狼の帝国
- エンパイア・オブ・ザ・ウルフ (1)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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フランスを代表する人気作家になったグランジェの長編第4作。ジャン・レノが主演した映画「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」の原作である。 | ||||
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映画になった「クリムゾンリバー」の作者の4作目。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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アンナはパリに住む高級官僚の妻。普段は運転手付の車で移動し、気晴らしのためにチョコレートショップで働いているような優雅な生活。そんな彼女に、記憶が飛ぶという奇妙な症状が現れる。時々、夫の顔が思い出せず、まわりの風景がゆがんで見えたりする。夫の友人である著名な医師に治療を受けるのだが、脳に問題があるようなので頭に穴を開けて組織の一部を調べる検査をした方がいいと言われて不信感を抱く。 一方、トルコ移民が多く住む地区では、密入国で働いていたトルコ女性が顔を切り刻まれ、惨殺される連続殺人事件が起きていた。正義感の強い刑事ポールは調査に行き詰まり、トルコ人街に詳しい引退した刑事シフェールに助けを借りようとしていた・・・。 先にジャン・レノが登場する映画化された作品を見ていて、その後、これが映画「クリムゾン・リバー」と同じ原作者であることを知って本も手に取ってみました。スケールの大きな国際謀略物になっていて、大変読み応えがありました。 最初、パリのエリート階級の優雅な生活が出てきて、それから対極とも言えるどん底の密入国者の世界が描かれ、これがどういうふうに繋がっていくのかまったくわかりませんでした。実際、真相らしきものがわかってくるのは中盤あたりになってからです。猟奇殺人の話かな・・と漠然と思いながら読んでいたら、物語はとんでもない奥行きと広がりを見せていきます。ネタばれになるといけないので、あまり書けませんが・・。 パリのイメージから想像できない移民の悲惨な状況が描かれていて、一般国民が平穏に暮らしている生活の裏というか下には、貧困から移民したり密入国してきた人々の厳しい生活が隠されているのだとわかります。不利な立場に置かれ、搾取され、それでも本国の希望が持てない生活よりはマシだとやってくる人々。たとえ成功したとしても、差別やコンプレックスからくる屈折した思いは避けることができない、生まれた国によってこれだけ人生が違ってしまうのは不公平で理不尽なことです。 後半はいきなりスケールが大きい話になるのでとまどうかもしれません。また、主要登場人物が次々と無慈悲にあっさり殺されてしまうので、「えっ、そんなのありか?」という気持ちになりますが、そういう意味では作者は、「ああ、おもしろかった」で終わるエンタメよりも、いかにも国際社会の裏で起きているかもしれないノン・フィクションのような話を書きたかったのかもしれません。 話が広がりすぎたためか、所々にご都合主義があるのと、ひとつ問題が解決されず、最後に「それもいいかもしれない」というような一言ですまされていて、これが納得いかなかったので星ひとつ減らしましたが、大変おもしろい小説であることに変わりないと思います。国際謀略ものが好きな方にはおすすめです。 | ||||
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映画「クリムゾン・リバー」を観ておもしろかったのと、 本書のキャッチコピーをみて読んでみました。 どう考えても関係のない2つのイベントが、物語が進むうちに 交錯して真実が明るみに・・というのは、よくあるお話ですが、 この狼の帝国では、予想より、複雑で緻密、壮大な物語へと 突き進み、読者を飽きさせません。 医学や化学、先端医療、さらに、政治、民族、地政学的な 博識を盛りだくさんに織り交ぜながら、実際に起こった事件と からませて、重厚な物語を進めていきます。 フィクションくささを残しつつ、実際にこういうこともあり得る ような気を読者にもたせると同時に、ビジュアル面を強調した 筆致で、映画をみているような感じで、ぐいぐいとラストまで。 ラストはどんでん返し、といえなくもない結末。 映画をぜひ観てみたいと思いますが(特にジャン・レノ)、 この分量と盛り込まれた インテリジェンスの質量を映画にするのは、相当な力量が必要 なのではないか、と思いますけど。 | ||||
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映画「クリムゾン・リバー」を観ておもしろかったのと、 本書のキャッチコピーをみて読んでみました。 どう考えても関係のない2つのイベントが、物語が進むうちに 交錯して真実が明るみに・・というのは、よくあるお話ですが、 この狼の帝国では、予想より、複雑で緻密、壮大な物語へと 突き進み、読者を飽きさせません。 医学や化学、先端医療、さらに、政治、民族、地政学的な 博識を盛りだくさんに織り交ぜながら、実際に起こった事件と からませて、重厚な物語を進めていきます。 フィクションくささを残しつつ、実際にこういうこともあり得る ような気を読者にもたせると同時に、ビジュアル面を強調した 筆致で、映画をみているような感じで、ぐいぐいとラストまで。 ラストはどんでん返し、といえなくもない結末。 映画をぜひ観てみたいと思いますが(特にジャン・レノ)、 この分量と盛り込まれた インテリジェンスの質量を映画にするのは、相当な力量が必要 なのではないか、と思いますけど。 | ||||
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昨年公開された「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」の原作です。ジャン=クリストフ・グランジェにとっては、「クリムゾン・リバー」に次いで二作目の映画化作品になります。 この作品も、三人の女性の連続殺人事件と、記憶喪失の女性の二つの物語が、やがて一つの物語に集約してゆく形態を取ります。 この小説の面白さは、この主人公の女性に施された記憶消失手術と、その過去の生活を見つけるための科学技術、もう一つはとてつもない整形技術と言った最先端の技術が謎解きの大きな要素になっているところでしょう。映画は、序盤とラストの繋がりが十分ではないのですが、原作の方はしっかりしています。そのあたりは、ラストを劇的なものにしようとした映画に問題があったのではと思います。 ジャン=クリストフ・グランジェの作品は、三本目の映画化が進んでいて、タイトルは「石の公会議」です。主役はモニカ・ベルッチで、カトリーヌ・ドヌーヴが共演しています。フランスでの公開は今年とのことですが、日本ではいつ公開ということになるのでしょうか。 | ||||
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昨年公開された「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」の原作です。ジャン=クリストフ・グランジェにとっては、「クリムゾン・リバー」に次いで二作目の映画化作品になります。 この作品も、三人の女性の連続殺人事件と、記憶喪失の女性の二つの物語が、やがて一つの物語に集約してゆく形態を取ります。 この小説の面白さは、この主人公の女性に施された記憶消失手術と、その過去の生活を見つけるための科学技術、もう一つはとてつもない整形技術と言った最先端の技術が謎解きの大きな要素になっているところでしょう。 映画は、序盤とラストの繋がりが十分ではないのですが、原作の方はしっかりしています。そのあたりは、ラストを劇的なものにしようとした映画に問題があったのではと思います。 ジャン=クリストフ・グランジェの作品は、三本目の映画化が進んでいて、タイトルは「石の公会議」です。主役はモニカ・ベルッチで、カトリーヌ・ドヌーヴが共演しています。フランスでの公開は今年とのことですが、日本ではいつ公開ということになるのでしょうか。 | ||||
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