仄暗い水の底から



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初公開日(参考)1996年01月
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長編小説

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仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)

1997年08月31日 仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)

大都市の欲望を呑みつくす東京湾。ゴミ、汚物、夢、憎悪…あらゆる残骸が堆積する埋立地。この不安定な領域に浮かんでは消える不可思議な出来事。実は皆が知っているのだ…海が邪悪を胎んでいることを。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

仄暗い水の底からの総合評価:7.97/10点レビュー 33件。Cランク


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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

既にもうネタ切れ感が…

7編の水をテーマにした連作短編ホラー集。神奈川県に住む老婆が孫娘に朝の散歩時に一週間お話をするという構成になっている。

まず「浮遊する水」はかつて角川ホラー文庫で編まれたホラーアンソロジーで読んでいたもの。夫との離婚を機に港区の埋立地に建てられたマンションに引っ越した母子家庭の一家が出くわす怪異譚。
埋立地、水道水といったじっとりしたイメージを喚起する文体は、粘っこさを感じさせる。これを読んだ後は社宅の水を飲むのが嫌になったくらいのおぞましさを感じた。切れ味素晴らしい短編。

続く「孤島」からは全て初読。大学時代の友人が第六台場という都会の無人島に女を捨てたという。その友人は夭折し、数年後、理科の教師となった主人公がひょんなことから第六台場の調査に参加する事に。そしてそこで出くわした物とは・・・というお話。
物語は読者の予想通りの展開を見せるが、東京のど真ん中、しかもお台場という地にある無人島を舞台にこういう物語を紡ぐという発想を買う。なんとも云い難い読後感を残す。

「穴ぐら」はあなご漁で生計を立てている漁師の妻が朝起きると失踪したという話。散歩がてら妻を捜すが見当たらない。戻っているかもと思い、家に帰ってみるがやはりいなかった。昨夜は酔っ払って早々に寝たはずだが、記憶が定かではなかった稲垣はその日はそのまま寝て、翌朝漁に出発した。
「浮遊する水」の変奏曲のような作。母子家庭から父子家庭(この場合は妻が失踪して一時的に父子家庭になったというものだが)という構成も似ている。しかしここで最も気になったのが主人公の稲垣裕之は幼い頃に親から暴力を受け育った男で、親となった今、同じことを子供にしているという点。暴力は遺伝すると昨今問題になっているものだ。そしてこれは自分にも思い当たる節があるだけに、いっそう印象に残った。

「夢の島クルーズ」は主人公が高校のOB会で知り合った男に誘われ、ヨットで東京湾クルーズに行ったことから物語は始まる。よくあるマルチ商法の勧誘だったことが解り、うんざりした主人公は夫妻の話に取り合わず、夢の島マリーナへの到着を今か今かと待ちわびていた。だがマリーナまで数キロというところでヨットがいきなり止まってしまう。スクリューを見ると、子供の靴が片方絡まっていた。それを除けてみたが、やはり動かない。キールに何か絡まっているのだろうと判断したオーナーは潜って取り除く事に。しかし浮上した男は顔面蒼白で、溺れかけていた。
都市伝説ホラー。ぶつっと切れるような形で物語は終えるが、ちょっとベタな感じ。それよりも知り合いに誘われてヨットのクルーズに参加か・・・。自分にも同様の経験があるだけに、主人公の心理が痛いように解った。

「漂流船」はなんと長編『光射す海』で登場した第七若潮丸、しかもあの主人公の一人真木洋一が参加していた漁の後日譚である。あの作品はホラー味はなく、一人の女性の正体を探るミステリだったが、これは古来からある海洋ホラーとなっている。
漁を終え、日本への帰路に出くわした一台のクルーザー。中には誰もいない。結局海保との相談で漁船が曳航することに。乗り込んだ機関士白石が遭遇したものとは?
作中でも書かれているがかの有名なマリー・セレスト号事件をモチーフにしている。しかしこれは純然たるホラー。怪異の正体がわかるまでは日誌の内容などぞくぞくすることしきりだったが、正体が解ると意外に陳腐な印象。

次の「ウォーター・カラー」は問題作。気鋭の小劇団がかつてバブル時代に活況を呈した複数階で構成されたディスコの跡地を利用しての公演中に水漏れというアクシデントに見舞われる。古参の劇団員で、演出家との意見の食い違いから直前になって役を降ろされた神谷が原因を突き止めにいくことに。
廃屋となったディスコの跡地のトイレ一面に流れる水、排水口に大量に詰まった色とりどりの髪の毛、と古来からホラーに欠かせないモチーフを使い、実際ドキドキしながら読んだのだが、最後のオチに愕然。これはちょっと奇を衒いすぎたといわざるを得ない。明かされる真相はホラーという読者の予想を裏切り、超えるものであるが、これをいい意味か悪い意味で裏切ったのかは読者によるだろう。
私は悪い意味でとった。

