ノヴァーリスの引用/滝
- アンチ・ミステリー (13)
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担当教授の葬儀で数年ぶりに出会った同窓生たち。彼らは経済史の文献を読む研究会に参加し、まじめな討論もはめをはずしたバカ騒ぎも共に分かち合った仲間だった。葬儀の後に飲もうということになりしばし思い出話に花を咲かせるが、その後「石塚は自殺ではなく、殺害されたのではあるまいか」と、当時図書館の屋上から転落死した同窓生の死因について、謎解き遊びのような討論が始まった・・・という出だしです。 結論から言うと、何が言いたかったのかいまひとつよくわかりませんでした。奥泉氏の小説は「グランド・ミステリー」と「雪の階」が読み終わりたくないくらいその世界に入り込んでしまったのに対して、「”吾輩は猫である”殺人事件」は途中で退屈になって放り出し、「石の来歴」「神器 軍艦”橿原”殺人事件」はその迫力にあてられて読後茫然としてしまったもののやはり理解できず・・という今までの読書歴です。 まず雰囲気がものすごく好きなので読み続けているのですが、何が心に響いて何が響かないかは自分でもよくわかっていません。 石塚が死んだ当夜に主人公が時間を遡って居合わせるあたりまでは、いわゆるまっとうなミステリに見え引き込まれました。が、実際には時を遡れるはずはないので、この時点で”ああ、「石の来歴」と同じパターンだな”と。他のレビューアさんも書いていらっしゃいましたが「また話をずらして終わるのか」という感、確かにありです。 そういえばどの作品も、時が前後し、過去が現在に繋がり・・という話が多いですよね。著者はこうして時と人間と生死を描くことで何を訴えたいのか、そのあたりがいまひとつよくわかりません。 結局、主人公は酔っぱらって夢を見ていたのか?それは主人公が心の奥底に抱えていた罪悪感が元になっているのだろうか。 それとも迫真に満ちたその夢に、石塚の死のなんらかの真実があるのか?結局、実際に何が起きたのかは曖昧なままで終わります。そして最後の海泡石のパイプの意味は?どなたか理解力のない私にネタばれしてくださいませんか。 | ||||
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商売っ気のないタイトルで、中身も哲学的。ミステリの体裁はとっているけど、結局謎は謎のまま解かれることはない。学生時代に議論を戦わせた仲間が、教授の葬式で中年になって再開し、昔の仲間の不審死について再び議論するのだけれど、文学好きのミステリーサークルみたいだと思った。わかったかどうか不明の固い哲学的議論が続くので、少し読んでみて難し過ぎると思ったら避けた方が賢明。個人的には嫌いではないけれど。 本書のクライマックスで、事故の現場に酒を持ち込んで集まった時、酔っぱらった主人公が幻想を見るシーンが生々しくて素晴らしかった。特に気分が悪くなって嘔吐し、フラフラになりながら上階の仲間のもとへ酒を運ぼうとする主人公の醜態が目に見えるように、同様の経験が豊富な私には感じられた。きっと作者の実体験が生きてるんだろうと思うが、どうか。 普通のミステリではなくミステリ寄りの純文学で、固い哲学書を読むのが面白いような変人に向くと思う。と、そうゆう変人が締め括ってレビューを終わりたい。 | ||||
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奥泉ファンなので、未読の作品が文庫化されたので読んでみた。2編とも中編と言ったボリュームである。”ノヴァーリスの引用”は、この著者の作品に親しんでいる者なら、ある意味で予想された内容であるが、それでも不可思議な雰囲気と失われた青春時代への郷愁を漂わせた水準作と見た。”滝”は真の意味で傑作である(内容説明に傑作とあるが、本当である)。端正な文体で綴られたある少年たちに課せられたイニシエーションの儀式。一種の山岳でのオリエンテーリングであるが、読み進むに連れ、異様な雰囲気を醸し出し、結末へと至る。実にスリリングな内容で、凡百のエンタテインメント作品を遥かに凌駕する。 | ||||
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お蔭様でタイミング良く読むことが出来ました。 ご縁があれば、また、宜しくお願い申し上げます。 本当にありがとうございます。 | ||||
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誰もが『虚無への供物』や『匣の中の失楽』を想起するであろうアンチ・ミステリ「ノヴァーリスの引用」はまるで戦後の思想史を総括するような知的興奮と、推理と討論の応酬の果てに知らず知らずのうち曖昧模糊とした境地に読者を連れ去る幻想が交錯する。 『蠅の王』や三島由紀夫の作品を思わせる設定の「滝」は少年たちのイニシエーションの道程に仕組まれた陰謀、その果ての異常心理が生み出す息詰まるサスペンスとやがて迎える宿命的結末が恐怖をもたらす。 両作とも長編並みのヴォリュームに感じる濃密な内容であり、巧みな物語の興趣と鋭利な思索性が相反することなく織り込まれた傑作。 | ||||
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