神の火



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初公開日(参考)1991年08月
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長編小説

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神の火〈上〉 (新潮文庫)

1995年03月29日 神の火〈上〉 (新潮文庫)

原発技術者だったかつて、極秘情報をソヴィエトに流していた島田。謀略の日々に訣別し、全てを捨て平穏な日々を選んだ彼は、己れをスパイに仕立てた男と再会した時から、幼馴染みの日野と共に、謎に包まれた原発襲撃プラン〈トロイ計画〉を巡る、苛烈な諜報戦に巻き込まれることになった…。国際政治の激流に翻弄される男達の熱いドラマ。全面改稿、加筆400枚による文庫化。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

神の火の総合評価:7.13/10点レビュー 55件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(5pt)

まあまあでした

まどろっこしい。

わたろう
0BCEGGR4
No.1:
(7pt)

説明は精緻、しかしプロットは二番煎じ?

読中、この人は一体何者?という思いが頭を覆っていた。
冒頭のプロローグでの原子力発電所の建築現場のシーンにおける建設専門用語の正確さから始まり、原子炉制御システムの専門的な説明はまだしも、科学専門雑誌・専門書の取次会社の業務や、潜入した大学で新しい原子炉のデータを抜き取る際のコンピュータ関係の専門用語、ウラン濃縮技術の話や操船技術、時限爆弾の作り方などそれらこの小説では余技である部分でさえ、微細に渡って描写し、説明するのにはひたすら脱帽。普通の作家なら、それらは省略するテクニックで上手く処理するのだが、この人にはそれがない。しかもそれらが全て専門家と同一レベルの知識なのだからものすごい。更に加えてこれらの知識を一切取材せず、専門書や自らの空想で描くというのだから、ほとんど天才である。
しかし、それらは裏返せば小説としての力の抜きどころがないわけで、読者もずっと力の入った読書を強いられる事になる。この辺が万人になかなか受け入れられにくいところではないかと思う。

さて、物語は三人称の文体を取りつつも、基本的に主人公島田浩二の視点で語られる。
島田はソ連側のスパイ、江口彰彦によって日本に連れてこられたロシア人と日本人とのハーフだった。日本では江口の知人、島田海運の社長、島田誠二郎の息子として育てられ、成長するにつれて江口の弟子としてスパイとして育てられつつも、原発の技術者としても知られるようになっていた。一時期疎遠になっていた二人を再び引き合わせたのは父誠二郎の葬儀の場だった。そこで島田は明らかにロシア人の顔つきをした高塚良と名乗る青年と幼馴染みの日野との再会を果たす。スパイを引退した島田はその日を境にCIA、KGB、北朝鮮、日本公安4つ巴の原発襲撃プラン「トロイ計画」の情報戦の渦中に引きずり込まれるのだった。

髙村氏は書きながらストーリーやプロットを考えるという。この小説はそういう作者の癖が如実に表れているように思った。詳細な日常な描写が続くし、各国スパイの島田への接触が断続的だし、次々と出てくる登場人物の使い方が使い捨てすぎるのが気になった。

特筆すべきはこの作家の脳みその構造の凄さである。まず専門家が素人の発言に驚かされるという描写。この小説では「世界の原子力発電所は戦争・破壊活動を想定して作られていない」、「原子炉の蓋を開けて見てみたい」という発想の斬新さを述べているが、こういう描写は専門家の頭を持っていないとまず思い浮かばない。この作家の経歴には商社勤務の経験しか書かれていず、技術者としての経験はないはずだが、何ゆえこのような発想が思いつくのか、想像を絶する。
それともう一つは隠遁中の江口が島田と行う暇つぶしの方法について。ホテルに篭ってマッサージをしてもらい、お酒をちびりちびりやりながら読書をする、このだらしなさこそが男の至福の寛ぎなのだとのたまうが正にその通り。
これを女性作家に述べられるともう敵わない。作者は男ではないかと疑うのも解る気がする。
あと原子炉の温度制御の数値入力において不適当な数値を入れたとしても1つ1つ綿密に潰していけばシステムは機能するという話はかつて問題になった建屋の構造計算書偽造問題を想起させ、興味深かった。

しかしこれほど緻密な説明や描写、血肉の通ったキャラクターを用意してもその内容はというと、首を傾げざるを得ない。結局原発襲撃は男二人の我侭による壮大な悪戯に過ぎないし、そのために犠牲になった各機関や人生を破滅させられるであろう登場人物が出る事を考えると簡単にこの小説に同意できないのだ。
世にその名が知られる前の作品だからこの辺の浅はかさは目をつぶるべきなのかもしれないが。


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Tetchy
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No.53:
(5pt)

原発がわかる

高村薫さんの渾身の作品、原発技術者が日本海・ふるさとの浜に建設された原発を襲う〜すごく勉強になりました。神の火は、魂を昇華する象徴だった、読む前は、原発の事かと。最後辺は、時間をかけてゆっくり日にちをかけて、咀嚼しながら〜。
神の火〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:神の火〈下〉 (新潮文庫)より
4101347131
No.52:
(1pt)

よくわからん

凡人の私には原発襲撃の意図するところが理解できない。
主人公の行動描写が、特に終盤において相当細かく続き、投げ出そうと思ったがなんとかこらえた。
結果、無駄に時間を費やしてしまった。
なお、送られてきた「本」はボロボロだった。このレベルでも商品になるのかと感心した。
神の火〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:神の火〈下〉 (新潮文庫)より
4101347131
No.51:
(4pt)

ウォッカ

ウォッカを呑み始めたのはこの小説のラーメンにウォッカの件だった。
今でもラーメン屋でウォッカ頼めるかなー
とか、思ってしまう。
神の火〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.50:
(5pt)

音海へ行こう

この作品の世界がとても好きで、音海の断崖へ何度も行っている。
音海に行くと、なぜ舞台が此処でなければならなかったのかが何となく分かる。
ついでに大阪、京都へも足を伸ばすのだがビルや小路、商店街の幾つかは小説の頃とは少しずつ変わっていってしまっている。あれからだいぶ経つからな。高村薫の愛するごった煮の雑然さがだんだんと失われていくのかな。
一方断崖や遊歩道や小さい港はそう変わらない風景のままだ。取り残されたように佇んでいる(いた)。
コロナ明けにはまた舞鶴を訪れたい。のんびり日本海フェリーで海から行こうか。
神の火〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:神の火〈上〉 (新潮文庫)より
4101347123
No.49:
(4pt)

梅田の匂い

確か「黄金を抱いて翔べ」にも電力会社が出て来た。「わが手に拳銃を」の方だったか。そしてこの「神の火」も。それは大阪梅田である。大阪八百八橋と言われた大阪市、とりわけ北区辺り。作者はこの辺りに凄く詳しい。しかし大阪駅は出て来ないし、丸ビルや紀伊国屋書店も出て来ない。阪急京都線とおぼしき線は出るのだが。いわゆる阪急ファイブや若者の繁華街は出て来ないのだ。しかし肥後橋や西梅田方面、そして酔客やポン引きが歩く界隈は出て来る。うどんよりアルコールか。

その様に私にも馴染みが深い場所が相当濃く描かれる自分にとっての良さがある一方で、この電力会社に数作品に渡って執着する髙村さんのこだわりは何だろうとも思う。別に朝日や毎日新聞でも良かろう。気になるのは私の伯父がその電力会社に勤めたからだ。しかも原発でかつて会社が謝る事態になった際、世が世ならその伯父が会社の代表として世間の前で頭を下げたかもしれない立場でもあったので気になるのだ。本作品はまさにそのど真ん中の事例です。

伯父も物理学の人として高度な学びをノーベル賞を取る人がずらりと並ぶ学舎で受けたので、僅かながらこの作品に関わるのです。本人は本当は日立に入りたかった人だったが。精緻な研究をする髙村さんなのでそんな業界もよく分かるのでしょうね。原子力とは何か。どんな危険を孕むのか。そのリスクを承知で会社と日本政府は「何となく日本人にアナウンスして」合意の元に日常生活の中に組み込んでいる。

髙村さんのこの電力会社に掛ける気持ちの本筋は何だろうか。身内がかの会社にいるから警戒しているのではない。その行間から感じるものを読み取りたいが何となくぼんやりしている。やくざはさておき、ロシアも出て来るが電力開発に於いてはそのロシアも相当未来のその世界の覇権競争の主でもある。髙村さんの行間が読み切れないが…いつか何かでそれが知りたくなる。尤も髙村作品はサスペンスの陰にある、この行間に最も楽しめるものがある性質を持つと思う。それこそが髙村節になっているとも思う。梅田の匂いと共に。
神の火〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:神の火〈下〉 (新潮文庫)より
4101347131



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