大文字で賑わう京都の夜、鴨川べりを夫の陽介と歩きながら、野上美也子は幸せで一杯だった。

歳月は、人を恋う心の炎を消してしまうのか、あるいは、さらに激しく燃えたたせるものなのか。

大陸侵攻の戦は、すべてが徒労であった。怨みと不満は日本中に満ち、朝鮮は焦土と化して、飢えと寒さが民と兵を襲った。

堺の富と政治手腕をうしろ楯に持つ「水の人」小西行長と、自分しか頼れなかった「土の人」加藤清正、二人は出発から違っていた。

経営難に苦しむ呉服商角屋は隣家からの出火で、店舗と仕入れたばかりの商品を一夜にして失った。

浦上早希子は32歳になる団地住いの気のいい主婦である。

貧乏なオレは考える。ラクに金を手に入れたい。

来日したエラリー・クイーンにもらった貴重な色紙の紛失事件。謎のダイイング・メッセージや崩せないアリバイ。

ピラミッド、ナスカ地上絵、極移動、ノストラダムス……世界のあらゆる超常現象を呑み込む「総門谷（そうもんだに）」とはいったい何か！？UFO目撃事件を発端に、仲間とともに敢然と謎に挑み、地球征服を企てる「悪」に立ち向かう者こそ、若き超能力者・霧神顕（きりかみあ

最近進学率が落ちてきた女子高校小町学園は、一種の刺激剤として男子生徒を入学させることにした。

平凡な男の部屋に闖入して来た9人の家族。

奇怪な四重殺人が起こった孤島を、ミステリ研のメナバー7人が訪れた時、十角館に連続殺人の罠は既に準備されていた。

1990年、中南米にデフォルトの波が起こり、世界経済は恐慌へと突入。

恐慌後、ソビエトのIMF加入など、世界には奇妙な動きが相次いだ。

わたしは25歳の青年で、丸の内にオフィスのある貿易商S・K商会につとめていた。

愛之助は猟奇の徒であった。愛之助の大学以来の友に品川四郎という通俗科学雑誌社を経営する男があった。

探偵小説の一大金字塔!不滅の足跡を遺す巨星・江戸川乱歩の長編傑作!しばしの休養のため湖畔のホテルにやってきた名探偵明智小五郎は、東京の大宝石商の娘玉村妙子と知り合ったが、それが玉村家の怪事件へかかわり合うことになる始まりだった。

これだけは伝えておきたい。おまえには私がいる。

遠い過去から忍び寄る、復讐者の影!逃げ続ける理由も、生き延びなければならぬ理由も、わからないまま、負け犬のままで斃れるのか!書き下ろしサスペンス長編。

南アルプス山麓を登山中のハイカーが人間の白骨死体を発見した。死体は鼠に喰われたものと推論された。

「特急『つばめ』で、恐ろしいことが…」不可解な匿名の手紙が警視庁にとどいた。

山猫・弓削一徳の動くところたちまち血しぶきがあがる。だがそこに陰湿感はない。

ブラジル東北部の小さな町エクルウは2百年も前からアンドラーデ家とビーステルフェルト家に支配されている。

3代目沢村田之助の生涯。

マニキュアで窓ガラスに描いた花吹雪を残し、夜明けに下駄音を響かせアイツは部屋を出ていった。

静かな出会いと別れの諸相。

美貌のシンガーソングライター・堀河優美から恋人・国夫を奪った交通事故。残された形見はたった1枚の楽譜だけだった。

現職の判事寺沢信秀が、担当中の被告人の妻岩田歌江殺人容疑で逮捕された。

桟橋を降り、ゆっくりとバイクを進める。この空気だ!この空気を裂いて走るため、ボクたちは北海道に来た。

東京・飛島山公園の展望台で平凡な主婦・井上典子が、売店のアルバイト学生・矢部富美子に刺殺された。

南海の果て、滅亡を予告された幻奇の島の霊場から死体が消えた。

新年早々、京都二年坂で、首と手首のない男の死体が発見された。

俺は私立探偵だ。名前を早乙女ボンド之介という。

二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。

ユーモアと恐怖が交錯するミステリー傑作集。親友の夏美が引越したばかりのアパートで殺されてしまった。

怪事件は、ひとりの画家の遺書から始まった。

星泉18才。幼いころ母を亡くし、去年父も交通事故で死んで、天涯孤独の一人ぼっち。

星泉18才。幼いころ母を亡くし、去年父も交通事故で死んで、天涯孤独の一人ぼっち。

蕗屋清一郎が下宿屋をいとなむ老婆を絞殺した。老婆がためていた大金をねらって…。

わたし、野間五郎は青年時代から物忘れの大名であり、友人から、空気のようにたよりない男といわれ、そこから「空気男」というあだなが生まれていた。

工学博士・五十嵐東三の大いなる夢は、東京・ニューヨーク間を5時間で飛ぶ超高速機の試作であった。

シナリオ・ライター北村克彦は高利貸し股野重郎の妻あけみと通じ、股野を絞殺した。

「もう檻の中の運動会はやめだ」―全共闘高揚期、茶番劇に飽きた4人の男たちが本物の銃と弾丸を用意して起ち上がった。

大富豪で病気療養中の富島英太郎には、妻のほかに2人の愛人がおり、それぞれに子供もいた。

北海道のサロマ湖畔の砂丘に埋められていた女子大生と、伊豆下田の海に遺体を浮かべた女流作詞家。

北海道の観光地めぐりだけ、という好条件のアルバイトに狂喜した女子大生ふたり。

北海道のサロマ湖畔の砂丘に埋められていた女子大生と、伊豆下田の海に遺体を浮かべた女流作詞家。

ひとり娘の女子大生・亜矢子が伊勢・志摩に旅行に出たまま帰って来ない―。

亀井刑事の息子・健一が特急「おおぞら9号」の車中で誘拐された!憔悴しきった亀井は、翌朝、犯人の指示で「おおぞら6号」に乗車。

ひと気のない広大な北海道・根釧原野を走る二両編成のミニ急行「ノサップ1号」が、突然、列車強盗に襲われた。

テムズの橋に銀行頭取が吊された!イタリア最大の銀行頭取怪死を目撃した日本人、留学中の助教授とカトリック信者の美しき人妻。

華やかな国際会議の裏にひそむ謎!“ハイテクノロジーの時代に抗して精神を武装せよ!”モンテカルロに集った世界の文化人、国際金融にからむ頭取怪死事件と、豪華な会議の接点は?目撃した二人の許されぬ恋の行方は?巨匠会心の最新長篇推理。

絢爛たる西陣織りの織元、小林家は、京都西陣に250年の伝統を誇っている。

これはSFではない。

ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。

両親が同時に家出して、残された姉弟二人だけの“子子家庭”。

「みんな―みんな殺してやるから!大人なんて、死ねばいいのよ」アル中の父親に殴られるのが嫌で、夜中の山道を酒屋へ向かう少女は、ミルクのような白い雨に降られてずぶ濡れになった。

3百万の会員をもつ礼法の本俵流家元が亡くなり、あとを令嬢が継ぐことになった。

我が親父・冴木涼介は六本木の外れにあるサンタテレサアパートメントに事務所を構える私立探偵。

夏の軽井沢、藤波武子女史の別荘内外で起こった連続殺人事件に巻き込まれた栗本薫クン。

SF作家にして名探偵の栗本薫クンは逗留先の軽井沢で、女流作家藤波武子女史からアイドル歌手朝吹麻衣子を紹介され、すっかり心を奪われてしまう。

殺人容疑者の身柄を預った新聞社の支局長が、警察も気づかぬ事件の真相を暴く「ガラスの罠」、新聞への奇妙な投書が投げた波紋の意外な結末「満ち足りた生活」など、地方支局を舞台に展開、推理する、異色の連作ミステリー9編。

東京・世田谷で白昼、弁護士夫人が絞殺された。

脱サラ作家・津村はある晩、ホテルで殺人事件に巻き込まれ、その体験をきっかけに急に売れ出す。

鷲尾暁穂。横浜、山手の音楽高校に通うお嬢様…ではある。

外務省書記官夫人である佳子は、美しい閨秀作家としても知られていた。そんな佳子のもとへ、突然ある男から原稿が送られてきた。

密室状態での恋人の死に始まり、その調査を依頼した素人探偵まで、衆人環視のもとで殺された蓑浦は、彼に不思議な友情を捧げる親友諸戸とともに、事件の真相を追って南紀の孤島へ向かうことになった。

