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坂の途中の家



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【この小説が収録されている参考書籍】
坂の途中の家
坂の途中の家 (朝日文庫)

坂の途中の家の評価: 6.67/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

夫と妻、親と娘、分かり合えないのはなぜか?

幼児虐待事件の裁判を通して、家族とは何か、人を理解するとは何かを追及した長編小説。犯罪行為自体も犯人もはっきりしているのだが、事件の真相を探るという意味で、心理ミステリーと言える作品である。
もうすぐ三歳になる一人娘を育てる専業主婦・里沙子は、8ヶ月になる子どもを溺死させた母親の裁判で補充裁判員に選ばれた。いやいやながら裁判に参加した里沙子は最初は被告を軽蔑していたのだったが、様々な証言を聞くうちに何が真実か分からなくなってきた。さらに、裁判に通うために娘を夫の実家に預けに行き、帰りには義理の母親から息子の好物の料理を持たされ、子どもは言うことを聞かず、夫は自分を理解してくれていないような気がして来るという、肉体的、心理的な疲れに押しつぶされそうになる。公判が進むに連れ、被告とよく似た自分の過去が思い出され、被告人は自分であってもおかしくなかったと思い始めるのだった。孤独な子育てに疲れ、周囲の善意をすべて逆の意味に捉えてしまった被告は救いようがない悪人なのか?
日常の何気ない一言も、解釈次第で善意にも悪意にも取ることができ、そのズレがやがては致命的な影響を及ぼして来る怖さ。まさに裏表紙の「感情移入度100%」の心理劇が展開される。性別や年齢、既婚・未婚を問わず、多くに人が自分が隠してきた心の奥底を見せられるようなサスペンスを覚えるだろう。
ミステリーのジャンルを超えて、多くの人の共感を呼ぶ傑作エンターテイメント作品としてオススメしたい。

iisan
927253Y1

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