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(アンソロジー)

淑やかな悪夢



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【この小説が収録されている参考書籍】
淑やかな悪夢―英米女流怪談集
淑やかな悪夢 (創元推理文庫)

淑やかな悪夢の評価: 3.75/5点 レビュー 12件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.75pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全12件 1~12 1/1ページ
No.12:
(2pt)

怖くはありません

期待した内容では無かった
淑やかな悪夢 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:淑やかな悪夢 (創元推理文庫)より
4488507026
No.11:
(4pt)

「黄色い壁紙」をようやく読みました

本書には、女性作家たちのみが書いた怪談話が12編収められていますが、そのなかにシャーロット・パーキンズ・ギルマン(1860-1935)の短篇「黄色い壁紙」(1892年)が挿まれています。
 長く気になっていたこの作品をようやく読んだしだい。

 この作品は、簡単にいえば、出産後特有の神経不安に陥った「わたし」の手記と捉えることができ、その「わたし」が医師である夫とともに、田舎に借りた邸で療養をかね夏を過ごすという状況から手記ははじまります。

 主要人物は、手記を書く女-妻-患者の「わたし」と、その「わたし」の治療にもあたっている男-夫-医師のジョン。 
 邸にはほかに、赤ちゃんの面倒を見る乳母(?)のメアリー、家政婦(?)のジェニーがいるようですが、「わたし」にとってふたりの女性は自明の存在なので手記のなかではあらためて人物紹介はなされておらず、身分や夫婦との関係性など詳細は不明です。

 「黄色い壁紙」は、ホラー文学として読むほかに、フェミニズム文学と神経症文学といった観点から読まれているようです。

 まあでもべつだんそういうふうに事々しく構えなくても、女-妻-患者のためを思ってあれこれ適切な指示をしているつもりでも実は女-妻-患者をまるで理解できていない男-夫-医師という像がこの手記=小説からまずはかんたんに浮かびあがってきます。
 「一時的に神経の不調、軽いヒステリーの徴候」と分かったような分からないような診断をして、治療の名のもとに女-妻-患者を有無をいわさず階上のかつて子ども部屋だった部屋に閉じこめようとする男-夫-医師。
 いっぽうの女-妻-患者は自分のことばを発そうとしても、男-夫-医師には、自分が言いたいことは言えず、というよりむしろことばを発すれば男-夫-医師からさえぎられ、黙らせられる。自分の好きな書き物さえも身体にさしつかえるとばかりに禁じられ、話すことでも書くことでも自分のことばが奪われてゆく。それでかえってますます神経症状をこじらせ、状況はいよいよ悪化していくばかり――よくあるといえばよくある男-夫-医師と女-妻-患者の関係がそこから読みとれます。

 「わたし」は手記のなかで、男-夫-医師のジョンは「わたし」の身を気づかい、「わたし」のことを優しく思ってくれているからこそ、このような療法やアドバイスを「わたし」にするのだという理路でくりかえし自分を納得させようとしています。これも人間心理としてよく見られるものです。

 では、フェミニズム的観点からすると、この関係でやはり家父長的権威、学問的権威に居すわる男-夫-医師が本質的に悪いのでしょうか。そういう一般化も可能な関係がここで描かれているのでしょうか。まあいかにもだれにでもすぐ思いつきそうなごく単純な図式的読みかたですが、ともあれしかしまずはそういうことになるのでしょう。
 ただ、性急にそのようなフェミニズム的読解に飛びつくより先に、女性の産後ノイローゼにたいする作者が生きていた当時の医学的な理解やその標準的な治療法、少なくとも人びとの一般的な理解やその対応がどうであったか、そのこともこの小説の理解のためにまず確かめておく必要があるかもしれません。
 この点については、作者のギルマン自身が出産後鬱状態になり、小説のなかにも登場する実在のウィア・ミッチェル博士の治療をうけたものの、彼が薦めた「安静療法」によって、かえって鬱が悪化したという、彼女の実際の経験がこの小説に反映されているという指摘がすでになされていますが、いっぽうで、ミッチェル博士が提唱した「安静療法」は、正確には、小説のなかで語られている療法とは異なる、という医学史的な指摘もあるようです。

 さらに、手記からは、上で挙げた対比項である男/女、夫/妻、医師/患者にくわえ健常者/病人とさらに対比項をふやしていけそうで、関係構造として広く前項の後項へ向けたまなざしには無理解ばかりか抑圧的、差別的なものがはらまれているという読み方へとつなげ、拡張してゆけるところもあります。