D坂の古本屋の細君が殺された!その死体には生傷がたくさんあった!D坂のカフェー白梅軒で知り合いになったわたしと明智小五郎は、犯人さがしに懸命になった。

純日本的な家屋における密室状況下の殺人事件を、心理的盲点を衝いて見事に解決してみせるのが、後にわが国を代表する名探偵といわれるようになった明智小五郎である。

M県のI湾に浮かぶ沖の島に突如として出現したものはなんであったか?富豪菰田源三郎と瓜二つの小説家人見広介は、源三郎が死んだのを幸いに源三郎になりすまし、菰田家の莫大な財産をもって、おのが空想した夢のパノラマ島をつくりあげた。

俺は、運転席に乗り込み、エンジンをかけた。標的になってやるぜ。

1億円よこせ、さもないと東京駅を爆破するという脅迫電話が!乗客の安全と犯人逮捕をめぐり駅長と十津川警部の間に微妙な対立が…(東京駅殺人事件)。

1億円よこせ、さもないと東京駅を爆破するという脅迫電話が!乗客の安全と犯人逮捕をめぐり駅長と十津川警部の間に微妙な対立が…(東京駅殺人事件)。

2億5000万円の宝石をめぐる犯罪のラビリンス。

学生街のビリヤード場で働く津村光平の知り合いで、元サラリーマンの松木がある日突然何者かに殺された。

女性同士の愛(レズビアン)を誓った百合が死んだ。呆然とする石田麻美…。

国道沿いにあるコーヒー店。店の名前は絵里花。

ある雨の日、傘もコートも長靴も黄色ずくめの姪が〈桜田門〉を訪れて、「パパもママも帰って来ないの」と言ったとき、警視庁捜査一課の坂口正二は、不吉な予感に襲われた。

青森県夏泊半島の椿神社を訪ねた男がその夜民宿で毒死した。

新婚旅行中の夫のもとに、新妻の暗い過去をほのめかす怪電話がかかってきた。

実業家小山田六郎氏の夫人静子を脅迫する陰獣・大江春泥のナゾを追求するわたしのまえに展開していった驚嘆すべき真相は何であったか?昭和3年発表の傑作中編「陰獣」と、初期の名作3編を収めた乱歩傑作集!

下宿屋東栄館の屋根裏を歩きまわるのはだれか?それは犯罪嗜好癖をもつぶ気味に男・郷田三郎であった。

新大阪の銀行に押し入った強盗は居合せた客の一人を人質にとって逃走した。まもなく犯人から一億円を要求する脅迫状が届く。

水産会社のフィリピン進出の尖兵となった越智は、現地で政治トラブルに巻きこまれ、危うく日本に舞い戻る。

名探偵・墨野隴人が帰ってきた!陽気な未亡人・村田和子は、親友・春日アヤメから怪事件の相談を受けた。

英国クラウチ商会の支配人として、ロンドンへ単身赴任した倉内優二は、すばらしいボーン・チャイナの壷に魅せられた。

倉内優二は、マリアンヌ社長への思慕の情を押えがたかったが、彼女には副社長の夫がいた。

しばらく泣いてから、落着きを取り戻すと、婚約者が大変な日に死んだことに気がついた。

小さな出版社を経営する紺野美也子は、ベストセラーをねらって大流行作家に近づき、その魅力で書下ろし小説を依頼する。

〈殺ったのはおれじゃない。おれは無実だ―〉戦争下の昭和17年、久世圭介は、何者かに恋人朝比奈美子を惨殺された。

思想・SF・ミステリを横断する80年代の騎手、笠井潔:1980‐1986全短篇を収録。

女流画家・重枝恒子が瀬戸内海の大三島で忽然と消えた。大山祇神社裏手の崖にハイヒールとスケッチブックを残して…。

晩秋の福島県猪苗代湖畔で2つの死体が発見された!正体不明の謎の美女・梅崎理美が絞殺され、ほぼ同時刻に詐欺師・曽根稔が毒殺されたのだ。

西村文学の中でひときわ異彩を放つパロディ推理の秀作。

ブルートレインの八分停車を利用して、人が殺される!?亀井刑事は、腎臓結石で病院にいる時、レントゲン室で男が人を殺してやると言っているのを聞いた。

1年前に失踪した京子が山手線に!?女友達の足取りを追う雑誌記者亜木子は、目黒駅前の交番で、紛れもない京子の写真を貼った尋ね人広告を見つける。

小さな運送会社を経営している太田信次が殺された。被害者に恨みを持つ数多くの人間の中から、3人の容疑者が浮びあがった。

京都の名門十条家の若い当主が交通事故を装って殺された。