楽園



※タグの編集はログイン後行えます

【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

7.00pt (10max) / 1件

6.75pt (10max) / 4件

Amazon平均点

4.20pt ( 5max) / 35件

楽天平均点

3.85pt ( 5max) / 20件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
1pt
サイト内ランク []B
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

58.00pt

0.00pt

0.00pt

54.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1990年11月
分類

長編小説

閲覧回数1,977回
お気に入りにされた回数0
読書済みに登録された回数5

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

楽園 (角川文庫)

2010年02月25日 楽園 (角川文庫)

太古のゴビ砂漠。部族の若者ボグドは、美しき少女ファヤウを自らの力で迎え入れ、夫婦となるが、他部族の襲撃により引き裂かれてしまう。ボグドは、遙か彼方に連れ去られた妻の姿を求め、一人旅立つが…!?そして、舞台は18世紀南太平洋、現代アメリカの地底湖へ。時空を超えた愛の邂逅と、戦うがゆえに手にできる“楽園”の意味を壮大に描く、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作にしてデビュー作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

楽園の総合評価:8.36/10点レビュー 36件。Bランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

悠久の愛の物語

有史以前に引き裂かれた男女の世紀を超えた再会の物語。全3部に分かれた構成は連作短編集のよう。

有史以前のゴビ砂漠周辺にタンガータという砂漠の民の若者の1人ボグドの描いた絵は生命が宿っているかのようだった。彼は同じ種族の娘ファヤウを自分の嫁にすると固く決めていた。
彼は人間を描いてはならぬという部族の法を破って、その思いの強さからファヤウの絵を刻む。人間を描けばその者の命が亡くなるということをあとでボグドは知る。
13歳になり、種族の伝統に従って、ボグドは己の守護霊を得るために狩りに出る。狙うは伝説の赤い鹿。その血肉を食らえば、強靭な精霊が宿るとされていた。ボグドは一計を案じ、見事鹿を射止め、その血肉を食らい、精霊を自らに取り込むことに成功した。
やがてボグドは鹿の精霊を持つことで一族の中でも一目置かれる人物となり、次の首長になる事が確実視されていた。ボグドは自ら宿る鹿の精霊を民の守り神とし、石にその絵を刻んでいった。しかしそんな中、安楽の地を求め、旅する北の部族の族長シャラブがかつてボグドが残したファヤウの絵を認め、ファヤウを妻にすることを決める。
シャラブの部隊に急襲されたタンガータはなす術も無く、シャーマンと女どもを残して全滅する。しかし九死に一生を得たボグドはファヤウを奪い返すべく、シャラブの後を追うが、敢え無く捕まり、船に乗せられ、流されてしまう。
ある土地に漂流したボグドは、必ず自分の妻と子を取り戻すことを決意する。それは世紀を越えた長い旅の始まりだった。

これが第1部で物語の発端。そこから第2、3部と話は展開する。
第2部は一転して18世紀の太平洋上が舞台となる。アメリカの捕鯨船の乗組員が太平洋上の島タロファに流れ着く物語。
第3部は一転して現代のニューヨークが舞台。若き天才作曲家レスリー・マードフが神秘思想家ギルバート・グリフィスと共につい最近発見された巨大地底湖を一緒に訪れ、そこで作曲活動を行うといった話。
各編、コクのある物語で読ませる。

第1部の紀元前の遊牧民の暮らし、そしてボグドとファヤウそれぞれが体験する苦難の旅はよくもまあ、これほど書けたものだと思う。
そして第2部の大航海時代の南の島の話。これが個人的にはベスト。
捕鯨船が漂流する発端から、タロファという南の島の楽園での生活と文化、そして文化的先進国による略奪劇とスペクタクルに富んでいる。ここに出てくるライア、ジョーンズ、タイラー、エド・チャニング、その他途中で亡くなる人物たち全てに特徴があるが、やはり特筆すべきはタイラー。戦いこそ全てというこの人物の生き様に胸打たれた。
そして第3部。最後に音楽を持ってくるのが意外だった。

