二人の嘘
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二人の嘘の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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自分が裁いた蛭間の真実に執着する気持ちはわかりますが、好きになってしまうのが急展開すぎて。 | ||||
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ラストが予想外だったし、金沢の風景描写が美しく感じたので☆3にしたけれど、それらがなければ読むために費やした時間を返してほしいと思うレベルだった。ちょっと頭の良い大学生が書いたような文章。 主人公2人の内面にもっと肉薄してほしかったなあ。 高尚な失楽園のようなお話です。 | ||||
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一人の女性の再生を描く物語として、巻を措く能わずという興味を覚えた作品でした。一方で、あまりにも類型的なダメ人間たちの描写にはいささかウンザリもしました。性犯罪者たち、元検察官の糞姑、マザコン俗物無能弁護士、偽善に溢れた新聞記者の親友もどき、人間の醜悪さを高純度で煮詰めたような政治家と先輩判事…これらの人物造形はあまりにも類型的かつ露悪的に過ぎ、ヒトとしての善なる部分がまったくと言ってよいほど描写されません。私は、人間はもっと二律背反と矛盾を抱えた複雑な存在であり、それを破綻なく描くのが優れた小説家だと思います。 東大法学部歴代1,2位の優秀な頭脳や、具体性を伴わない「美しい」という形容詞が多用される外観、裁判員裁判制度の陥穽、風光明媚な金沢の描写など、(ドラマ化するにあたっては視聴者の興味をひくものの)文芸作品としての品性が疑われるほど不必要な道具立ては、あまりにもあざとい演出でした。 ただ、感情の動きをある種の必然性を以て痛切に響かせるストーリーは、確かに目を見張るものがありました。 リーガルサスペンスとしては水準以上でしょう。…つい最近読んだ「小麦の法廷」(傑作です)と比べてしまうのですが。 | ||||
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ひとつの裁判に隠された真相。 その真相にたどり着いた時にまた不幸が。せつなく悲しい物語。しかし、前半は若く美しく優秀な裁判官、片陵礼子の非の打ち所のない仕事ぶりが綴られる。それはまるで テレビドラマ『ドクター X 』の「 私、失敗しないので」と言った大門未知子のようだ。 作者は裁判所や裁判官の仕事に精通しているのか 、とても詳しい。主人公礼子の仕事ぶりを知るにつけ、いかに 日本の裁判官が激務であるかを思い知る。 公判(裁判)が終わる前にすでに被告人の判決は決まっていなければならないので、仕事が終わっても、帰宅しても、何十件もの事件の判決文を作成する、ということに驚いた。本書を読むと日本の裁判の現状がわかる。さらに 主人公 礼子は 朝6時に出勤する時も、夫の朝食を作り、義母に食事を届ける。睡眠時間 3時間。感情や心を排除し「裁判官 独立の原則」を徹底し、人と交わらない礼子。 そんな 礼子に転機が訪れる。自分が裁いた一人の元服役囚が現れてから。そこから一気に礼子の感情が動き出していくところが ドラマティックに描かれる。まるで映画を見ているように はっきりと 映像化できる 描写 だ。悲しみに向かってひた走る。ネタバレになるので 内容は書かないが キーワードは『手』なのではないか。タイトルは「嘘」となっているが重要なのは『手』である。そのことを心に留めて 読み進めていただけたらと思う。 | ||||
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不完全で荒削りだが、心打たれる傑作だった。内容に関しては他の方もコメントしているので、控えたい。 刮目したのは作者のレトリックと計算だ。序盤で夫が礼子に呟く同士という言葉。正確には同志だと思うが、敢えて「士」を使うことで二人が打算で結婚した俗物的な似た者同士だと匂わせる。礼子と蛭間の持つ聖性を毀損するのを恐れてか(二人を神話や聖書のキャラになぞらえたようなシーンも散見する)、「美しい」以外の形容を徹底的に排除した身体描写もそう。批判は承知の上で読者がイメージを膨らませることを期待している。破局を予感させるサブタイトルのつけ方も心憎い。幸福な結末を願う読者の心をサスペンドしてくれる。 掌の上で踊らされたというべきか。最終章の明らかな説明不足もしかり。書こうと思えば書けたであろう。ただこれ以上礼子の置かれた苦境を事細かに描いてみせても、読者には暗澹たる想いが残るばかり。それは作者の本意ではあるまい。だからこそ筆を置いて審判を仰いだのだ。証拠(証言)は残しました、後は皆さんで自由に想像してください、裁いてください、と。 サモトラケのニケにしろミロのビーナスにしろ、不完全で未完成な美というものは存在する。敢えてそれを読者に提示した作者の自信と覚悟が伺える。惜しむらくは普遍性の欠如か。読み手の年齢・性別・境遇・感性・アプローチによってこの作品の評価は分かれると思う。 安易で不純な手段を用いて貧しい境遇から脱した後ろ暗さからか、伯母の人生から歓びを奪ったという罪悪感からか、夫に仕え「家」に囚われ、碌な睡眠も取らず窓のない部屋でひたすら判決文を書きまくるという、鬼気迫る自らを罰するような生き方しかできない籠の鳥ー裁判官でありながらジェイルバードと化したヒロインが自由を求めて足掻く。 ミステリィとしても恋愛小説としても楽しめるが、北上氏の言うように一人の女性の抵抗を描いたビルドゥングスロマンとして捉えるのが適切だろう。私にとっては十年に一冊読めるか読めないかという、美しい小説だった。 | ||||
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あまりに辛い、寂しい。 真冬の金沢の情景が目に浮かぶような後半は もう結末が見えていたが、辛かった。 それでもヒロインが素直に純粋に、この次なんて未来なんてないのに、そんなこと本当は分かってるのにそれでもこの先を何とか手探りで手繰り寄せて、それに縋る気持ちで訪れた金沢で、彼女の人生で最初で最後の初恋は実り愛を得た。 その愛を得たことにより母親が本当は自分を愛し自分のために姿を消したことも理解出来た。母親の名前を思い出したところで堪らず涙が溢れました。 お互いがお互いを救済出来たんだと信じたいし、そうなれたんだと思います。 彼が送ってくれた九谷焼は何だったんだろう。 絶望しかないようで彼女の未来に残してくれた確かな愛の形が分からないまま静かに終幕するラストも秀逸。 冬の間に読んで欲しい哀しいラブストーリー。 | ||||
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