日本最大の貯水量を誇るダムが乗っ取られた。人質は発電所員と下流域の市町村。

真夜中…十津川警部の家の電話が鳴った。電話の主は八年前、妻殺しで服役していた平野という男だった。

「あーっ」という悲鳴で友人からの電話は切れた。

34歳の英語教師サラは、恋に落ちた。理想的な家族とやり甲斐のある仕事に恵まれ、夫以外の男性など考えもしなかったのに。

近江屋藤兵衛が殺された。下手人は藤兵衛と折り合いの悪かった娘のお美津だという噂が流れたが…。

奇妙な夏が終わり、井戸は埋められた。そして人々はみんなどこかに去っていった。

時間のねじれのなかで「17歳」の力が25年の時空を超えて、動き出す。人生の時間の謎に挑む書下ろし長編。

「一度目」は戦時下の強制連行だった。朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。

「どこまでも殺されていく僕がいる。

太平洋戦争末期、劣勢の戦局を挽回するべくビルマから東インド・インパールへの侵攻作戦が強行された。

家庭内暴力や学校でのいじめなど、それぞれに心の傷を負った人々が集まって暮らす「駆け込み団地」。

コンピューター・ゲーム『まぼろしの遊撃隊』に熱中する金剛商事常務貴野原の美貌の妻聡子は株の投資に失敗し、夫の全財産を抵当に、巨額の負債を作っていた。

評論家の灯子は子供を預け先で死なせた経験を本にし世に出た。弁護士の真希子は身勝手な夫に悩んでいる。

時は1870年。理想の音楽を求めて止まぬベルシュタイン公爵。

小雨降る深夜、赤いレインコートの女が倒れていた。

信じられない。まさか、こんなSFめいたことが実際に起こるなんて…。

誰だって、何かを初めてやる時には緊張してしまう。

京都の有名小学校にこの春入学したばかりの少女が轢き逃げされた。遺体の腕の中には可愛がっていた猫の死体が―。

オーストラリアの大地に生きる少数部族・マグー族の「聖地」に、世界的注目を浴びるそのウラン鉱は、眠っていた。

夢でみたような艶っぽい話からゾッとするような現実の恐怖まで。

「あなたは検察審査員候補者に選ばれました」高校教師・佐田のもとに届いた一枚の葉書。

早すぎた峰起の行く末を見据えて冷徹な決断を下すアイヌの首長。暴虐と裏腹に内紛を抱えこむ松前鎮撫軍。

フランス革命が全欧を揺さぶり、ロシア船が親潮にのって日本近海を脅やかし、田沼意次の失脚で松平定信が政権の座についた十八世紀末。

好奇心のおもむくまま奔放に広がる一話一話が、意外性に満ちた新発見をもたらす。

戦争で負傷したヘイスティングズは、旧友の招きにより、閑静なスタイルズ荘で静養することになった。

空想は、ぽかりとは出てこない。

謎めいた会館クラブ“レトロ館”。招かれた滞在客は誰もが主人を憎んでいる―。

とがった顎、不釣り合いなほど大きな目、そして細い指…。

完璧な美貌に抜群のプロポーション、そのうえ成績はトップクラス。

ニューヨーク、ワシントンDCと場所を変え、生命の危険にさらされ続けたダービーが協力を求めたのは、新聞記者のグランサム。

〈トロイ計画〉の鍵を握るマイクロフィルムを島田は入手した。

原発技術者だったかつて、極秘情報をソヴィエトに流していた島田。

くびを宣告された部長の送別会を開こうと奔走する新米OL深雪。

マンハッタンで堅実な投資顧問会社を経営するファーは麻薬密売で逮補された息子の将来と引換えにFBIとの取引を受け入れた。

東京湾に浮かぶ完成間近の人工島「ピアタウン」。訪れた視察団をのせ、静かに上昇を始めたガラス張りの展望エレベーター。

闘争に疲れたIRAのデヴリンは、合同テロ組織による合衆国大統領暗殺計画を察知した。

刻々と処刑の瞬間が迫る。弁護士は祖父の命を救えるのか。

横浜パイレーツの監督・高橋のもとに突然送られてきた謎のFAX。そして不可解な死、死。

東京ベイエリアの地下に、長々と横たわる水のネット・ワーク。少年が連れ込まれたのも、光の乏しい水脈の袋小路だった。

或る晩秋、信州の山深き地で猛吹雪に遭遇した8人の前に突如出現した洋館「霧越邸」。

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。

妻との北海道旅行の帰り、十津川警部は、札幌駅で大阪行「トワイライト・エクスプレス」を待っていた。

嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。

ある朝突然、“かいわれ大根”が脛に自生していた男。

僕、西岡悟郎は28歳独身。警備保障会社に勤める、まったく普通の人間だった。

高校時代の親友である立子と衿香は、インテリア・コーディネーターと、ファッション・コーディネーターとして、お互い励まし、競いあいながら第一線で活躍していた。

旋風とともに背後から襲い、喉を突き刺し、眼球を抉る。過去を忘れ、何もなかったように生きる者こそ、わが標的。

