坂の途中の家



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初公開日(参考)2016年01月
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長編小説

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坂の途中の家 (朝日文庫)

2018年12月07日 坂の途中の家 (朝日文庫)

最愛の娘を殺した母親は、私かもしれない。 刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、 子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、 いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだった--。 社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と 〈家族〉であることの光と闇に迫る心理サスペンス 感情移入度100パーセント、 『八日目の蝉』『紙の月』につづく、 著者の新たな代表作が、いよいよ文庫化!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.67pt

坂の途中の家の総合評価:7.44/10点レビュー 143件。Bランク


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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

坂の途中の家の感想

心理サスペンス小説ということで、期待感一杯で読んだが、なかなかしんどいお話であった。
とにかく主人公里沙子の思考にイライラする。
本文中にも「・・・そんな具合に、ネガティブな思考のループにはまりやすい自分を里沙子は自覚していて、心底面倒だと思っているのだが。・・・」
まさにこの一文に尽きる。

主人公は三歳の娘を育てている普通の主婦である。夫陽一郎もその娘を可愛がるどこにでもいるような普通のサラリーマン。
そのどこにでもあるような普通の家庭の普通の主婦が、裁判員制度の補充裁判員に選ばれ、刑事裁判に臨むことになったというお話。
刑事裁判の被告は、我が子を湯船に沈めて虐待死させた女性水穂。
当方読み始めて本書の展開は、「被告や証人の証言や主人公の発言・行動が複雑に絡み交錯しつつ、事件の真相が思わぬ展開を迎える」というエンタメ的なストーリーを予想したが、実際は全く異なっていた。

事件そのものは、この小説の本題ではない。
要するに、主人公里沙子が被告水穂に自分を重ね、自分の生い立ち・環境・家庭・家族・結婚生活・子育て・躾け・虐待・嫁姑・自立・専業・共稼ぎ等を考える社会派的家族小説である。
安直に言うと、若い男女が結婚するに当たっての指南書・啓蒙書とも言っていいかもしれない。
男性側から見ると、里沙子のような超面倒な女性は遠慮したい。
女性側から見ると、陽一郎のような一見理解があるようだが、女性の内面を知ろうとしない無理解・マザコン男はもう無理。こういうことだろう。
だから、円満な結婚生活を送るためには、この本を読んで男女の特性差を知り、些細な一言も気を配って結婚しましょう。ということではないか。
勝手ながら、当方、著者の意図をそういう風に捉えてしまった。

アマゾンの感想を読んでいると、里沙子の心情に共感するというコメントが多いことになるほどと思う。
無理解男が世に多いということの証左でもある。
まあしかし読みながら、うじうじ思考の里沙子には、もっとガツーンと言ってやれよと言いたくなった。
もしかすると、著者はダメ女性の例として里沙子を描き、世の女性たちに「もっと自立せよ!」って発破をかけているのかとも思った。

エンタメ小説では無く、ちょっと本サイトでは範疇外という印象なので、中庸点の5点とした。

マッチマッチ
L6YVSIUN
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

坂の途中の家の感想

簡単に言うと、補欠裁判員に選ばれた主婦が被告人に同情する話。
ただ、それが深くて、男性の私にはコメントしづらくて、みたいな作品です、、、。

kmak
0RVCT7SX
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

夫と妻、親と娘、分かり合えないのはなぜか?

幼児虐待事件の裁判を通して、家族とは何か、人を理解するとは何かを追及した長編小説。犯罪行為自体も犯人もはっきりしているのだが、事件の真相を探るという意味で、心理ミステリーと言える作品である。
もうすぐ三歳になる一人娘を育てる専業主婦・里沙子は、8ヶ月になる子どもを溺死させた母親の裁判で補充裁判員に選ばれた。いやいやながら裁判に参加した里沙子は最初は被告を軽蔑していたのだったが、様々な証言を聞くうちに何が真実か分からなくなってきた。さらに、裁判に通うために娘を夫の実家に預けに行き、帰りには義理の母親から息子の好物の料理を持たされ、子どもは言うことを聞かず、夫は自分を理解してくれていないような気がして来るという、肉体的、心理的な疲れに押しつぶされそうになる。公判が進むに連れ、被告とよく似た自分の過去が思い出され、被告人は自分であってもおかしくなかったと思い始めるのだった。孤独な子育てに疲れ、周囲の善意をすべて逆の意味に捉えてしまった被告は救いようがない悪人なのか?
日常の何気ない一言も、解釈次第で善意にも悪意にも取ることができ、そのズレがやがては致命的な影響を及ぼして来る怖さ。まさに裏表紙の「感情移入度100%」の心理劇が展開される。性別や年齢、既婚・未婚を問わず、多くに人が自分が隠してきた心の奥底を見せられるようなサスペンスを覚えるだろう。
ミステリーのジャンルを超えて、多くの人の共感を呼ぶ傑作エンターテイメント作品としてオススメしたい。

iisan
927253Y1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.140:
(5pt)

孤独な母親たち

三回以上読み返している。
その度に戦慄する。
2人の女性の孤独と彼女らを追いつめて来た透明な悪意とに。わたしには子どもがいない。
しかし、この母親たちに子どももいない自分がこんなにも感情移入するのは何故なんだろうと思いながら読んでいた。
そして今回ようやくわかった気がする。
わたしが築いて来た社会的連続性を優しく巧妙に断ち切り、怒鳴りもせず暴力も振るわずにゆっくりと確実に自尊心を奪うパートナーとの生活。
訪れる人は整ったインテリアを褒め、わたしも何一つ欠けているものなどないかのように振る舞う。しかしわたしの手の中には砂粒さえないのだ。
コミュニケーションを取ろうとすればするほど言語はすれ違い、弱った時を見透かすように崖の端で蹴られる。怪我をして自信をなくし、暴力を振るった主に養われ労られ、社会は日に日に遠くなる。
暴力の形も色もさまざまで、自分以外の人には見えない。
自分でもそれが暴力であることをこの主人公のように否定し続けて来た。
ただ、この小説は突きつけて来る。
「あなたは本当に今のようなあなただったの?」
「何に怯えているの?」
「どうしてそんなに無力感に打ちひしがれているの?」
と。

家庭という密室にて、自己愛性人格障害やモラルハラスメントに相対して苦しむ、あるいはカサンドラ症候群の女性たちには辛い小説かもしれない。

しかし「自分自身で思考すること」を取り戻すきっかけにはなるかもしれない。
坂の途中の家Amazon書評・レビュー:坂の途中の家より
4022513454
No.139:
(5pt)

感情移入度百%の心理サスペンス

この人の家を私は知っている。あの坂の途中の家だ。

裁判員裁判の補充裁判員になった主人公は、被告人に自分を重ね合わせてしまう。年齢も性別も家庭環境も近いからだ。
この私も重ね合わせてしまった。年齢も性別も家庭環境も全然違うのに。

自分は子どもにこんなことしなかったか。自分は子どもになぜあんなことしたのだろう。
一行読んでは反省し、一行読んでは後悔し、一行読んではため息を吐く。なかなか前に進まない500ページだった。

描写が細かい。心理描写だけでなく、料理の描写も。この描写の細かさが、作品にリアリティーを与える。作者は名文家である。

ラスト。被告人に判決が下る。じっと見守る主人公。あれほど肩入れしていた被告人への思い。主人公は納得したか。主人公自身は吹っ切れたのか、自分の置かれた境遇に。夫と姑と愛娘とどう切り結んでいくのか。たやすいことだ。愛すればいい、などと言って済ませられるか。いや、大丈夫。たぶん大丈夫。人間はそこを乗り越える力を秘めているのだから。
坂の途中の家Amazon書評・レビュー:坂の途中の家より
4022513454
No.138:
(5pt)

ミソジニーの不愉快さに耐える

登場人物の感情をリアルに感じる。男、女、全て人間の根底はミソジニー。男は自分が優位に立てる女しか結婚相手に選ばない。女は男に選ばれる事が性でありマウント。でも2人の生活が始まれば憎しみの感情が徐々に溢れ出して…。ミソジニー意識は細胞に、原子から組み込まれている。ミソジニー意識が強い男が結婚しミソジニーを受け入れ理解し武器に出来ない女が結婚する。女がミソジニーから解放されるには見せ物になること。エンターテイメントで活躍する女性達はミソジニーの遥か彼方に君臨している。男と女の性質に耐えられる自信は到底なく、自分を貶める感情を知る位なら下級国民の自分はひとりの方が遥かに幸せ。
坂の途中の家Amazon書評・レビュー:坂の途中の家より
4022513454
No.137:
(4pt)

重すぎてリアルで無理でした

ただの小説とはわかっているのだけど
生後10か月の子がいる私にとってひとつひとつの描写がリアルにとらえられて、重すぎた。
序盤の公判2日目まで読み、以降、進められなかった。
怖いくらい心の中に重くのしかかってくるのはさすが角田光代さん…。
坂の途中の家Amazon書評・レビュー:坂の途中の家より
4022513454
No.136:
(5pt)

心理描写がえぐい

心理描写が詳細すぎて読んでいて苦しくなるほどでした。

あの愛し方でしか実母と夫は主人公を愛せなかった、そこに1番印象に残りました。

私の母親も子供(私)を常に小馬鹿にして自分が常に優位に立ちたがる人です。自分と同じコンプレックスをもつ子供(私)に対して必要以上に蔑む。自分より先を行くことを許せなかったのだと思います。

そんな母親に気をつかっていた私は、今なぜか同居という道を選んでいます。考える事を放棄した結果なのでしょうね。

角田先生の作品を初めて読みましたが、他の本も読んでみようと思います。
坂の途中の家Amazon書評・レビュー:坂の途中の家より
4022513454



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