ラストの「海に沈む森」は感動の一編。洞窟探検を趣味している主人公が多摩川の源流を友人と遡るうちに前人未到と思われる洞窟を発見する。すでに結婚し、子供もいる主人公は人生守りに入り、躊躇うが友人にそそのかされ、入ることに。そして・・・という展開的には予想通りとなるのだが、そこからが素晴らしい。時代設定を1975年とし、そこから主人公が手紙を認め、放流する。そして20年後、成長した息子が訪れるといった展開を見せる。父と子の血の絆を感じさせる力強い一編だ。
そして語り部として設定されている老婆もこの手紙が実は老婆の生きる源となっているというのが最後になって解る。

この7編で舞台となるのは東京一円だ。港区の埋立地、第六台場、富津岬、東京湾に、鳥島周辺―ここも確かに東京だ―、芝浦運河沿岸に立つ雑居ビル、そして多摩川の源流。ほとんどが東京圏に住む読者ならば目にする、訪れている、もしくは行こうと思えば行ける場所だ。つまり作者は読者のすぐそばに怪奇は潜んでいると告げている。
そして全編を通して語られる水もホラーの要素としては欠かせないものだ。水の雫の落ちる音から、人智の及ばない海や未開の地下水まで様々だ。恐らくこれは作者自身が水と密接に関わっていることに起因するのだろう。特に漁、クルーズといった航海に関するものが多い。これは『光射す海』でも使われていたマグロ漁を作者自身が経験することで得た知識であり、自然そちらへ題材を取ることが多くなったのだろう。

ただ残念なのは、この短編が今までの長編に見られた題材のアレンジでしかないこと。漁やクルーズなど船に纏わる話、鍾乳洞探検、そして劇団の話などは『楽園』、『光射す海』の作品を物するのに取材した、もしくは自身で体験したものだろう。
しかし4作目にして、似たような印象を受けるのは意外と作者の引き出しが少ないのではないかと危惧してしまう。確かに読ませるが、初めてこの短編を読むならば、また印象は違っただろうが、続けて作者の作品を読んでいる身にしてみれば、またこの話か、と思ってしまうのは否めない。
次作の題材が新しいことに期待したい。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

原作を読んでみたくて

『仄暗い水の底から』という一つの映画をこの短編から作るってすごいなぁと思いました。
最初短編だと知らなかったのでなおさら!
裏表紙のあらすじに感動を呼ぶって書いてありましたが、全部の短編読んでみても「ん??」て感じでした。

AYA
U7WWQHA8
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.31:
(4pt)

好きな世界観

水にまつわる怖い話。
霊的なモノばかりではない。
他の方のレビューにもある通り水の臭いや湿度を生々しく感じる。
「海に沈む森」が泣けた。
小さい子供いる人なら尚更だと思う。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041880025
No.30:
(2pt)

水のにおいがする

停滞した濁った水のようなにおいが、文章から漂ってくるような短編集です。
表紙が良い。
中身は、雰囲気は悪くないし、特に幽霊船の話は面白かった。
ただ全体的にみると怖さや不気味さよりも気色悪さが勝ってしまい、ストーリーは予定調和で驚きが乏しく、小粒で似たような話の集まりだった。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041880025
No.29:
(3pt)

まず表紙からして怖すぎる

リングシリーズの印象が強すぎて、「こんな王道のホラーも書けたのか!」と驚いた。
というか原作が短編とは知ってたけど、映画とまったくの別物で笑った。中田秀夫凄え。

とはいえ中には怪奇小説風や冒険小説風なのもあるのだが、あとがきを読んで納得。『SFマガジン』や『小説宝石』『野性時代』など各誌に掲載されたものをまとめたもののようで、ホラー短編集というよりかは、「海にまつわる物語集」という方が正しいのかもしれない。
ちなみに出来不出来の差は結構激しいかと。

とはいえ、なんといっても本作の白眉は「浮遊する水」だろう。
ホラー映画のようなバーンという驚かし方はないが、「追い詰められた」と頭でわかる恐怖は小説ならでは。また現実を侵食するリアルなホラーは読んで後悔する人もいるかもしれない。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041880025
No.28:
(5pt)

読みやすいしそれなりに怖い

短いホラーが好きで購入しました。水にまつわる怖い話を集めているというコンセプトが夏の納涼にピッタリです。
あまり良い話系のホラー好みでないので、手紙に関連するエピソードはいただけなかったですが、その他は概ね楽しめました。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041880025
No.27:
(3pt)

ホラー短編集、半分くらい〇

角川ホラーの定番、怖い話の短編集です。
映画はまだ見てないのですが、孤島、漂流船、海に沈む森は面白かったです。
他は微妙かな。今度映画を観てみます。
仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)より
4041880025



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