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淑やかな悪夢



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    初公開日(参考)2000年10月
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    淑やかな悪夢 (創元推理文庫)

    2006年08月30日 淑やかな悪夢 (創元推理文庫)

    神経の不調に悩む女にあてがわれた古い子供部屋。そこには、異様な模様の壁紙が貼られていた…。“書かれるべきではなかった、読む者の正気を失わせる小説”と評された、狂気と超自然の間に滲み出る恐怖「黄色い壁紙」ほか、デモーニッシュな読後感に震撼すること必至の「宿無しサンディ」等、英米の淑女たちが練達の手で織りなす、本邦初訳の恐怖譚12篇を収めた一冊、文庫化。(「BOOK」データベースより)




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    No.12:
    (2pt)

    怖くはありません

    期待した内容では無かった
    淑やかな悪夢 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:淑やかな悪夢 (創元推理文庫)より
    4488507026
    No.11:
    (4pt)

    「黄色い壁紙」をようやく読みました

    本書には、女性作家たちのみが書いた怪談話が12編収められていますが、そのなかにシャーロット・パーキンズ・ギルマン(1860-1935)の短篇「黄色い壁紙」(1892年)が挿まれています。
     長く気になっていたこの作品をようやく読んだしだい。

     この作品は、簡単にいえば、出産後特有の神経不安に陥った「わたし」の手記と捉えることができ、その「わたし」が医師である夫とともに、田舎に借りた邸で療養をかね夏を過ごすという状況から手記ははじまります。

     主要人物は、手記を書く女-妻-患者の「わたし」と、その「わたし」の治療にもあたっている男-夫-医師のジョン。 
     邸にはほかに、赤ちゃんの面倒を見る乳母(?)のメアリー、家政婦(?)のジェニーがいるようですが、「わたし」にとってふたりの女性は自明の存在なので手記のなかではあらためて人物紹介はなされておらず、身分や夫婦との関係性など詳細は不明です。

     「黄色い壁紙」は、ホラー文学として読むほかに、フェミニズム文学と神経症文学といった観点から読まれているようです。

     まあでもべつだんそういうふうに事々しく構えなくても、女-妻-患者のためを思ってあれこれ適切な指示をしているつもりでも実は女-妻-患者をまるで理解できていない男-夫-医師という像がこの手記=小説からまずはかんたんに浮かびあがってきます。
     「一時的に神経の不調、軽いヒステリーの徴候」と分かったような分からないような診断をして、治療の名のもとに女-妻-患者を有無をいわさず階上のかつて子ども部屋だった部屋に閉じこめようとする男-夫-医師。
     いっぽうの女-妻-患者は自分のことばを発そうとしても、男-夫-医師には、自分が言いたいことは言えず、というよりむしろことばを発すれば男-夫-医師からさえぎられ、黙らせられる。自分の好きな書き物さえも身体にさしつかえるとばかりに禁じられ、話すことでも書くことでも自分のことばが奪われてゆく。それでかえってますます神経症状をこじらせ、状況はいよいよ悪化していくばかり――よくあるといえばよくある男-夫-医師と女-妻-患者の関係がそこから読みとれます。

     「わたし」は手記のなかで、男-夫-医師のジョンは「わたし」の身を気づかい、「わたし」のことを優しく思ってくれているからこそ、このような療法やアドバイスを「わたし」にするのだという理路でくりかえし自分を納得させようとしています。これも人間心理としてよく見られるものです。

     では、フェミニズム的観点からすると、この関係でやはり家父長的権威、学問的権威に居すわる男-夫-医師が本質的に悪いのでしょうか。そういう一般化も可能な関係がここで描かれているのでしょうか。まあいかにもだれにでもすぐ思いつきそうなごく単純な図式的読みかたですが、ともあれしかしまずはそういうことになるのでしょう。
     ただ、性急にそのようなフェミニズム的読解に飛びつくより先に、女性の産後ノイローゼにたいする作者が生きていた当時の医学的な理解やその標準的な治療法、少なくとも人びとの一般的な理解やその対応がどうであったか、そのこともこの小説の理解のためにまず確かめておく必要があるかもしれません。
     この点については、作者のギルマン自身が出産後鬱状態になり、小説のなかにも登場する実在のウィア・ミッチェル博士の治療をうけたものの、彼が薦めた「安静療法」によって、かえって鬱が悪化したという、彼女の実際の経験がこの小説に反映されているという指摘がすでになされていますが、いっぽうで、ミッチェル博士が提唱した「安静療法」は、正確には、小説のなかで語られている療法とは異なる、という医学史的な指摘もあるようです。

     さらに、手記からは、上で挙げた対比項である男/女、夫/妻、医師/患者にくわえ健常者/病人とさらに対比項をふやしていけそうで、関係構造として広く前項の後項へ向けたまなざしには無理解ばかりか抑圧的、差別的なものがはらまれているという読み方へとつなげ、拡張してゆけるところもあります。

     ようは、フェミニズムばかりかケアの観点からしても先駆的で問題提起的なところもある作品というわけです。

     たとえば、男-夫-医師の位置に義母あるいは実母、女-妻-患者の位置に産後うつの嫁あるいは実家で過ごす産後うつの娘を置いてみればどうでしょう。
     そこでの義母と嫁、あるいは実母と娘との関係構造にあっても、ケアにかかわって、手記に見られるような男-夫-医師と女-妻-患者の関係とよく似た抑圧的な構造がときに生まれうるのではないかということです。
     これはすべてあなたのためを思ってのこと、といいながら、ああすればいい、こうすればいいとか、怠けていてはダメだとか、みずから出産経験者であるにもかかわらず、あるいはむしろみずからも出産経験者であるだけに、うるさくそして厳しく干渉してくることはないのかどうかということです。

     また、精神分裂病になった少女が書いた手記に精神病医セシュエが解説をくわえた『精神分裂病の少女の手記』(みすず書房)という本がありますが、この短篇は精神疾患に罹った女性のじっさいの手記としても読めなくもありません。
     内容は結果としてなにか怖ろしい幻覚にまでいたるもので、それがこの手記をホラー小説にもしています。つまりこの短篇はそのジャンルの文学作品としても傑作と呼べるものです。

     それにしても、ひとが「這う(creep)」ことの恐怖!
    淑やかな悪夢 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:淑やかな悪夢 (創元推理文庫)より
    4488507026
    No.10:
    (5pt)

    女流作家ら渾身の珠玉短編集

    19世紀終盤ごろの12編の作品集です。「黄色い壁紙」は非常に視覚的な恐怖で「トワイライトゾーン」を観ている様に没頭させてくれます。とても怖いです。静養に来た婦人が壁の古い模様に違和感を覚えることからエスカレートしていく恐怖。婦人の狂気が部屋を呑みこんでいきます。描写が巧いです。
    他にも「告解室にて」「蛇岩」「冷たい抱擁」「郊外の妖精物語」「追われる女」「故障」あたりがオススメです。
    いきなりびっくりさせるのではなく、ジワジワ迫ってくる恐怖を描写する作品が多いのが特徴と感じました。
    淑やかな悪夢 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:淑やかな悪夢 (創元推理文庫)より
    4488507026
    No.9:
    (4pt)

    お化け屋敷ホラー

    日本人の感覚に近いイメージのお化け屋敷系のホラー短編集です。
    すごく怖いと言う訳では有りませんが、読み易いホラーですね。
    淑やかな悪夢 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:淑やかな悪夢 (創元推理文庫)より
    4488507026
    No.8:
    (3pt)

    「黄色い壁紙」の狂気がリアル

    練達の翻訳者三人が選んだ12篇で構成した怪談集。英作家が多い。
     時代的には19世紀末から20世紀前半のクラシックな作品が大半で、戦後のものはたぶん1篇しかない。(発表年は個人的に調べたもの)
     傑作と思ったのはギルマン「黄色い壁紙」とシンクレア「証拠の性質」の2篇。ほかは、食い足りない作品が多かった。
     面白かった順に紹介すると・・・

     メイ・シンクレア「証拠の性質」1923。
     若く美しく、幼いとさえ見える妻を亡くした男が、対照的に妖艶な美貌の女性と再婚すると、新婚初夜から前妻の幽霊が現れ執拗に邪魔をする。ここまでは普通に考えられるプロットだが、話はその先があって・・・ テーマは女性の隠された性への妄執。
     話し手の男性が友人である夫から聞いたという構成が巧妙で、女流でなければ書けない強烈な性的感覚が微妙に見え隠れし、男性読者としては恐ろしいという感想しか出てこない。

     シャーロット・パーキンズ・ギルマン「黄色い壁紙」1899。
     手記を書く若い母親の、狂気に侵されていく過程がその手記を通してじっとりと描かれる。19世紀末の作品とは思えないくらいにモダンな感覚は純文学ともいえそう。 
     借りている屋敷の部屋の「黄色い壁紙」、その模様の向こう側に女の姿を認めていく自己分析がひどく客観的で、精神病者の心の内を直接覗く気がして、怖くもあり悲しくもある。ついには壁紙の中の女と一体化し、このままさらに狂っていくことが暗示される。解説によると著者の実体験に基づく作品で、そう知るとさらに怖い。
     
     キャサリン・マンスフィールド「郊外の妖精物語」1919。
     ロンドン郊外、中流家庭の朝食の団欒。幼い息子が中庭に雀の一団を見つけ、餌をやろうとすると雀は子供に変身する。驚いて両親に教えるが、無視される。両親は息子がいないのに気づき、中庭で子供たちと遊んでいるのを見つけるが、見ている前で子供たちは雀に変身し、飛び立ってしまう。日常を突然変質させる不条理が江戸の百物語に通じる味だ。

     シンシア・アスキス「追われる女」1935。
     医師がマスクをかぶって登場するところで容易にオチの想像がつくから失敗作だが、別の見方をすれば、主人公の女性が怪人につきまとわれる理由がなく、怪人は知るはずのない主人公の居場所に現れるから、当然、主人公の正気が疑われるわけで、「ねじの回転」に通じる心理主義小説と見ることもできそうだ。
    淑やかな悪夢 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:淑やかな悪夢 (創元推理文庫)より
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