 ようは、フェミニズムばかりかケアの観点からしても先駆的で問題提起的なところもある作品というわけです。

 たとえば、男-夫-医師の位置に義母あるいは実母、女-妻-患者の位置に産後うつの嫁あるいは実家で過ごす産後うつの娘を置いてみればどうでしょう。
 そこでの義母と嫁、あるいは実母と娘との関係構造にあっても、ケアにかかわって、手記に見られるような男-夫-医師と女-妻-患者の関係とよく似た抑圧的な構造がときに生まれうるのではないかということです。
 これはすべてあなたのためを思ってのこと、といいながら、ああすればいい、こうすればいいとか、怠けていてはダメだとか、みずから出産経験者であるにもかかわらず、あるいはむしろみずからも出産経験者であるだけに、うるさくそして厳しく干渉してくることはないのかどうかということです。

 また、精神分裂病になった少女が書いた手記に精神病医セシュエが解説をくわえた『精神分裂病の少女の手記』(みすず書房)という本がありますが、この短篇は精神疾患に罹った女性のじっさいの手記としても読めなくもありません。
 内容は結果としてなにか怖ろしい幻覚にまでいたるもので、それがこの手記をホラー小説にもしています。つまりこの短篇はそのジャンルの文学作品としても傑作と呼べるものです。

 それにしても、ひとが「這う(creep)」ことの恐怖!
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No.10:
(5pt)

女流作家ら渾身の珠玉短編集

19世紀終盤ごろの12編の作品集です。「黄色い壁紙」は非常に視覚的な恐怖で「トワイライトゾーン」を観ている様に没頭させてくれます。とても怖いです。静養に来た婦人が壁の古い模様に違和感を覚えることからエスカレートしていく恐怖。婦人の狂気が部屋を呑みこんでいきます。描写が巧いです。
他にも「告解室にて」「蛇岩」「冷たい抱擁」「郊外の妖精物語」「追われる女」「故障」あたりがオススメです。
いきなりびっくりさせるのではなく、ジワジワ迫ってくる恐怖を描写する作品が多いのが特徴と感じました。
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No.9:
(4pt)

お化け屋敷ホラー

日本人の感覚に近いイメージのお化け屋敷系のホラー短編集です。
すごく怖いと言う訳では有りませんが、読み易いホラーですね。
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4488507026
No.8:
(3pt)

「黄色い壁紙」の狂気がリアル

練達の翻訳者三人が選んだ12篇で構成した怪談集。英作家が多い。
 時代的には19世紀末から20世紀前半のクラシックな作品が大半で、戦後のものはたぶん1篇しかない。(発表年は個人的に調べたもの)
 傑作と思ったのはギルマン「黄色い壁紙」とシンクレア「証拠の性質」の2篇。ほかは、食い足りない作品が多かった。
 面白かった順に紹介すると・・・

 メイ・シンクレア「証拠の性質」1923。
 若く美しく、幼いとさえ見える妻を亡くした男が、対照的に妖艶な美貌の女性と再婚すると、新婚初夜から前妻の幽霊が現れ執拗に邪魔をする。ここまでは普通に考えられるプロットだが、話はその先があって・・・ テーマは女性の隠された性への妄執。
 話し手の男性が友人である夫から聞いたという構成が巧妙で、女流でなければ書けない強烈な性的感覚が微妙に見え隠れし、男性読者としては恐ろしいという感想しか出てこない。

 シャーロット・パーキンズ・ギルマン「黄色い壁紙」1899。
 手記を書く若い母親の、狂気に侵されていく過程がその手記を通してじっとりと描かれる。19世紀末の作品とは思えないくらいにモダンな感覚は純文学ともいえそう。 
 借りている屋敷の部屋の「黄色い壁紙」、その模様の向こう側に女の姿を認めていく自己分析がひどく客観的で、精神病者の心の内を直接覗く気がして、怖くもあり悲しくもある。ついには壁紙の中の女と一体化し、このままさらに狂っていくことが暗示される。解説によると著者の実体験に基づく作品で、そう知るとさらに怖い。
 
 キャサリン・マンスフィールド「郊外の妖精物語」1919。
 ロンドン郊外、中流家庭の朝食の団欒。幼い息子が中庭に雀の一団を見つけ、餌をやろうとすると雀は子供に変身する。驚いて両親に教えるが、無視される。両親は息子がいないのに気づき、中庭で子供たちと遊んでいるのを見つけるが、見ている前で子供たちは雀に変身し、飛び立ってしまう。日常を突然変質させる不条理が江戸の百物語に通じる味だ。

 シンシア・アスキス「追われる女」1935。
 医師がマスクをかぶって登場するところで容易にオチの想像がつくから失敗作だが、別の見方をすれば、主人公の女性が怪人につきまとわれる理由がなく、怪人は知るはずのない主人公の居場所に現れるから、当然、主人公の正気が疑われるわけで、「ねじの回転」に通じる心理主義小説と見ることもできそうだ。
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4488507026
No.7:
(5pt)

「黄色い壁紙」がすごい!!!