交通事故で亡くなった父の跡を継ぎ、京都の葬儀社をきりもりする女社長石原明子。

南地中海の各地で頻発する若い女性の失踪事件。その陰には、ブロンドの美少女を生贄に捧げるという秘密結社の暗躍があった。

両親を亡くした大学生の邦彦は、生活の糧を求めて道頓堀の喫茶店に住み込んだ。

民族の悲願、独立国家の樹立を求めて暗躍する中東の少数民族クルド。

機は熟した。運命の糸に操られるかのようにマハバードには様々な人間が集まっていた。

「私の筆跡にやや乱れが見えるとしたら、それはバルタザールが左手で飲み、私が右手で書いているからだ」一つの肉体に共棲する双子、メルヒオールとバルタザール。

かつては外人部隊で勇名を馳せたアメリカ人クリーシィも今や五十歳目前、虚無感に陥りかけていた。

どうしても欲しい高価なネックレスを手に入れるための、見事な策略を成功させた人妻を描く「割勘で安あがり」、夕刻車で友人宅へ向う途中に追跡車に気づき、必死で逃げる女性の恐怖とその意外な結末「高速道路の殺人鬼」、四通りの全く違う結末が用意され、読者が好きなものを

激しい先陣争いの末に、ピットらはインカの黄金の所在地を突き止める。

16世紀にインカの帝王が国外へ送り出した財宝。

ボルティモアにある超高層ビルの地下駐車場で殺人事件が起こった。

失恋からコンピュータ犯罪の片棒を担ぐにいたる微妙な女性心理の動きを描く表題作。『火車』の原型ともいえる「裏切らないで」。

戦争の傷跡を残す大阪で、河の畔に住む少年と廓舟に暮らす姉弟との短い交友を描く太宰治賞受賞作「泥の河」。

ノーベル文学賞受賞。異常をもって生まれたわが子を抱える青年の魂の遍歴、絶望と背徳の日々―。

戦争の予感に怯えるフランス、1938年。

北欧の都で駐在武官が入手した極秘情報―ベルリン陥落後も滅びへの道をひた走る日本が、世界地図から抹消される。

はじめに袋とじのまま、短編小説の「消える短編小説」をお読みください。

靴みがきは予言した。“今すぐ脱がなきゃ、逃げられない。

見上げれば銀河、眼下には奈落。株のサーカスゲームを危うく生きる流星たち。

スズキさんは40歳で、広告会社の副社長。妻と一人息子と暮らす、いまでは立派な中年だ。

ワシントンの名門小学校に通う映画女優の娘マギーと財務長官の息子マイクル。

捜査を命じられたワシントン市警のアレックス・クロスは心理学の博士号を持つスター刑事だ。

常住坐臥、死と隣合せに生きる葉隠武士たち。佐賀鍋島藩の斎藤杢之助は、「死人」として生きる典型的な「葉隠」武士である。

鍋島藩に崩壊の兆しあり。藩主勝茂が孫の光茂を嫡子としたためだ。

〈反権力〉と〈人権の砦〉を標榜してやまぬはずの「全日本弁護士連合会」。

向う岸に歩み去ろうとするあの人。一瞬ふり返って交す視線と視線。

剣に将来を託し、武市半平太の命ずるままに暗殺剣を振るい続けた岡田以蔵の末路(「魔剣」)。

足利将軍家の姫君香具耶を奪った者には南蛮銃三百挺をとらせよう―。

スティンハースト卿率いる劇団員は、スコットランドの古い館ホテルに滞在。

18歳の売れないタレント、石川ひかりの今後の仕事はTV番組のレポーター。

日本ジャンプ界期待のホープが殺された。ほどなく犯人はコーチと判明。

奇妙に妖しい女だ。

犠牲者の耳は切り取られ、別の男から切断された小指が差し込まれていた。

不動産会社社長が別荘の浴槽で溺死。第一発見者は、その愛人。

人種差別政策への批判が強まる中、南ア白人政権はある極秘計画に着手した。

海の下の、奥の奥で眠っている神の夢。大地をうごめき、すべてを食い尽くす不快なブガン。

英国情報機関内にどうやら「もぐら=二重スパイ」がいるらしい。

失明によって鋭敏になった独特の聴覚を頼りに、誘拐された姪を救出した元音響技師ハーレック。

小児臨床心理医アレックスのもとに、昔の患者メリッサから電話があった。

異常に母の身の上を気遣うメリッサ。

迷い犬捜し専門のアウトロー探偵・竜門卓が遭遇した4つの事件。胸ゆさぶる4つの感動。

聖ジョン大聖堂で育てられていた幼いメシアが悪魔に誘拐された。

古き良き’80年代の「バブル」時代に不正株価操作で投獄された天才ディーラー、ウィリアム・サクソンが再び娑婆に戻って来た。

その夏、みのりの学校では不思議なことが次々とおきた。

異常の烙印を捺され社会から肉親から隔絶されたまま流れ流れる果てしない時間が突如として破られた…。とある精神病棟。

猫が消えたことは、始まりに過ぎなかった。謎の女はその奇妙な暗い部屋から、僕に向かって電話をかけつづける。

明治29年、帝都。

てめえがなんでやくざになって、二十年以上も足を洗わねえのか。時々、俺は考えてみるよ。

ニューヨークのマンションで、ありふれた毎日を送る未亡人は、静かに雪の降りしきる夜、〈ミリアム〉と名乗る美しい少女と出会った…。

小さな田舎町で起きた少女の殺人。その嫌疑をかけられて、息子が失踪。

北から南へ、そして南から北へ。

墜落事故の刹那に私は私でなくなった―。