石の来歴
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石の来歴の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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ちょうどおやじがすい臓癌の疑いと聞いたときに、たまたま手に取ったのがこの本。その時に読んだのが、一話目の「三つ目の鯰」。あまりにもタイムリーでのめりこんでしまった。音楽もそうだが本もその時の気分が大いに左右される。はまればはまる。 | ||||
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この作家は名前だけは知っているが作品は読んだことがない一人だったが、先日読んだ加藤陽子さんとの歴史対談本が非常に面白かったので、そこで加藤さんが激賞していたこれを読んでみた。1994年の芥川賞受賞作。 あの大戦のフィリピン・レイテ戦線での壮絶な帝国陸軍の様相を、ある上等兵が語る「岩石の歴史と永遠性」をモチーフに戦後社会に生きる復員兵と繋ぎ、ある種怪談じみた装いの物語に仕立てた手腕は流石!と言うしかない。それにしてもこの文体!三島由紀夫のような「華麗な人工美の極致」とは違うが、どこか中島敦を思わせるようで中島の漢文調より柔らかな文章の流れが、実にいい。一語一語をじっくり味わいながら読みたくなる~そんな文章である。そして、68年からの学生運動のうねりを「戦中派」に対抗する存在として浮き立たせたところなど、ちょっと大江健三郎「万延元年のフットボール」を想起させる。 しかし、東南アジア戦線では実際の戦闘で死亡するより病死・餓死などのほうが多かった事実、そして行軍に付いていけなくなった「見込み無き兵士」の陸軍内殺害。そうした「内情」が淡々と綴られるこの作品が「第一級の戦争文学」であることは間違いない。こういう作家のことを今まで知らなかったとは!これからぼちぼち他の作品も読んでみる。 | ||||
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「石の来歴」は既読だが、それを発展させたのが「浪漫的な行軍の記録」らしい。「浪漫的な~」の感想を書く。 敗戦の色濃く、生存の望みもわずかな極限状況の中で、日本軍兵士達が、理不尽な行軍を延々と続ける狂気を描いたものと読んだ。正常な意識も判断力も失われた中で、彼らを動かすものは、狂気しかない。私には推測しか出来ないが、実際に敗戦の迫った日本軍兵士達が、狂気に突き動かされて、理解不能な行動を取った事もあったんだろうな、と思わせる迫真の内容。 奥泉光さんが、作家として想像力を働かせ、戦場と言う極限状況の狂気を描いた力作と評価したい。 | ||||
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1985年「地の鳥 天の魚群」でデビュー後、1992年に第108回芥川賞候補(受賞はせず)になった「三つ目の鯰」と、第110回芥川賞受賞作「石の来歴」の2作が収録されています。 「石の来歴」は氏の作品によくある過去、現在の時制や場所が混沌として入り混じる複雑な構成になっています。また、これもよく取り上げられる太平洋戦争と軍隊も出てきます。鉱物というものの成り立ちを人を含めた生物の輪廻転生に見立てて、石が作品の重要なモチーフとなっています。 ただ、奥泉光氏作品を読むのはこれで6作ですが、いまだに自分には難解で、作品群を通して訴えている共通のものがあるのか、いまひとつよくわかりません。 ストーリーは、「悲惨なレイテ島の戦場からなんとか生きて戻れた主人公が、父親がやっていた本屋業を継いで秩父に開店、結婚して息子2人を授かりやっと安定した生活を手に入れた。秩父の山で鉱石にはまり学者レベルまで至り名もそこそこ知れるようになるが、ある日息子が山中へ石を取りに行き何者かに殺害されてしまう。 犯人はとうとうつかまらないままに妻はおかしくなり、次男を連れて離婚。何十年もたったある日、ぶらっと現れた次男は過激派になり警察に追われていた・・」という話です。 過去が現在と繋がり、最後はまた過去に戻るという他の作品にもみられる循環ですが、これは何を意味しているのか正直よくわからず、作品全体としては暗く救いのない話で読後はそれなりに落ち込みました(苦笑)。文章や構成の完成度は高いと思います。 一転して「三つ目の鯰」はどこか飄々とした温かみのある話です。著者にしてはまっとうな?わかりやすい一般小説という感じです。芥川賞の選評を読んでみると「石の来歴」を絶賛している人もいれば、「先の”三つ目の鯰”の方がよかった」という委員もいて、実は自分もそちらの方でした。 しかし「思考や知識を生で出すまいと努力していることがよくわかった」と言う人もいて、奥泉氏の本来の作風を抑えて一般向けにわかりやすいように書かれたのかもしれません。 舞台は著者ご自身の故郷である山形県庄内平野と思われる水田に囲まれた集落です。 東京に住む主人公が、亡くなった父の遺骨を先祖代々の墓に収めるところから始まります。彼が父のことや子供の頃の田舎での思い出を振り返る部分が、自分が幼い頃父の田舎に帰省した時とあまりにもそっくりで、山や小川や光と風といったものがまざまざとよみがえりました。 墓というもの、宗教感情というほど強いものではないが何かしら漠然とある敬虔な気持ち、先祖を弔うということ、血の繋がりとは何か。当たり前のように仏教で仏事を行う親族とキリスト教の牧師になった叔父、そしてもしかしたらキリスト教の信仰を持っていたかもしれない父親の生前の姿が交差して、主人公は様々なことを考えさせられます。 ”テレビも見ず文盲で江戸時代の農民とはかくあったに違いない”と思わせる親戚の古老が、ユーモラスでいい味を出してます。 こちらの作品は読んだ後とてもあたたかい気持ちになりました。どちらも奥泉氏の原点を感じさせる作品です。 | ||||
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通読に何の支障もなく、この価格での提供に感謝! | ||||
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独特の文体が心地よいです。 | ||||
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