「黄色い壁紙」がすごい点は2つある。
1.手記であることを利用して、メタレベルで読者を狂気の淵に引きずり込む。これは筒井康隆「驚愕の荒野」でも類似の手法が取られている。
2.本編が終わった後も物語中では何も解決しておらずこの先どうなるのかは読書の想像にお任せ。まだ何かが起きるのでは、という不穏な空気を漂わせたまま終了する。この不穏な空気はジュブナイルホラー「アクアリウムの夜」やケリー・リンク「スペシャリストの帽子」にも見られる。(特に後者のラストで双子が階段を上がっていくシーンの怖さ)
さらに巻末の訳者対談によれば、もうひとつ興味深い手法で狂気を表現しているとのことである。これは実際に読んでみてほしい。

こんなレベルの高い作品を120年も前に生み出してることが驚きである。読後、ホラーにもかかわらず思わずニヤリとしてしまった。

他の作品も佳品揃いであるが、語り口がよかったり雰囲気が怪談らしく楽しめるといったレベル。「黄色い壁紙」のみがずば抜けており、他のレビュアーの方とかぶる内容だが、本作品が読めただけでも本書を購入したかいがあった。
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4488507026
No.6:
(2pt)

女流作家ならではの怪談を期待したが、全体として平板な出来

主に20世紀初頭に活躍した女流作家の怪談を集めたアンソロジー。女流作家ならではの生理的嫌悪感や酷薄さを期待したのだが、全体として平板な出来。

殺人や恋人の裏切りによって悶死した人間が幽霊化する、と言う様式がパターン化されており、しかもそれが登場人物に認知されているので、オドロオドロしさが感じられない。そうした幽霊が家や土地に取り付く、いわゆる地縛霊となって登場人物を驚かす(あるいは呪い殺す)と言うのもパターン化されている。洋の東西を問わず、こうした考え方は共通なのだと思った。怪談と言うより、因果譚である。

その中で、編者シンシアの「追われる女」は小泉八雲を思わせる、定番とも言える怪談のスタイルだが、作品の構成力で一気に読ませる。そして、世評の高いシャーロット「黄色い壁紙」は、繊細なヒロインの心理の細かい変化で展開を繋ぎ、徐々に恐怖感を盛り上げて、えげつないラストに持っていく秀逸な作品。

書かれた時代が古いと言う事もあって、作品も古めかしさを感じるが、それだけに味わいのある怪談を描ける素地があった筈だ。もう少し、捻りや切れ味のある作品が欲しかったと思う。
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4488507026
No.5:
(2pt)

シンシア・アスキスはこの分野の名編者として有名らしいんですが・・・

冒頭「追われる女」は力の抜けるような駄作。アスキスの名前は他のアンソロジーでよく見かけただけに残念。編むだけにして、自分では書かない方が良いのでは?

ここでの拾い物は、前評判通り、ギルマンの「黄色い壁紙」に尽きる。
大体において、一人称のミステリアスな短編というのは、主人公の狂気がだんだんと判明してくるという文法がほとんどで、これも手法的にはそのパターンなんだけれど、その女主人公の様態が、○子というか・・・リー○ンというか。
あまりにも有名な和製ホラーのイコン、あるいは同じくハリウッドの悪魔憑き映画のヒロインを彷彿とさせる。(長髪、正気を失ってあり得ない姿勢で・・・と言えば。連鎖的に、例のスパイダーウォークを想い出しました)
今なら小池真理子とか、いくらでも書ける人はいるんだろうけど、この作品が大昔に書かれたというのがやっぱりすごい。ごく普通の、どこにでもいるような主婦が、ただ「気が触れる」だけで世にも恐ろしい怪物になり得るという可能性を見事に突きつけてくれたわけである。シャーリー・ジャクスンの「くじ」もそうだけど、不条理オチそのものに馴染みが薄い当時の人々にはそりゃインパクト大だろう。
蛇足ですがこの作品、現代では専ら歴史的なフェミニズム論のテキストとして使われるらしい。ホラーファン的には実にもったいない使い方だと言いたいが。

他の作品は正直読むのがたるかった。幽霊屋敷騒動を描いた「空地」は、ブラックユーモアが効いていてそこそこ読めたけれど、お金を出して買うほどの価値はないなーというのが総論。
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4488013139
No.4:
(5pt)

楽しめるが、怖いわけでは無い。

既に、クリスマス休暇であり、通貨に主軸を移して
仕舞ったので、日経先物の頃よりも早く、年末年始の
休暇に入っている。休暇の過ごし方自体は例年通りだが・・・。

さて、女性作家たちによる恐怖小説集の本書について。

此れは、決して「性差別」的な意図での発言ではないのだが、
どうも、「女性の怖がり方」と言うのは「女性特有」の
ものの様に、男の私には感じられる。
・・例えば、テーマパークの「ホーンテッドハウス」での
デート等が、最も判り易い例だと思うが、女の子たちは
自ら、率先して「怖がろう、怖がろう」としている。
丸で、彼女たち自身の「先入観」で怖がろうとして
いるかの様である。・・

