冬眠機の故障で、十年後に目覚めるはずだった男は八十万年後に目覚めてしまった。 この一作だけで作者のSFセンスの素晴らしさがわかる。短編なのが惜しいくらいだ。 読みやすいし、阿部公房入門書に最適と思われる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
又吉さんがおすすめされていたので興味があり購入しました。 読み進めることが少し難しくもありましたが、大変魅力的な本でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
収録作品である「棒」は安部公房の全短編のなかでも一二を争うくらい大好きな作品だ。むろん安部作品なので、無限の解釈ができるわけだが、私には、使い古されそしてゴミのように捨てられる労働者としての男(棒)と、子供たちにとって掛け替えのない存在である父親とが、同一のものとして存在しえるところの、矛盾、および悲しみが、極めてシュールレアリスティックに描かれてるように思われるのである。読んだらなぜだか涙を禁じえないほどだ。安倍氏ほど人情味溢れる温情な作家は日本にはそうはいまい。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 12件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|