虚史のリズム
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なにしろA5判1100ページである。読み終えるまでに20日間も掛かってしまった。 奥泉らしいと言えば、奥泉らしい作品である。 山形県の田舎で、終戦後に元中将夫妻が殺される。 誰が殺したのか、目的な何か? というところから話は転がっていくのだが、この殺人事件そのものは、何度も登場する割には決定的に大きな役割を持っているわけではない。 その金庫から「K文書」なるものが持ち去られたらしいのだが、このK文書には日本の未来が記述されているらしい。 なぜ未来が記述されているのかと言えば、それは多元宇宙と往還できた人物が、その見聞を記述したものだからだ。 そして、俄か探偵となるおっちょこちょいが舞台回しを演じる。 元中将の末弟、その甥である元士官の妖艶な妻、アマゾネス社会の実現を目指す女、多元宇宙論と宗教「皇祖神霊教」との融合を追求する陸海軍の超天才たち、そして暗黒街とGHQの高官たちが登場して目まぐるしい。 しかも、この物語には幾重にもなった二重性が組み込まれている。 あちらの世界である「第一の書物」とこちらの世界である「第二の書物」、戦争末期のフィリッピン・ネグロス島での死の行軍と戦後の世界、人間の世界と鼠化した人間の世界等々である。 さらに、本書には文字の意味情報だけでなく、視覚的なリズム情報までもが埋め込まれている(写真)ので、もう読むのが大変なのである。 それでも、例によって不思議な読後感が得られるのが奥泉作品の不思議なところである。 終盤部分で本書が10年以上前に読んだ『神器 軍艦「橿原」殺人事件』(これのレビューはコメント欄に)の続編のような位置にあることに気づく。 どうやら、20年以上前に読んだ『グランドミステリー』にもつながっているらしいが、そっちの方は内容を忘れてしまっているので、何とも言えない。 先年読んだ『雪の階』にもつながるという情報も出ていたが・・・。 これらをもう一度読み直してみるか思案中である。 もう一つ付け足せば、どうやら本書はこれで完結ではなく、今後さらに他の作品へとつながっていきそうなのである。 嗚呼w | ||||
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探偵パート主人公は、”神器”主要登場人物でもあり、軍人パートでは、”グランドミステリー”登場人物が複数名出てくるので、内容はそれらを当然踏まえている。tasteとしては探偵パートはユーモアがあり、やや”クワコー”的であり、そこが良かった。軍人パートは、少々イデオロギーや天皇論がうるさいし、著者が大好きなネズミ人間、ロンギヌス物質、多元宇宙などが出てくる、それは良いが、とにかく長いので既視感が転じて、ややげんなりしてきたのも事実である。澄江さんという人物造形は、この著者の作品ではおなじみのキャラで(例えば、新・地底旅行のサト)、いわゆる天然かつ東北弁を話すうら若き女性であって、大変に魅力的。一方、謎の美女、倫子さんは話が進むにつれ単なる好色女性にしか見えて来ず、その内面をもう少し描写してあげなければ可哀想だなあ、と感じた。小説内エピソードとして、ピアノの嗜みがある澄江さんが、GHQ内のレストランでピアノの生演奏を突然頼まれて快諾してしまうのだが、20分の持ち時間をどう構成するか悩んで、苦し紛れに女学校の校歌をメニューに入れたら、レストランのマネージャーが気に入って、仕事の終わった後、個人的にリクエストした、というのがある。大筋には何ら関係ないこの種の細部に著者の才能が現われるから、この長大な小説を面白く読み進められるので、ぜひこのようなところが好きな愛読者もいると著者には知っていただきたい。なお、今作では、いろいろの人物が節目節目でお手洗いに行くだの、小用を足しただのの描写が頻発しているが、まあ実生活では当然の生理現象であるがわざわざ律儀に書いてある小説は珍しい、著者も年齢を重ね男性特有の老化現象をきたし、それが意識的にか無意識的にか影響しているのであろう。また、dadadaというのは、ダダイズムを踏まえてのことだろうがそうすると死者のリズムなるものも相対化されてしまうし、多元宇宙なるものが記憶の改ざんによるという志津子さんのいうセリフもそれと呼応するのではないだろうか?最初と最後に光る猫への言及が少し出てくるのは、愛読者サービスか?初見の読者には何だかわからなくて、気がつかないだろうくらいのもの。 | ||||
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1090ページもある分厚い本だけど、内容ぎっしりめっちゃ面白かった。 | ||||
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最高オブ最高です。奥泉光節ここに極まれり。オススメです! | ||||
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読了するのにかなりの忍耐力が要ります。SF、ミステリー、ファンタジー、観念小説、どれをとってみても物足りなく未消化。もともと目指してるものが違うのでしょうが、やっぱりこうした読み物は面白くなくちゃね。 | ||||
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