本書収録作品も同様で、「積極的に怖がろう」として
読まなければ、怖くは無かろう。尤も、怖くは無くとも
怪奇短編小説として、楽しめるし、面白いのだが。

本書収録作の中での「目玉商品」の様な位置づけの
『黄色い壁紙』にしても、「読み方」次第では
「精神衛生養生訓」の様にも読める。
詰まり、メンタル・ヘルスの点では以下の2点が肝要と判る。

1.睡眠を良くとる。
2.プライヴァシーを確保する。

21世紀現在では日本でも「睡眠障害」は特別な問題ではない。
精神科でなくとも、内科・心療内科で催眠剤・睡眠導入剤を処方してくれる。
2については、ヴァージニア・ウルフが「19世紀以前に、女性が
一人きりでものを書ける『スペース・空間』が確保出来ていれば・・・」と
言っていた、豪く大時代な問題。家族の「過干渉」にそれほどまでに悩んでいる
日本人女性が、2008年末現在にどの程度いるのだろう。
明治時代の閉塞的な寒村じゃあるまいし・・・。

少し、話が逸れるが『ねじの回転』の様なジェイムズの作品も
あの時代のイギリスと言う時代状況・社会環境だから、「文学的意義」が
あったのだろう。今、読んでみると「家庭教師のヒロインが、外部的環境や
人間関係に悩みまくってノイローゼになっただけの話」とも読める。
・・「ヴォイジャー」では、キャサリン・ジェインウエイ艦長が
ホロプログラムの「趣味の世界」として気分転換的に楽しんでいた。・・

話を、本書に戻すが、『蛇岩』等は、岸田今日子の朗読で
ラジオ番組にしても、30年前なら兎も角、現在では大して
聴取率が取れそうも無い。今日的状況では、そんな風である。

夢もロマンも、身も蓋もないレヴューになってしまったが
「本気・マジ」になって読むと本当にメンタルの点で
一寸した「クライシス」を体験する可能性あり。

補足
『空地』は不動産投資を遣っている方や、これから
始めようとする方、また、マンション・一戸建てを問わず
マイホーム購入を考えている方は、若しかすると
怖いかも・・・。
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No.3:
(4pt)

彼女たちはとても早く這う。

19世紀半ばから20世紀半ば頃に書かれた12の短篇。
特に、ギルマンの 『黄色い壁紙』 に満ちた 「嫌な感じ」 は凄い。ぞわぞわと怖い。

 彼女たちはとても早く這う。

少し古い時代の怪奇小説には好みのものが多い。
想像の余地を残しているものがいい。
淑やかな悪夢 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:淑やかな悪夢 (創元推理文庫)より
4488507026
No.2:
(4pt)

なかなか楽しめました

英米の女流作家たちの怪談集

読後の印象がそれぞれに深く、楽しめる怪談集。

「黄色い壁紙」

 最初に読んだ時、意味が分からずもう1度読み返してようやく意味を知り、いや〜な気持ちにさせられた作品。語り手の内的変化を表す描写がない分、情け容赦がない。このねじれに最初に読んだ時、気付いてなかった。

「名誉の幽霊」

 ユーモラスな筆致でありながら、最後にドキッとさせられる。落ちは誰もが気付くようなものだが、それまでがユーモラスであった分、効果は倍増。

「蛇岩」

 絵画的な描写で幻想の世界の話を読んでいるような気にさせられた。描写が頭の中で映像化され、それでいながら幻想的な靄がかかる。静かな余韻に浸れた逸品。

 その他、計12編を収めた短編集です。
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No.1:
(5pt)

シャーロット・バーキンズ・ギルマンの「黄色い壁紙」は必読!!

当代を代表する名アンソロジストにして稀代の怪談翻訳家・西崎憲をして、本書の目玉と言わしめたニューロティック・ホラーの傑作「黄色い壁紙」を読むだけでも、本書は一読の価値がある。静かな文体ながら、頻繁に改行を繰り返す文章が続く内に、読者は語り手の歪んだ脳内へと迷い込み、計算し尽くされたようにも思えるラストの一文に至り、もはや引きずり込まれた迷宮に出口がない事を悟るだろう。
 その他の収録作品も、オーソドックスながら質の高い怪談作品ばかり。キャサリン・マンスフィールドの「郊外の妖精物語」が哀切で良かった。
淑やかな悪夢―英米女流怪談集Amazon書評・レビュー:淑やかな悪夢―英米女流怪談集より
4488013139

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