サヴァナの王国
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CWA(英国推理作家協会)ゴールド・ダガー(最優秀長篇賞)受賞という広告だけ見て注文してしまった。 どういう作家なのか、どういう内容のミステリーなのか、帯とカバー裏の宣伝以外は一切知らない状態で読み始めた。 なかなか難しい小説で、一気読みからはほど遠く、読了まで12日間要してしまった。その間ほかのミステリーは読めなかったので、やっかいな本ではある。 まずプロローグで事件が起こるのだが、一回読んだだけでは、何が起きたのかがよくわからない。読み返すと、舞台はジョージア州サヴァナで、ストーニー、本名マティルダという女性嘱託考古学者(?)が、(実質的に)拉致され、止めに入ったルークという男が殺される事件で、ストーニーの誘拐には、[王国]の秘密が関係しているらしい。 第二章以後は、この事件の複雑な真相、歴史的現代的背景、ストーニーの行方の解明に移っていくが、物語はスムーズには進まない。 面白くない本ではない。読み終わってみると、たいへんユニークで、楽しい小説であったと思う。ただ、読んでいる途中は、その時々の状況を理解するのに、なかなかの労力を要し、先が見えてこない・・。 読んでから解説を読むと、巧みに本書にストーリーがまとめられ、賞賛に満ちている。作家についても丁寧に解説され、サヴァナの歴史にも触れられていて、有用な解説である。ちょっと興味深いのは、作者はアメリカの作家であるのに、本書はエドガー賞の候補にもなっていないこと。 解説の賞賛を読んでもスッキリしない感が残ったので、原書のアマゾンレビューを読んでみた。賞賛・絶賛のレビューが多いが、ポツリポツリと低評価レビューもある。これらの低評価レビューで指摘されている点が面白かった。 登場人物 登場人物が漫画的。登場人物がやりすぎ(動きが激しい?複雑?)。登場人物が多すぎるので、何度も戻って確認しなければならない・・。 物語 物語がバラバラ。信じがたいプロット。物語のギザギザのターンが多すぎる・・。 私的感想 ○上述のように、終わってみると、ユニークで面白い小説であった。アメリカではエドガー賞の候補にもならなかったのに、イギリスではゴールド・ダガーを受賞したというのもなんとなくわかる。本書の重要登場人物で探偵役の一人である黒人女性ジャクは、アメリカ独立戦争で、英国王の忠実な兵士として戦った、自由なる黒人兵士の末裔である。 ○登場人物は、原書低評価レビュー指摘の通り、やや漫画的で、いろいろやりすぎ傾向はあり、登場人物も多いとは思う。しかし、(漫画的に?)しっかり描き分けられていると思う。 ○本文庫本の問題としては、登場人物リストがかなり粗っぽく作られていて、読者の役に立ちにくいことである。主要登場人物以外は載っていないし、主要登場人物であっても載っていない人物がいる(たとえばメイドのベティ)。 ○物語も、原書低評価レビューの通り、バラバラでまとまっていない傾向(作者本人が謝辞で、「キメラめいた奇妙な作品」としている)はある。信じがたい展開もなくはない。ギザギザのターン(?)が多すぎると言われると、そうかもしれない。しかし、バラバラの部分もきちんと書かれているし、後半はまとまってくる。または、信じがたい展開もギザギザのターン(?)もストーリーを引っ張っていく上では貢献している。 ○女性の登場人物たちが冴えている。探偵役で自転車を乗り回す若きジャク、一家の長のモルガン、従順で優しい白人メイド(?)のベティ、モルガンの娘でジャクの育て親で救急看護師のビービー、ジャクの実母で学校長のロクサーヌ、ビービーの姉で裁判官のウィルー、そして拉致される女性嘱託考古学者(?)ストーニー。 ○肝心のボスのモルガンの活躍場面がないまま進行していくが、最後にはちゃんと・・それで、心地よい素敵なラストを迎えることになる。 ○独立戦争後の黒人の歴史と〈王国〉の伝承のメッセージ性については、日本人の私には理解不十分な部分だが、高評価レビューでは高く評価されているように感じた。 | ||||
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