しかしよく考えてみれば、音は第1部から触れられていたモチーフで、古代の時代から一貫して人間の遺伝子に刻まれているのは音楽だというのが隠されたもう1つのテーマなのだろう。しかし読ませるが、『君の名は』のようにもどかしかった。せっかく舞台は整ったのだから、早く再会させればいいのにと忸怩しながら読んでいた。
そして気になったのが、ダイナモの燃料としてガソリンと書かれているところ。普通発電機は軽油なのだが、アメリカでは違うのか?またガソリンをポリ容器に入れているのも気になった。日本では危険物として禁じられているのに、アメリカではこれもOKなのだろうか?

三つの物語で共通するのは太陽に向かって跳躍する赤い鹿の絵。これが1万年の時を越えて、二人の男女の絆として引き継がれる。そしてその一族の細胞として宿るのはその至上の愛の遺伝子。つまりものすごいロマンティックな物語なのだ。
ボグドとファヤウ。この2人の焦がれるような再会への渇望が現代になってようやく成就する。しかしそれは単純にハーレクインロマンスのような単純な運命論によって描かれた物ではない。この2人の再会の物語を語るのに、作者は世界民族の起源論を展開する。

オセアニアに住むサモア人やアボリジニーを代表する原住民、そしてアメリカのインディアン(今ならネイティヴ・アメリカン)の祖先をモンゴルの大地に住んでいたアジアの民とするという民族起源論がまず作者の頭にあったのだろう。
これに悠久の愛の物語を絡めたというのが真実だろう。
この作家、こういう一見無関係な表題を組み合わせて物語を作るのが非常に巧いと感じた。

これがなんとデビュー作というのだから畏れ入る。そして2作目として、あの『リング』が生まれる。作者としてすでに書くべきテーマがあったのだろう。あとはそれを放出するだけの機会を待っていたという感じだ。
2作を通じて感じるのは、溢れる物語を早く出したいというエネルギー。
このエネルギー、どこまで続くのか、追っていこうと思う。

Tetchy
WHOKS60S
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.35:
(5pt)

懐かしい

前職で関係していた日本ファンタジーノベル大賞。当時会社で配布され読んだものを、再び読めました。
楽園 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 (角川文庫)より
4041880130
No.34:
(5pt)

遠い記憶が蘇る力強い作品

私自身の過去世の記憶も蘇ってきました。ありがとうございます。
楽園 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 (角川文庫)より
4041880130
No.33:
(5pt)

鈴木光司の原点

ホラー作家鈴木光司のデビュー作。めちゃくちゃ面白かった。
歴史ロマン✕恋愛ファンタジー?みたいな感じだが、リングも結局原作はSFミステリーだし、仄暗い水の底からの短編集でも、ホラー要素のない冒険モノが一番面白かったし、ホラーじゃない方が向いてたんじゃと思わずにはいられない。

デビュー作ということで、鈴木光司ファンには後続の作品の要素が盛りだくさんなのも楽しめるポイントのひとつ。
もともとリングがホラー・SF・ミステリのごった煮ジャンルの傑作であったように、『楽園』も恋愛・ファンタジー・歴史・冒険・ホラー映画と色んな面白さが満載。第1章は『ループ』を、第3章は『仄暗い〜(短編集)』や『光射す海』を思い出した。

もっとSFやファンタジーたくさん書いてほしかった……リングはとてつもなく売れたんだろうけど、ある意味、映画版貞子に人生を狂わされたのかもしれない。
楽園 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 (角川文庫)より
4041880130
No.32:
(5pt)

いいです!

舞台スケールの大きさとワクワクする展開にとても楽しめました。「貞子」とか一流のホラー作品を生み出した方だと知ってさらに感動しました。 秋咲すみれ
楽園 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 (角川文庫)より
4041880130
No.31:
(5pt)

アニメ化されたものを見てた

昔、アニメ化されたものを繰り返し見てました。大人になって、原作があると知って買いました。
楽園 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:楽園 (角川文庫)より
4041880130



その他、Amazon書評・レビューが 35件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク